ブランディングとは?Appleやスターバックスの戦略や7つのステップも解説!

ブランディングとは?

ブランディングとは、その企業や商品ならではの価値を高めていくことで、顧客のロイヤリティを高めていく戦略を指します。
商品やサービスが飽和している現代において、機能面だけで差別化をすることは容易ではありません。そのため、競争の激しい市場では価格競争に陥りがちで、各企業は厳しい競争を強いられることになります。
このような状況において、商品を差別化し顧客に継続的に利用してもらうためは、ブランディングは不可欠な戦略です。
またブランディングには、インナーブランディングとアウターブランディングの2種類があります。
インナーブランディングは、経営層や社員などに対するブランディングです。社内に対しブランド価値を共有することで、円滑なチームビルディングやモチベーションの向上などの効果が得られます。
一方、アウターブランディングは、株主や顧客など外部に対して実施するブランディングで、実施することで他社との差別化や顧客ロイヤリティの向上などの効果が得られます。
ブランディングとマーケティング、プロモーションの違い

混同しやすいブランディングとマーケティング、プロモーションの違いについて、それぞれ解説します。
- マーケティングは販売する仕組みを作る活動
- プロモーションは販売促進の手段
マーケティングは販売する仕組みを作る活動
ブランディングが消費者に企業の価値・イメージを持ってもらう活動であるのに対し、マーケティングは商品を効果的に販売するために行う活動を指します。
2つの違いは、以下のとおりです。
ブランディング | なんらかの方法で消費者に企業の価値・イメージを持ってもらう(消費者主体) |
|---|---|
マーケティング | 企業が自ら発信して価値・イメージを伝える(企業主体) |
例えば、消費者が「ハンバーガーはマクドナルド」「スマートフォンといえばiPhone」といったイメージを持っていれば、ブランディングの成功例といえます。
ブランディングを実施することで顧客に自社や商品、サービスのイメージを想起させ、選んでもらいます。それをもとに、ブランディング目的で発信したメッセージが実際にどれだけユーザーに届いているか調査し、次の施策を打ち出すのがマーケティングです。
両者は目的や役割に違いがありますが、密接な関係性にあります。ブランド力が向上すると、マーケティングのスピードアップにつながり、費用対効果も高まるでしょう。
プロモーションは販売促進の手段
プロモーションとは新規顧客の獲得や、販売促進を目指す手段のことです。ブランディングが企業のイメージアップやブランド力の向上を重視するのに対し、プロモーションは売上の促進が目的です。
製品、サービスの売上アップを目指し、宣伝したり、広告を打ったりして、消費者にアプローチする戦略を指します。
ブランディングによって自社商品のよいイメージを認知させ、他社との差別化を図り、そのうえで商品購入へつなげるプロモーションを行います。
以下の記事では効果的なPR戦略の立て方について解説しています。ご参照ください。
ブランディングを行う5つの目的・メリット

そもそもブランディングを行う目的やメリットには、主に次の5つが挙げられます。
- 競合他社と商品やサービスを差別化できる
- 価格競争を回避できる
- 顧客ロイヤリティの向上が期待できる
- 優秀な人材確保につながる
- 新規の市場開拓で成功しやすい
目的やメリットを具体的に把握することで、より効果的なブランディングが実施できるので、ぜひ参考にしてください。
1.競合他社と商品やサービスを差別化できる
ブランディングの実施により、競合他社の商品やサービスと差別化を図れます。
例えば、ある消費者がコンビニでお茶を購入する際に「よく知っている商品」と「初めて見る商品」が並んでいたとします。
その商品の味や値段に大きな違いがない場合、多くの方が「よく知っている商品」を選ぶのではないでしょうか。あるいは、多少値段が高くともブランドイメージがしっかりした商品を選ぶ人も多いでしょう。
このように、ブランディングの成功によって顧客からの信頼を得ている商品は、たとえ内容が同じであっても顧客から選ばれやすくなります。
また、ブランディングによって顧客からの高い信頼を得ている場合、新規参入しようとする新しい企業の動きを抑制できる効果もあるでしょう。
2.価格競争を回避できる
ブランディングの成功によって、商品やサービスに対し顧客からの信頼を得られていれば、価格競争を回避しやすくなります。
市場が成熟してくると、商品の機能面だけでは優位性の確保が難しくなり、価格競争のフェーズに入ってきます。
顧客の値段に対する意識は非常にシビアです。商材によっては10円単位の差額でリピーターが他社商品に流れることも珍しくありません。そのため企業側としても価格を下げざるをえず、企業や従業員が疲弊する結果を招いてしまいがちです。
しかしブランディングによるイメージ向上ができていれば、顧客にとって自社商品は「替えのきかない商品」になります。すると他社より多少高額であっても購入してくれることもあるはずです。状況によっては「値段の高さ」が「プレミア感」となり、かえって好意的に受け止められるケースもあるでしょう。
ブランディングの実施によって価格競争を回避できれば、低価格化による企業や従業員の疲弊を防げます。結果として、企業の健全かつ持続的な経営が実現しやすくなるでしょう。
3.顧客ロイヤリティの向上が期待できる
ブランディングによって顧客ロイヤリティの向上も期待できます。
顧客ロイヤリティとは、特定の企業や商品やサービスに顧客が愛着や信頼を感じることを指します。ブランディングが成功すれば、自社の商品やサービスに愛着や価値を感じてくれる顧客を増やすことが可能です。
さらに、継続的に顧客ロイヤリティを向上させることで、長期的に商品を利用してくれるファンの獲得・育成が実現できます。結果、商品やサービスのリピート率向上につながり、長期的な売上獲得が実現できるでしょう。
4.優秀な人材確保につながる
ブランディングの実施は、優秀な人材確保にもつながります。
ブランディングに成功している企業は、企業の魅力や価値観が多くの人に認知されている状態です。そのため、これから就職活動をする人にとっても、魅力的な就職先として認識される可能性が高くなります。
結果、応募者の増加につながり、企業側は多くの応募者の中からより優秀な人材を確保できるでしょう。
他にも、周囲からの高評価による従業員のモチベーション向上や離職率の低下など、ブランディングは社内によい影響を与えます。
5.新規の市場開拓で成功しやすい
ブランディングの成功により、ブランドイメージを構築できていれば、新しい市場の開拓もしやすくなります。
たとえ別の市場であっても、大きなブランドイメージを確保できていれば企業にとって大きな力となります。そのブランド力をうまく活用できれば、他市場に新規参入しても成功確率が大きく上がります。
本来であれば新規の市場開拓には低くないコストが発生します。しかしブランドイメージを利用して商品やサービスを展開できれば、PRにかかるコストを抑えることも可能です。
また関連性のある市場であれば、自社商品とのコラボレーションも可能です。コラボレーションの結果によっては、新規市場はもちろん既存市場にもよい影響を与えるでしょう。
ブランディング戦略・計画の立て方

ブランディングの戦略は、基本的に以下の順序で立てていきます。
- 現状を分析する
- ターゲットを設定する
- ポジショニングする
- ブランドアイデンティティを決定する
- ブランドの知覚価値と識別記号を合致させる
- 社内向けブランディング(インナーブランディング)を実施する
- 社外向けブランディング(アウターブランディング)を実施する
ブランディング戦略とは、自社のブランドイメージを定め、それを顧客に浸透させるための計画を立てて実行していくことです。
1.現状を分析する
はじめに、自社の現状を分析します。具体的には自社ブランドの価値や強み、自社を取り巻く市場環境など。
市場と自社、競合などの現状を分析することで、自社が今後狙っていくべきターゲットやポジションが見えてきます。同時に、これからブランディング戦略を進めていくうえで、現状の課題を把握することもできるでしょう。
マーケティングにおける自社・競合他社の分析方法については、以下の記事をご参照ください。
2.ターゲットを設定する
次に、ブランディングするターゲットを設定します。
市場と自社、競合の状況をふまえて、どういったユーザーをターゲットにブランディングを進めるか検討しましょう。自社の強みがもっとも活きる層をターゲットとして設定してください。
またターゲットを絞る際には、ペルソナまで設定しておくとよいでしょう。ペルソナとは、ターゲットの属性や興味関心などを詳細に設定し、具体的な人物像に落とし込んだものです。
ターゲットマーケティングやペルソナについては、以下の記事をご参照ください。
3.ポジショニングする
ターゲットの設定ができたらポジショニングします。ポジショニングとは、市場で自社がどのような立ち位置にあるかを明確にすることです。
自社の強みや魅力を活かしたポジショニングにより、他社との差別化が図れるでしょう。ブランディングにおいては差別化が重要であるため、他社と違う位置に立つことを優先させましょう。
なお、差別化を図るための戦略については、以下の記事をご参照ください。
4.ブランドアイデンティティを決定する
自社のブランドアイデンティティを決定します。ブランドアイデンティティとは、企業が将来目指していくイメージを明確にし、言語化したものです。これは、長期的に行うブランディング戦略の中心となります。
明確に設定することで、顧客が自社ブランドを識別し他社との違いを認識できるでしょう。顧客がブランドイメージを記憶しやすくなる効果も期待できます。
ブランドアイデンティティの構成要素は、以下の4つです。
フィロソフィー | ビジョンや価値観などのブランド哲学。ブランドアイデンティティの基礎 |
|---|---|
ベネフィット | 顧客が得られる価値 |
属性 | ブランドや商品の特性を客観的・定量的に示す根拠 |
パーソナリティー | ブランドに人間的特徴を持たせ、親近感を持ち感情移入しやすくする要素 |
5.ブランドの知覚価値と識別記号を合致させる
ブランドの知覚価値と識別記号を合致させることで、一貫したブランディングができます。知覚価値とは、ブランドから想起する価値やイメージのこと。
識別記号は、色や香り、デザインなど五感で伝えるものです。たとえば、ブランドロゴやパッケージなどをブランドイメージに合致させることで、ブランドアイデンティティを可視化できます。プロモーションにタレントを起用し、パッケージデザインに統一して掲載するといったことも当てはまるでしょう。
知覚価値だけを伝えても、顧客が他の商品との識別ができず誤って類似商品を購入してしまうおそれがあります。識別記号と知覚価値のミスマッチがあると、ブランディングは逆効果になりかねません。
知覚価値と識別記号は別々に考えず、合致させることが重要です。
6.社内向けブランディング(インナーブランディング)を実施する
社内向けのブランディング、つまりインナーブランディングの施策を検討しましょう。社外に向けて戦略を立てる前に、まず社内におけるブランディングを強化して組織全体の認識を統一する必要があるためです。
社内向けにブランディングすることで、自社への愛着や従業員同士の一体感が生まれるでしょう。結果的にブランディングの一貫性につながり、活動の推進力となります。
社内ブランディングの例は以下のとおりです。
- 社内報
- ブランドイメージ動画の共有
- 社内イベントの実施
- 社内コミュニケーションツールやSNSの活用
まず社内に向けてブランディングを浸透させることで、戦略そのものがより高い効果が得られるでしょう。
7.社外向けブランディング(アウターブランディング)を実施する
最後は、社外に向けたブランディング、つまりアウターブランディング施策の実施です。これまでに検討してきた内容を、具体的にどのように消費者へ浸透させていくかを計画しましょう。
ブランディング戦略の検討に役立つフレームワークと具体的な施策例は後述します。また実践においては、定期的に効果を測定することも大切です。効果を検証し、必要に応じて目標や戦略を修正・改善して、ブランディングを最適化していきましょう。
ブランディング戦略に役立つ6つのフレームワーク

ブランディング戦略に役立つフレームワークは、以下の6つです。
- PEST分析
- SWOT分析
- 3C分析
- カスタマージャーニーマップ
- NPS®
- BSC
より効果的なブランディング戦略を立てるために、フレームワークを活用しましょう。
PEST分析

PEST分析は、外部環境を分析し自社に与える影響を洗い出すフレームワークです。
外部環境は以下の4点から分析します。それぞれの頭文字を取って「PEST分析」と呼ばれているのです。
- Politics(政治)
- Economy(経済)
- Society(社会)
- Technology(技術)
PEST分析は、4つの観点から中長期的に自社や市場に与える外部環境の分析が可能です。景気や法改正など、外部の環境から受ける影響や脅威を把握しておくことでリスクを減らせます。
また世間の興味関心やライフスタイルなどの外部環境を把握しておくことで、ブランディングの方向性を正しく設定できるでしょう。
SWOT分析

(画像引用:日経ビジネス「知ったかぶりのSWOT分析をビジネスに生かせますか?」)
SWOT分析は、外部・内部それぞれから見た企業の現状を把握するためのフレームワークで、以下の4点を分析します。
- 強み(Strength)
- 弱み(Weakness)
- 機会(Opportunity)
- 脅威(Threat)
外部の要素は市場や競合他社などコントロールできない要素で、内部の要素はブランド力や商品・サービスなど自社でコントロールできる要素です。
SWOT分析を行うと、自社の強みがわかると同時にリスクも把握できます。活用することで計画の土台が作れるでしょう。
3C分析

3C分析は、マーケティングの環境を分析するためのフレームワークです。市場の把握や競合の存在、自社の強みなどが客観的に分析できます。
3C分析は以下の3点から分析します。
- Customer(市場)
- Competitor(競合)
- Company(自社)
まず市場・顧客のニーズを分析します。その後、競合の状況を分析することで、自社の強みを見つけやすくなります。
3C分析について、くわしくは以下の記事をご参照ください。
カスタマージャーニーマップ
カスタマージャーニーマップは、顧客が商品を認知してから購入するまでの感情や行動の変化を把握するためのフレームワークです。

(画像引用:株式会社THE MOLTS(カスタマージャーニーマップとは|作り方と具体例【テンプレート付】)
上図はアパレルショップにおける、ユーザーの行動変化を想定して作られたカスタマージャーニーマップの一例です。
顧客の思考や感情まで深掘りするため、より具体的な施策を検討できます。カスタマージャーニーマップは、縦軸・横軸にそれぞれ以下の項目などを設定します。
縦軸の設定は以下のとおりです。
- 顧客行動
- 顧客接点
- 思考
- 課題感
- 対応策
横軸には以下を設定します。
- 認知
- 興味・関心
- 比較・検討
- 行動
カスタマージャーニーマップを作成することで、顧客の購買行動への理解が深まるため、具体的にいつ・どこで、顧客と接点を持つかが想定できるようになります。また顧客目線に立つことで、これまで気づけなかったニーズに気づくこともあるでしょう。
NPS®

(画像引用:日経メディカル「患者満足度調査って本当に役立つの?」)
NPS®︎は、顧客ロイヤリティを調査するフレームワークです。「Net Promoter Score(ネットプロモータースコア)」の略で、顧客推奨度を表します。
以下の計算式で出た数値がNPS®︎(顧客推奨度)の指標で、数値が高いほど推奨者が多いといえます。
NPS®︎=推奨者の割合-非推奨者の割合
NPS®︎はアンケートによって測定できます。質問例は「あなたはこの商品を親しい友人や家族にどの程度すすめたいと思いますか?0〜10点で点数をつけてください。」など。
点数により以下の分類ができます。
分類 | 批判者 | 中立者 | 推奨者 |
|---|---|---|---|
点数 | 0〜6 | 7〜8 | 9〜10 |
アンケートでは、精度を高めるため点数をつけた理由も尋ねることが多いです。
なおNPS®︎は、今後利用する意思を測定するものであって、現状の満足度を測定する「顧客満足度」とは違います。
BSC

(画像引用:経営教育研究所「学習塾版BSC」)
BSCは、企業の業績や戦略を以下の4点で評価するフレームワークです。BSCとは、「バランススコアカード」の略称です。
- 財務
- 顧客
- 業務プロセス
- 学習と成長
それぞれの意味は以下のとおり。
- 財務:売り上げ成長率や営業利益率など、財務的に成功するための要因
- 顧客:顧客満足度など顧客視点での有益性
- 業務プロセス:財務や顧客満足度などをどのようなプロセスで改善していくか
- 学習と成長:戦略を実現するための変化・改善に必要な能力
BSCを作成すると多角的な視点から経営バランスを判断できるため、偏りなく適切な目標設定や戦略の見直しができるでしょう。複雑化した現代の経営環境のなかでも、問題点を整理できることがメリットです。
Apple・スターバックス…有名企業のブランディング戦略

さて、ここでブランディングのイメージをより理解するために、以下の企業のブランディング戦略を紹介します。
- Apple(アップル)
- スターバックス
- 無印良品
- レッドブル
自社のブランディングのご参考にしてください。
Apple(アップル)

(画像引用:Apple公式サイト)
iPhoneやMac、iPadなど世界中に愛用者の多いプロダクトを開発、発表しつづけるAppleのブランド力といえば、以下が挙げられるでしょう。
- ストーリー
- デザイン
- 高い操作性
各プロダクトのシンプルで洗練されたデザイン性や、初めて使う人にもわかりやすい操作性、ユーザビリティーの高さを支持するファンも多いと思いますが、注目したいのは1番目に挙げた「ストーリー」。
企業が新しい商品やサービスを開発するときの考え方として「マーケットイン」と「プロダクトアウト」というものがありますが、前者は事前にユーザーの声を集め、ニーズに沿ったものをリリースする戦略、そして後者は自社の理念を優先して企画する戦略のことを指します。
Appleは自社の技術とブランド力を信じ、プロダクトアウトの手法を取りました。結果、それまで世に存在しえなかった斬新なプロダクトを連発してユーザーを感動させつづけ、その後の成功はいうまでもありません。
このとき、CEOであったスティーブ・ジョブズが都度自ら新商品についてプレゼンを行うというのがお決まりでした。今でこそ他社が同様のことを実施してもAppleの前例があるため驚く方は少ないと思いますが、当初はかなり珍しかったのではないでしょうか。
Appleの広告というと1997年に制作された「Think Different」というCMは今や伝説として語り継がれるほど有名ですが、その内容は、人からクレイジーだと揶揄されていた人たちが世界を変えて偉人になった、世界を変えられると信じている人たちだけが世界を変えられる、といったもの。
このときのCMにはAppleについて、あるいはその商品についての説明は一切ありませんでした。ただ最後に「Think Different」というメッセージとAppleのロゴが表示されるのみ。こういった理念を持った企業のCEOが新商品を開発するたびに自身の声で紹介するということ、それは大きなブランディングになったことでしょう。
現代社会におけるAppleの多大なる影響力についてはいうまでもありませんが、ひとつ指標を示すとしたら、2025年の時点でそのブランド価値はあらゆるグローバル企業の中で13年間も首位を獲得しつづけています。
参照:日本経済新聞「ブランド価値、Appleが世界首位 「ニッサン」は3割減」
スターバックス

(画像引用:スターバックス公式サイト)
自宅とも職場とも違う、気軽に集まることのできる居心地のいい第3の場所=「サードプレイス」を提供するというブランディング戦略で独自のブランド作りに成功しているスターバックス。
大事にしてきたのは「店舗体験」。たとえば2014年には契約社員制度を廃止し、当時800人いた国内契約社員を全員正社員として雇用しました。そのうえで徹底した研修制度、キャリア育成プログラムを実践することで、従業員の満足度も高めながら同時に、お客様と充実したコミュニケーションを取れる従業員を育てあげ、スターバックスでしか得られない経験を常に意識しています。
くわえて数々の期間限定の商品を展開しても公式サイトや自社SNSで告知するにとどまり、広告をむやみに打ち出さず、あくまでも店舗体験を大事にしてきたことで、新規顧客はもちろん、リピーターも増やしつづけているのです。
スターバックスは、2020年に実施されたオリコン顧客満足度調査で、カフェ部門で1位となりました。また、新型コロナウイルスの影響で2020年度に一度下降したものの、翌年からは売り上げ(営業利益)も順調です。
年度 | 連結営業利益 |
|---|---|
2020年度 | 16億ドル(約2,279億円) |
2021年度 | 49億ドル(約6,979億円) |
2022年度 | 46億ドル(約6,553億円) |
2023年度 | 59億ドル(約8,405億円) |
2024年度 | 54億ドル(約7,691億円) |
(日本円は2025年4月16日時点のドル円レートで計算)
参照:オリコン顧客満足度ランキング「カフェ総合ランキング」
参照:Starbucks Corporation「Annual Reports」
無印良品

(画像引用:株式会社良品計画「事業紹介」)
無印良品は、1980年の誕生以来、「印の無い良い品」という思想のもと、「これがいい」ではなく「これでいい」を目指した商品展開をしています。
コンセプトは以下の3つです。
- 素材の選択
- 工程の点検
- 包装の簡略化
上記コンセプトによる簡潔で「豊かな低価格」な商品ラインナップは、流行や年代問わず幅広く支持されています。また、飲食事業や建築・空間設計事業などさまざまな事業を展開しています。
現在の店舗数は、世界29ヶ国で1,474店舗です(2025年8月末時点)。
参照:株式会社良品計画「会社概要」
レッドブル

(画像引用:RED Bull「製品」)
レッドブルは、スポンサー契約やSNSを活用したブランディング戦略で成功しています。「翼をさずける」のキャッチフレーズで知られ、成分や効能などをアピールしていません。
ブランディング戦略によって、飲むと「気分が上がる」「元気になれる」などのイメージを浸透させました。
レッドブルのブランディング戦略は、主にSNSでのプロモーションやエクストリームスポーツチームとのスポンサー契約です。2021年には約88億円も売り上げています。
参照:@DIMEアットダイム「レッドブルはなぜ、世界的な企業へと成長を遂げたのか?」
ブランディングの成功事例をより知りたい方は、以下の記事でも紹介しておりますのでご参照ください。
ブランディング戦略の施策例

次にブランディング戦略をどう進めていけばいいのか、具体的に考えてみましょう。実施する施策例は以下のとおりです。
- ロゴの作成や社名の変更
- オウンドメディアや自社サイトでの情報発信
- イメージキャラクターの起用
- キャッチコピーなどのブランドメッセージ作成
- ブランディングを意識したテレビCMの放送
- スポンサー契約
- 商品パッケージのリニューアル
複数の施策を掛け合わせることで、より効果を発揮できるでしょう。
ロゴの作成や社名の変更
一つ目は、ロゴの作成や社名の変更によるブランディング方法です。ロゴを作ることで企業の理念や商品・サービスのイメージをビジュアルで伝えられます。
デザインは図形や文字、それらを掛け合わせたものなどさまざまです。世間に浸透すれば、商品にロゴが入っているだけで他社製品との差別化ができます。
また、社名を変更することでブランドイメージを大きく変えることもできるでしょう。
サービス名と社名の統一やアルファベット・カタカナ化するなど変更の内容はさまざまですが、社名の変更は企業イメージを大きく変える要素であり、ブランディング戦略においても有効でしょう。
さらに、近年の社名変更では、特に「グローバル市場での認知獲得」「主力ブランドへの統一」がトレンドとなっています。以下が主な例です。
旧社名 | 新社名 | 主な変更理由 | 変更年 |
|---|---|---|---|
日本電産株式会社 | ニデック株式会社 | グローバルブランド強化 | 2023年 |
凸版印刷株式会社 | TOPPANホールディングス株式会社 | グローバルブランド強化 | 2023年 |
日立造船株式会社 | カナデビア株式会社 | 事業実態の反映、グローバルブランド強化 | 2024年 |
サッポロホールディングス株式会社 | サッポロビール株式会社 | 主要ブランドの再定義 | 2026年 |
マルハニチロ株式会社 | Umios株式会社 | グローバルブランド強化 | 2026年 |
オウンドメディアや自社サイトでの情報発信
オウンドメディアや自社サイトで情報発信することでブランディングが可能です。オウンドメディアや自社サイトを使い、有益な情報を発信し続けることで、見込み客と信頼関係を築けます。
主なオウンドメディアの種類は、以下のとおりです。
- Webサイト
- SNS
- メールマガジン
- パンフレット
オウンドメディアで購買意欲を醸成させ、最終的に購買へつなげたり、自社サイトへ送客したりすることが可能です。
アンバサダーを起用している企業においては、オウンドメディアと掛け合わせることで、より効果的にブランディングできるでしょう。
アンバサダーマーケティングについてはこちらの記事で詳しく解説しています。
イメージキャラクターの起用
イメージキャラクターを起用したブランディングも有効です。キャラクターの持つ、よいイメージを企業イメージに反映させられるからです。ブランドロゴのように視覚的に企業イメージを世間に認知させられるでしょう。
また、キャラクターはSNSやオウンドメディアとも相性がよく、同時に活用することで相乗効果が得られる可能性があります。
キャラクターには、ゲームやアニメのような創作物を活用する場合とタレントを起用する場合などさまざまです。
イメージキャラクターに芸能人を起用する方法については、こちらの記事で詳しく解説しています。
キャッチコピーなどのブランドメッセージ作成
キャッチコピーやブランドメッセージを作成することでブランディングもできます。キャッチコピーやブランドメッセージは、企業理念や強み、商品・サービスのイメージなどを短い言葉で表現したものです。世間に浸透すれば一言でブランドのイメージを想起させられるでしょう。
たとえば「ロッテ」は、皆様に長く愛され続けたいとの想いから「お口の恋人」をコーポレートメッセージにしています。他に、建築現場で働く人々のプライドや誇りを表した大成建設の「地図に残る仕事」なども広く知られています。
参照:株式会社ロッテ「社長メッセージ」
参照:大成建設株式会社「地図に残る仕事。大成建設」
ブランディングを意識したテレビCMの放送
ブランディングを意識したテレビCMを放送することでブランディングが可能です。

(画像引用:総務省「白書 令和6年版データ集」)
webサイトやSNSが広く普及され、多くのユーザーに支持される現代ですが、それでも総務省による日本の媒体別広告費の推移を見ると、テレビの規模は未だほぼ横ばい状態です。当然ながら効果のないメディアに広告費を割くとは考えにくいため、今なおテレビは大きな影響力を持っているということなのでしょう。
つまりテレビ放送には一定の信頼性があり、ブランディングにおいても効果的といえます。とくに自社のイメージキャラクターやタレントを起用することで、より効果的にアピールできるでしょう。
スポンサー契約
スポンサー契約することでブランディングも可能です。スポンサー契約は、アスリートなどスポーツの分野がイメージしやすいですが、他にもさまざまなジャンルがあります。
- 文化
- 芸術
- スポーツ
- エンターテインメント
スポンサー契約した対象のファン以外にもブランディングは有効です。たとえば、スポーツブランドのスポンサーであれば、そのスポーツのファンにもアピールできます。
さらにアスリートの持つ強靭さや挑戦する姿勢など、さまざまなイメージと企業イメージを重ねられるでしょう。
アスリートを広告に起用する効果については、以下の記事をご参照ください。
商品パッケージのリニューアル
商品パッケージをリニューアルすることでもブランディングできます。パッケージ自体に訴求効果があるためです。
パッケージのリニューアルは商品イメージを変える以外に、新たな企業イメージへつなげることもできます。パッケージにロゴやキャッチコピーを表示すれば、さらにブランディングを強化できるでしょう。
パッケージに話題性があればSNSで拡散される可能性もあります。

(画像引用:日本経済新聞「湖池屋ポテチの再ヒット 3カ月で売り上げ20億円超え」)
湖池屋は、2020年に「湖池屋プライドポテト」の味やパッケージなどをリニューアルしました。その結果、2017年2月度の売り上げと比較して1.2倍、発売3ヶ月の時点で20億円を突破しています。
参照:日本経済新聞「湖池屋ポテチの再ヒット 3カ月で売り上げ20億円超え」
▼お役立ち資料のご紹介「タレント活用で実現する信頼構築の新常識」

ブランディング戦略が必要な理由

ブランディング戦略が必要な理由は、以下のメリットが期待できるためです。
- ブランドに付加価値を与える
- 競合他社と差別化できる
- 認知度を高められる
- 顧客ロイヤリティを高める
- 資金調達に好影響を与える
- 社内の人材確保も期待できる
ブランドに付加価値を与える
ブランディングにより、ブランドに付加価値を与えることで消費者がブランドを認識し想起しやすくなります。ブランドイメージが消費者に浸透することで、販促費をかけなくても商品の売り上げ向上が期待できるでしょう。
競合他社と差別化できる
ブランディングすることで、競合他社との差別化が可能です。現代は類似商品・サービスが数多く見られるため、差別化が難しいといえます。
そのなかで自社のイメージを浸透させ、他社との差別化を図ることは多くのメリットにつながるでしょう。たとえば、価格競争を回避しやすくなり、長期的に商品を利用してもらえるなどです。
認知度を高められる
ブランディング戦略により、企業や商品の認知度を高められます。施策を進めるなかで露出が増え、印象づける効果が期待できるためです。
認知度が高まれば消費者が商品を選びやすくなるため、売り上げアップにつながるでしょう。
顧客ロイヤリティを高められる
ブランディングすることで、顧客ロイヤリティを高めることもできます。ブランディングにより、ブランドコンセプトが顧客にしっかり伝わるためです。
ブランドコンセプトと顧客の価値観が一致したときに、そのブランドを利用することが顧客のアイデンティティになるでしょう。そのとき顧客は、ブランドに対して愛着・忠誠心があるため、価格よりもブランドコンセプトを重要視します。
資金調達に好影響を与える
ブランディングは、資金調達にも好影響を与えます。
まったく無名の企業においては、融資を受けるなどの資金調達に苦労する可能性もあります。しかし知名度が高く、すでに社会貢献していることが認知されている企業であれば、投資家から信頼を得られやすいでしょう。
社内の人材確保も期待できる
ブランディングは社内的な効果も期待できます。ブランディングによって企業理念やビジョンが社内全体に浸透するためです。
その結果、従業員のモチベーションが上がり、会社に愛着が沸くため離職率を低下させる可能性があります。優良な企業イメージは入社希望者の増加につながり、人材確保にも好影響です。
タレント起用もブランディング戦略の一つの手

ブランディング戦略は、現状を分析し、ターゲットの設定やポジショニングなどを行いながら進めていきましょう。自社の強みを活かして他社との差別化をし、一貫した明確なコンセプトを掲げることが重要です。
前述のとおり、ブランディングにおいてイメージキャラクターを起用すると高い効果が見込めます。そのなかでも、すでに知名度やよいイメージを持っているタレントを起用することは効果的な手段の一つです。
しかしタレント起用には多額の費用がかかるため、導入を見合わせている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
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