マーケティング戦略

SNSの普及により、情報は瞬時に広まりやすくなり、ユーザー同士の共感やシェアが新たな価値を生む時代になりました。そんななか、注目されているのが「ミームマーケティング」です。
ミームマーケティングとは、インターネット上で流行しているネタやフォーマットを企業が戦略的に活用し、話題化やファンコミュニティの活性化を狙う手法です。
本記事では、具体的なミームマーケティングの事例やその効果、成功のポイントなどを解説し、マーケティング戦略に活かせる知見を提供します。

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ミームマーケティングとは、インターネット上で流行している画像や動画、フレーズ、あるいはそれらを組み合わせたネタやフォーマット、すなわち「ミーム」を企業が戦略的に活用するマーケティング手法です。
ミームを取り入れることで、広告色を強く出さずに自然なかたちで情報を届けられるだけでなく、SNS上で共有されやすく、低コストでバイラル性の高い話題を生み出せることが期待できます。
投稿が拡散される過程でブランド認知が広がることが期待でき、特にトレンドに敏感な若年層へのリーチに効果的でしょう。
ミームマーケティングが広く浸透するようになった背景には、「共感・シェア」がひとつの評価軸となったSNS時代ならではの環境にあります。ユーザー間で使われるミームを活用することで、企業は親しみやすいイメージを与えることができ、ブランド印象の向上につなげられるのです。
トレンドの移り変わりが非常に速い現代では、いかに「今」の流行に乗れるかどうかが話題性を作る鍵となるでしょう。
ミームマーケティングにおいてはユーモアや風刺を効かせた画像や動画、テキストを活用することが多く、ブランドのメッセージと親和性が高いコンテンツを制作すれば、自然なかたちで顧客エンゲージメントを促進できるでしょう。
ただし、時代遅れや不適切表現と見なされるリスクも伴うため、流行を正確にキャッチし、ブランドイメージと合致する表現を行うことが重要です。
ミームマーケティングはSNS時代における話題化やブランド認知向上に効果的な手法であり、戦略的に取り入れることで、ユーザーとの距離を縮めながら、親近感のある企業イメージを築くことができるでしょう。

ミーム広告とは、クリエイティブに人気のミームやミーム的表現を取り入れ、ユーザー生成コンテンツ(UGC)の創出やバズを狙った広告のことです。SNS上で自然に拡散されやすく、ブランドのメッセージを親しみやすく伝える手法として注目されています。
広告の印象をやわらげることで、ユーザーが楽しみながら参加しやすくなり、認知度やエンゲージメントを高めることができるでしょう。
具体的には、定番のミームフォーマットを広告に応用し、ブランドの商品やサービスをアピールする方法があります。人気のフレームを活用することで、ユーザーに伝わりやすく、自発的にシェアしたくなるコンテンツが生まれます。
こうした仕組みによって、UGCが生成され、自然なかたちでバイラルマーケティング効果を狙うことが可能です。
ミーム広告のメリットは、親近感やユーモア、参加性を備えている点です。ユーザーが自分なりにアレンジして投稿することで、ブランドとの距離が縮められるので、あまりコストをかけずに話題性を高められます。SNSのアルゴリズムとの相性も良く、短期間で注目を集めバズを生みやすいです。
一方で注意点もあります。流行のタイミングを逃すと「時代遅れ」という印象を与え、逆効果になる可能性があるほか、風刺や自虐的表現、文化的・政治的要素を含む場合は表現方法に配慮しないと炎上リスクを伴います。
ブランドのトーン&マナーを守り、ユーザー目線に立って発信することが重要です。

ミームマーケティングには、拡散力やコスパなど、さまざまな効果が期待できます。
ミームマーケティングは、ユーザーが自主的にシェアしたくなるコンテンツを作ることで、自然な拡散を促します。ユーモアがあり共感を誘う画像やGIF、短い動画などを用いることでUGCが生まれやすくなり、ブランドメッセージが口コミのように広がるでしょう。
特にSNS上では、注目されやすいトレンド要素や話題性のあるミームを取り入れることで、短時間で大きな露出効果を得られる点が強みです。
ただし、もちろん流行している画像や動画などをそのまま流用する場合は投稿者や制作者など著作権、肖像権の保有者に許可を取る必要があります。
あるいは、多くの企業は流行したフレームのみを利用してオリジナルの画像や動画を制作して発信するようにしているので、今後取り入れる場合はどちらかの手法を取るようにしましょう。
web広告を打ち出すのと比べるとミームマーケティングはコストをあまりかけずに話題化が狙えます。
話題のフレームを活用し、発信のタイミングと表現方法さえ誤らなければ、そこまで画像や動画制作にリソースを割かなくても十分に効果を発揮し、認知拡大やファンコミュニティの活性化に期待が持てます。
流行しているミームを企業のトーンや世界観に合わせて活用することで、視聴者の関心を引きつけ、コストを抑えて効率的にバズを生むことができるでしょう。
ミーム広告を打ち出すことで、ユーザーに「楽しみながら接することができるブランド」として認識されやすくなることが期待できます。ユーザー間で流行しているネタを応用した表現は、ターゲットに親近感を与え、共感を生みやすくなるでしょう。
企業とユーザーの心理的距離が縮まり、ブランドに対する関心や好意を生み出し、育成することにつながります。
ユーモアや流行を取り入れることで、親しみやすさだけでなく、柔軟でトレンドに敏感な印象を与えられます。SNSなどを中心に話題のミームを素早くキャッチしてアウトプットする姿勢は、情報収集力と発信力の高さを示唆することができるでしょう。
ミームを使った広告や投稿にユーザーから好意的なコメントが寄せられたときは、丁寧に対応することでファン化やコミュニティ醸成につなげられるでしょう。

ミームマーケティングは、企業が親しみやすいブランドイメージを築き、ユーザーと距離を縮める手法として活用されています。ここでは、注目を集めた3つの事例を紹介します。
2025年2月、アース製薬がX(旧Twitter)で投稿した「エッホエッホ」というミームを使った投稿が話題を呼びました。
エッホエッホ
— アース製薬🌏 (@EarthOfficialJP) February 26, 2025
はやくあたためてあげなきゃ
エッホエッホ pic.twitter.com/oTz1KhuYBJ
「エッホエッホ」は、走っているように見えるメンフクロウの赤ちゃんの写真から生まれたミームで、リズミカルな語感と人が走っているように見える姿がユニークでSNS上で広まりました。
「◯◯は◯◯◯って伝えなきゃ」といった構文と共感を呼ぶネタを組み合わせた投稿が多数見られます。
短い言葉とシンプルな構成ながら、ネットで流行していたフォーマットを巧みに活用したことで5.5万回以上のインプレッションを記録し、ユーザーからは「アースさんやること早い」「バスロマンが走ってる!」といったコメントが寄せられました。
宣伝色を抑えたユーモア投稿により、直近の通常投稿(インプレッション1.5万前後)と比べて5.5万回以上のインプレッションを獲得し、多くのコメントが寄せられるなど、ユーザーのアクションを促し、ファン化につながった可能性があります。遊び心と親近感を両立させた、ミーム活用の成功例といえます。
@komedascoffee コメダも流行りに乗りたくてコメダミーム作ってみた🐱 どの猫の真似してるか当ててみて👀✨ ※猫の音声は全て社員の肉声で作成しています😇 #猫ミーム #猫マニ #自分ミーム #社会人の日常 #猫ミーム日常 #コメダミーム #コメダ社員の日常 #あるある #猫ミーム作ってる人と繋がりたい #猫の日
♬ オリジナル楽曲 - コメダ珈琲店【公式】 - コメダ珈琲店【公式】
2024年2月22日の“猫の日”に、コメダ珈琲店がTikTokで投稿した猫ミーム動画が注目を集めました。猫ミームとは、「説教猫」や「チピチャパ猫」など、SNS上で話題になった猫の映像にセリフや効果音を加えて“日常あるある”を表現するフォーマットのことです。
コメダ珈琲店はその猫の映像を使わず、従業員が再現するというユニークな制作方法で猫ミームを再構築しました。結果、公開から間もなく200万回再生を突破し、2025年10月時点で85,100件の「いいね」を獲得。通常の投稿と比べても非常に大きな反響を得ました。
誰かこの写真顔だけ明るくできたりしますか?💦💦 pic.twitter.com/Sdx3ZcvXGV
— Duolingo(デュオリンゴ) | 日本公式🇯🇵 (@Duolingo_Japan) August 21, 2024
語学学習アプリDuolingoの日本公式Xアカウントは、キャラクターのフクロウ「Duo」によるミームや時事ネタを巧みに組み合わせたユーモアな投稿で注目を集めています。
特に話題となった投稿は、Duoの着ぐるみをあえて逆光で撮影し「誰か顔だけ明るくできたりしますか?」と呼びかけたもの。インプレッションは1,273万以上(2025年11月時点)を記録しました。
このミームは、笑顔に加工して表情を“明るく”したり、顔が判別できないくらいライトを反射させたり、ユーザーが大喜利のようにリプライをつなげて完成する参加型の構文。
元ネタは被写体をされている女性ユーザーによる投稿でしたが、その翌日に早速応用しているというスピード感もバズを生んだ要因でしょう。

ミームマーケティングで成果を出すには、いくつかのポイントがあります。まず重要なのはスピード感です。流行中のミームを素早く取り入れることで、拡散力や注目度を最大化できるでしょう。タイミングが遅れると話題性が薄れ、効果も半減してしまいます。
ユーザー目線も意識しましょう。ミームは共感や笑いを生むコンテンツのため、企業側の押し付けにならず、自然に楽しめ、思わずシェアしたくなる要素を盛り込むことで、UGCの創出も期待できます。
ブランド要素を不自然に組み込んでもいけません。自社の見せたいブランドイメージとミーム流行の背景をふまえて親しみやすい印象を与えられるような投稿を意識しましょう。事前に目的や目標を明確にしておくと、戦略がぶれにくくなります。
最後に、リスク管理も忘れてはいけません。文化的背景や不適切な表現には十分に注意しましょう。既存のミームを活用する場合は、著作権や肖像権への配慮も必要です。こうした点を意識することで、安全かつ効果的にミームマーケティングを遂行できるでしょう。

ミームは、低コストながら高い拡散力を持つSNS時代の強力なマーケティング資産です。遊び心を取り入れ、流行を素早く捉えることで、注目を集めるだけでなく、親しみやすさや共感を呼び起こすことができるでしょう。
成功の鍵は、タイムリーな仕掛けとユーザー目線のコンテンツづくりです。日常的にトレンドを観察し、学びながら戦略的に活用することで、次のSNS施策の成果につなげられます。
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