マーケティング戦略
タクシー広告は近年の広告市場で特に注目が高まっている媒体の1つです。デジタルサイネージの普及により、従来のステッカーや車体広告以上に表現の幅が広がり、特にタクシー利用の多いビジネスパーソンや富裕層をターゲットとした企業・ブランドから期待が寄せられています。
本記事では、タクシー広告市場が拡大している背景と、ターゲット層の特徴や成功事例について解説します。
タレント×マーケティングで
成果を最大化
タクシー広告の市場規模は、デジタルサイネージの普及に伴い急成長しています。従来のステッカーや車体広告に加えて、より記憶に残りやすい広告発信ができるようになりました。
なおタクシー広告の始まりや実際に配信する際の費用、効果などについてはこちらの記事をご覧ください。
車内に設置したモニターに映像広告を流すタクシーサイネージメディアの普及が広がっています。
CARTA HOLDINGS社とデジタルインファクト社によるデジタルサイネージ広告市場に関する共同調査によると、その市場規模は右肩上がりに拡大しつづけ、2027年には約1,400億円に達すると予測されています。
特に交通広告は大きな基盤となっており、なかでもタクシー広告は首都圏の媒体取り付けがほぼ完了したことで安定成長期へと移行していると発表。広告主にとっては、低リスクで効果が期待できる媒体といえそうです。
参考:CARTA「CARTA HOLDINGS、デジタルサイネージ広告市場調査を実施~2023年のデジタルサイネージ広告市場規模は801億円の見通し、2027年には1,396億円と予測~」
タクシーサイネージメディアが広告業界から注目を集める理由は、単なるデジタル技術の革新によるものだけではありません。
タクシーサイネージメディアが注目される理由
タクシーを利用すると一定時間車内で過ごすこととなり、目の前に設置されたモニターは視界に入りやすいでしょう。
また、タクシーの利用者層はビジネスパーソンや高所得層が中心であるため、ターゲット層を絞って効果的に訴求できることも強みです。
タクシー広告は「不特定多数に届ける」よりも「特定のターゲット層に確実に届ける」点で強みのある広告媒体です。出稿する前に把握しておきたい、タクシー広告の主なターゲット層について詳しくご覧ください。
タクシーを日常的に利用する方であれば、経営層など高所得層の可能性が高いと推測できます。ラグジュアリーブランドや不動産などの高価格帯の製品・サービスの広告は、一気に認知度を上げられるかもしれません。
高所得のターゲット層に訴求するうえで大切なことは、高級感と信頼性を前面に出すことです。高所得層の方が安心して利用でき、社会的な成功を連想させる広告を出稿することで、大きな効果が期待できます。
訴求のポイント
営業職など外回りの多い都心のビジネスパーソンも、タクシーを多く利用する傾向にあります。ビジネスにおけるスキルアップに関連する広告に関心が高まるでしょう。
必要な知識を学ぶための方法など、普段の業務に役立つ情報から関心を集め、訴求内容へ誘導するといった戦略が考えられます。
映像広告では情報をかいつまんで解説し、自社サイトなどに誘導して「仕事の合間にチェックしたい」と思わせるコンテンツ設計が作れれば、よりリーチ率の向上を目指せるでしょう。
訴求のポイント
インバウンド需要の高まりとともに、都心部や観光地でタクシーを利用する外国人観光客も増えています。
外国人観光客は宿泊施設や飲食店、レジャー施設など幅広く領域を跨いで消費する層であり、限られた旅行期間中にしか接触できないことから消費意欲も高いことが特徴です。
なかには長期滞在する富裕層も多く、国内レジャー施設のラグジュアリーサービスに関心を持つ方も多いでしょう。インバウンド向けのサービスや特典を強調して訴求すれば、さらに注目を集められるかもしれません。
訴求のポイント
ここからは、タクシー広告を出稿したことでマーケティングに成功した事例を3件紹介します。
KINUJOはドライヤーやヘアアイロンなどを展開する美容家電ブランドです。「絹女(KINUJO)」というネーミングからわかるとおり、ターゲット層は主に女性。先述のタクシー広告のターゲット層と完全にマッチしているわけではありません。
しかし、「女性へのプレゼントにおすすめ」というメッセージでタクシー広告を展開したことで、経営層や富裕層といったタクシーの利用者層の関心が集まりました。
直接商品を利用する層ではなく、プレゼントとして購入する可能性のある高所得層を狙ったマーケティングはSNSでも話題となりました。
Sky株式会社は非上場BtoB企業ということもあり、認知度の上昇を目標に掲げて2019年にタクシー広告を出稿。
すると藤原竜也さんという人気も知名度も高い俳優をイメージキャラクターに起用したこともあって、一気に認知されるようになり、またSNS上などで話題にもなりました。
結果、2023年には売上高1,049億円を突破する大躍進を遂げ、現在も引き続き成長しつづけています。
認知拡大につながった理由には、まず藤原さんの影響力が挙げられるでしょう。ターゲットであるビジネスパーソンから強く支持されていること、また数々の作品において高い評価を得ていることから信頼性も感じられ、それが企業のイメージにもつながります。
著名人を起用することでブランディングを図る方法とイメージキャラクターについては、以下の記事をご覧ください。
くわえてタクシーの利用者には経営層や管理職といった事業の意思決定者が多く、web広告ではなかなかリーチしづらいこの層にタクシー広告を通じてアプローチできたという点も大きいでしょう。
BtoB企業にとって、決裁権を持つ者からの認知は必要不可欠。属する領域において第一想起を獲得できれば、効率的にサービスの強みを伝えることができます。
こうした理由から、Sky株式会社はタクシー広告出稿による成功事例として多くの注目を集めています。
「ひみつのPRIME」はタクシーメディア「TOKYO PRIME」内で配信されている1分前後のオリジナル番組で、MEGUMIさんが声優を務めるメインキャラクターのうさぎ「ラヴィさん」が毎回変わるゲストとトークを繰り広げています。
2024年に開始され、初回ゲストには長澤まさみさんが登場し、以降も豪華な方々が出演されていることから、多くの乗客が楽しんでいます。
アメリカ発祥匿名掲示板Reddit上でスレッドが立てられるなど、インバウンド観光で乗車した外国人の関心も引いていることがわかります。
参照:Reddit「What is the rabbit puppet interviewing (I assume) celebrities on the TVs in taxis?」
タクシー広告はデジタルサイネージの普及など技術の進化によって依然成長しつづけています。今回は3つの技術に焦点を当てたのでご覧ください。
「タクシー広告」と検索するとあわせて「顔認証」という言葉が候補に挙がってくることがあります。過去に車内に搭載されたカメラで乗客の顔から年齢や性別を推測し、広告を出し分けていたことがあるためでしょう。
しかし現在はプライバシーの観点からほとんど実施されていません。特に多様性が広まった現代において、顔だけで判断できる属性に応じて広告をセグメント配信することは、自社の新規顧客獲得をより難しくする可能性もあると考えられるでしょう。
AIの発展はタクシー広告の進化にも深く関わっています。具体的には車内カメラやセンサーから読み取った情報をもとに性別や年代を推定し、広告を出し分けする技術です。
顔認証機能よりもプライバシー侵害リスクが少ないということで、導入するタクシー会社が増えています。
特に注目すべきは、AIの技術を用いれば乗客ごとに興味・関心のある領域を把握することが可能となるのではないかと期待されている点。実際にそれを可能としたうえで、乗客の周辺環境や時間帯も考慮できるGoogleのAI技術を活用したタクシー広告の提供が進んでいます。
近年注目されているものが、車窓サイネージです。車窓サイネージとは、タクシー車内に設置したプロジェクター機器を用いて車窓に映像を投影するサイネージ広告のこと。
ニューステクノロジー社が2021年に国内初のサービスとしてリリースし、同年に「デジタルサイネージアワード2021」の優秀賞に輝きました。
参照:株式会社ニューステクノロジー(PR TIMES)「国内初のタクシー車窓サイネージサービス「Canvas」「デジタルサイネージアワード2021」にて優秀賞を受賞!
通行人やほかの車両ドライバーがタクシーの窓から映像広告を視聴でき、インパクトの強さから大きな宣伝効果も見込めるでしょう。夜間でも視認性が高いため、新たな屋外広告メディアとしてにわかに注目を集めはじめています。
タクシー広告はデジタルサイネージやAI技術の普及、進化とともに市場規模が拡大しています。特に高所得層やビジネスパーソンなどの利用者が多いという特徴があることから、ターゲット層を意識した広告出稿により、効果的なプロモーションを目指せるでしょう。
タクシー広告により認知度やブランドイメージの向上、売上アップにつながった事例もあります。自社製品やサービスのターゲット層がタクシー乗車層と一致している場合は、ぜひタクシー広告への出稿を検討してみてください。
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