マーケティング戦略

web広告が飽和し、ユーザーの目に留まりにくくなっている今、リアルな場で自然に認知を広げる手法に関心が高まっています。
そのひとつが「マイカー広告」。一般ドライバーの自家用車にステッカーを貼る、あるいはラッピングを施し、日常走行を通じて宣伝効果を狙う新しいOOH(屋外広告)です。
マイカー広告は、タクシー広告やバス広告よりも低コストで始められ、生活動線のなかで自然に認知を広げられるでしょう。一方で、走行ルートの管理やブランドリスクマネジメントなど、注意すべき点もあります。
この記事では、マイカー広告の仕組みや広告主目線におけるメリット・デメリットを中心に、活用例まで言及します。

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マイカー広告とは、一般ドライバーが所有する自家用車に広告を掲載し、街中を走行することで宣伝効果を狙うOOH(屋外広告)です。
OOHについては以下の記事でくわしく解説しているので、あわせてご覧ください。
日常の走行そのものがプロモーションとなり、生活者に自然にブランドや商品を認知してもらえる効果が期待できます。
従来の交通広告、たとえばタクシーやバス、電車広告と異なり、一般ドライバーの自家用車を媒体としている点が大きな特徴です。
なお、タクシー広告や車体広告については、それぞれ以下の記事をご覧ください。
バスや電車のように決まった走行ルートを走るのではなく、ドライバーの生活動線に沿って様々なエリアに広告を届けられるため、不特定多数の日常の行動範囲に届けられるでしょう。
広告主とドライバーが直接契約を結ぶのではなく、プラットフォームを通じてマッチングすることが多いです。代表的なサービスには、次のようなものがあります。
国内でも規模の大きいプラットフォームで、ドライバーは共感した商品やサービスの広告を貼って走行することで収入を得られます。
登録ドライバー数は8万人を超え、手軽に広告を出稿できるため、効率的に認知拡大を目指せるでしょう。出稿は月額1台あたり1万円から可能で、テストマーケティングにも活用できます。
参照:チアドライブ公式サイト
WithDriveは主要都市の移動に特化したモビリティ広告サービスです。決められた期間、ターゲットエリアを走行するのが最大の特徴です。
競合の少ない未開拓エリアでの広告展開や、都市全体をモビリティ広告でジャックした実績もあり、マイカー広告ながら発信方法をコントロールできることが強みでしょう。
一般ドライバーの自家用車に広告を掲出することで、低コストで広範囲にプロモーション可能なサービスで、沖縄で初めて提供されました。
LINEを通じて簡単に申し込みでき、低コストで広範囲にアプローチできます。ドライバーの安全運転を重視し、顧問弁護士と提携して事業に取り組んでいるため、広告主目線でも安心して任せることができるでしょう。

マイカー広告は一般ドライバーが広告主と契約し、車体にステッカーを貼る、あるいはラッピングを施して街中を走行することで宣伝効果を得る仕組みです。
契約は直接行う場合もありますが、多くは先述のようなプラットフォームを介してマッチングします。これにより、効率的に希望するエリアや台数を確保することができるでしょう。
マイカー広告の料金形態は、広告のデザインや仕様、掲出台数、走行距離や走行エリア、契約期間などに応じて設定されるのが一般的です。
ブランドのユーザーやファンの車体に広告を掲出することもありえるため、SNS発信などの副次的効果も期待できます。事実、WithDriveを活用してファンの車体に広告を掲出し、2日間Xのトレンド入りを果たしたという事例もあります。
参照:WithDrive
このユーザー巻き込み型の特性により、従来の屋外広告とは異なる効果を得られるでしょう。
また、GPSや専用アプリを使って走行データやステッカーの掲出状況を取得・管理できるサービスも登場しています。
広告の到達度や効果を確認しながら運用を進められるため、マイカー広告は広告主・ドライバー双方にとって便利で柔軟な広告手法として広がりつつあります。

マイカー広告を活用すれば、低コストかつターゲットに合わせた効果的なプロモーションが可能です。ここでは特に注目すべきメリットを解説します。
マイカー広告は、ほかの交通広告に比べて低コストで始められる点が大きな特徴です。
個人ドライバーが日常の生活動線に沿って広告を掲出するため、通常広告を露出しにくい細やかなエリアに展開できることもあり、広告主にとって費用対効果の高いプロモーションが可能です。
信号待ちや渋滞中など、生活者の目に自然に触れる機会があることもメリットといえます。長期的に掲出することで、より定着したブランドイメージの形成にも寄与します。
掲出する車両の生活圏や属性を指定できる場合があり、特定の地域や顧客層に狙いを絞ったプロモーションが可能です。特に、広告のサービスや商品に馴染みのあるドライバーが掲出する場合、好意的に広告を発信してくれるケースもあるでしょう。
また、ドライバーと趣味・嗜好が似た周囲の人々にも広告が自然に届く点もメリットといえるでしょう。ターゲティングすることで、無駄の少ない効率的な広告運用が実現します。
広告を掲出するドライバー自身が広告の媒体となるため、単なる視認効果にとどまらず、副次的なプロモーション効果も期待できます。ドライバーがファンだった場合、自主的にSNSなどで発信する可能性も高く、UGCの創出につながることが期待できるでしょう。
現時点ではまだまだ新しい広告手法として注目が高まっている段階であるため、SNSなどで話題になる可能性もあります。
拡散されればブランドの認知度向上やファンコミュニティの醸成につながるだけでなく、今なら「マイカー広告といえば◯◯」と第一想起を獲得できる可能性もあるでしょう。
既存のファンや商品利用者がドライバーとして参加することで、ブランドへの愛着や信頼感が高まる期待もできます。
たとえば、チアドライブは映画『スパイダーマン ノー・ウェイ・ホーム』公開記念に、「スパイダーマンドライブキャンペーン」と題し、同作の広告を掲示するドライバーに応募すると、抽選で非売品のオリジナルステッカーが当たるキャンペーンを実施。
さらにキャンペーン期間中に最長距離を走行したドライバーには豪華グッズもプレゼントすると発表し、もともとのスパイダーマンシリーズのファンにアプローチすると同時に新たなファン化も促しました。

マイカー広告はジャンルを問わずトライしやすい広告手法ですが、活用にあたっては注意すべき点も存在します。
走行ルートや時間帯はドライバーに委ねられるため、広告の露出を完全に管理することはできません。台数を増やす、あるいは二次元コードを活用してマイカー広告からの流入率を計測し、より効果的なエリアを特定する、など対策しましょう。
ドライバーの運転マナーや行動によっては、ブランドイメージに悪影響を及ぼす可能性があります。荒い運転や交通ルール違反、事故などが起こすと、広告を見た人が企業に対してネガティブな印象を抱くこともあるでしょう。
こうしたリスクを避けるため、ゴールド免許保有者に限定してドライバーを選択できるサービスもあります。(例:株式会社マイクロウェーブ「マイカースポンサー」)。安全運転に配慮したセグメントにより、ブランドイメージへの影響リスクを低減できるでしょう。
車体サイズなどにより、大規模なクリエイティブや自由度の高い広告表現は難しいケースがあります。特に大型ラッピングや派手な装飾は対応できない場合もあり、デザイン面の柔軟性には限界があります。
マイカー広告はオフライン広告であるため、広告を実際に目にした人数や、来店にどの程度つながったかを測定することは困難です。
一部のサービスでは、走行ルートの把握や掲出状況の記録などを確認できますが、Web広告のように完全に定量分析するのは難しいのが現状です。
ただ、たとえば前述のチアドライブはドコモ・インサイトマーケティングが提供する、携帯電話の台数にドコモの普及率を掛け合わせて人流を推計する「モバイル空間統計」と実際の走行ルートを組み合わせることで、より正確なデータを得ることに成功しており、今後マイカー広告の普及が広がると同時に計測手段の発展も期待できます。

マイカー広告について理解したところで、ここでは活用すべきケースを整理します。
マイカー広告は掲出車両が生活圏を走行するため、地域限定の認知度向上に適しています。通学・通勤路や生活動線に沿って広告を展開でき、潜在顧客に自然にリーチ可能です。生活者自身が広告を運ぶことで、周囲で話題になりやすく、口コミでの拡散効果も期待できます。
短期間で注目を集めたい新商品やキャンペーンにも有効です。特定エリアで集中掲出することによりブランドの周知や話題作りを狙えるでしょう。SNSや口コミでの拡散も期待できます。
バスや駅広告などの大規模交通広告は高額ですが、マイカー広告は低コストで街中に展開可能です。限られた予算でも、生活圏や人通りの多い道路で接触機会を増やせます。

マイカー広告は、ドライバーが街中を走行することで自然と目に入りやすく、低コストで多くの接触機会を確保できる新しいOOHです。
自社のファンや顧客が広告ステッカーを貼って参加すれば、ブランドとの日常的な接点を増やし、顧客ロイヤリティ向上にもつながります。ドライバー自身がSNSなどで発信することで、話題性や口コミ効果も期待できます。
ただし、運転手のマナーや広告掲出の仕方によってはブランドイメージに影響を与えるリスクがあること、ターゲティングや効果測定が難しいことも理解しておく必要があります。
目的やターゲットに応じて他の交通広告や屋外広告と比較検討しながら、自社に最適な戦略を立てましょう。
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