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かねてより、飲食店や企業など、さまざまな広告でアイドルを起用するケースは多いです。特にアイドル戦国時代といわれる現代においては、テレビCMにおいても話題のアイドルを目にする機会が増えているのではないでしょうか。
アイドルを起用したCMは、ファンベースを活用した認知拡大や、ブランドイメージの向上といった効果が期待できる一方で、費用やリスクなど、注意すべき点もあります。
この記事では、アイドルがCMに起用されることの多い背景や効果、リスクなどを整理し、企業の広告戦略に活かせる視点を解説します。

タレント×マーケティングで
成果を最大化

テレビや動画配信サービスなどで流れるCMの中でも、アイドルを起用したものが目立つようになりました。この背景には、ファン文化の拡大とSNSの普及によって「人を介してブランドが広がる時代」になった流れがあると考えられます。
こうした時代の変化とともに、企業にとってアイドルをイメージキャラクターに起用することは、単なる広告塔としてではなく、ファンとの関係性をブランド価値に変えられる存在として起用することだと認識されつつあります。
最近はSNSの普及により、ファンの反応や購買行動が可視化されるようになりました。そのため、CM制作の際に起用するタレントには知名度や好感度に加え、ファンの熱量を重視する企業が少しずつ増えてきているようです。
特にアイドルファンは「推し」を応援する行動力が強く、共感や信頼を出発点に購買や拡散に結びつくことが多いといわれています。企業がアイドルをCM起用する意図は、こうしたファンの熱量によってブランドの力を押し上げようとする戦略にあるといえるでしょう。
こうした考え方は、ファンの応援したいという欲求を購買行動に結びつける「推し活マーケティング」とも関係しています。
推し活を軸にしたマーケティング戦略の考え方については、以下の記事で詳しく紹介しています。
また、ファンとの関係を長期的に育てていく「ファンマーケティング」の観点からも、アイドル起用は注目されています。
ファンの継続的な支持を得るための仕組みづくりについては、こちらの記事もあわせてご覧ください。
広告を発信するだけで終わらせず、その後のSNSでの広がりまで意識する動きが見られます。SNS上で共有されることで、ファンの手によって自然に拡散され、露出が広がるケースも増えてきました。
こうした拡散の流れを前提に、SNSでの話題化や共感を意識した広告づくりを進める企業も多いです。その意味で、個人の発信力とファンの行動力を兼ね備えたアイドルは、拡散を前提とした広告戦略と親和性が高いと考えられます。
株式会社CDGと株式会社Oshicocoが設立した推し活総研が2025年に実施したアンケート調査によると、推し活はこれまでよりも30代を筆頭にミドル層への広がりが見えますが、それでもやはり中心となっているのは10代〜20代で、若年層から根強く支持されていることがわかります。
この世代はトレンドへの感度が高く、SNS上での情報発信に積極的であることから、広告主にとっても重要なターゲット層となりえるでしょう。
参照:推し活総研「【推し活人口1400万人・市場規模3兆5千億円】大規模アンケートで分かった!拡がり続ける推し活市場」(公式note)
アイドルをCMに起用することで、若年層との接点を増やし、ブランドの印象をより若返りさせる狙いが考えられます。このようにアイドル起用は推し活やSNS上の広がりを背景に、増えつづけているのです。
実際に国内外のブランドがアイドルグループやそのメンバーをアンバサダーに起用するケースも多く見られます。くわしくはこちらの記事をご覧ください。
テレビやSNSで目にするCMの中には、アイドルを起用した印象的なものがいくつもあります。どんな意図で制作されているのか、企業ごとの取り組みを見てみましょう。
求人検索エンジン「Indeed」は、2023年よりブランドコンセプトを6年ぶりに刷新し「いい未来は探せる。」をテーマに働く人の第一歩を応援しています。
参照:Indeed Japan株式会社(PR TIMES)「Indeed、6年ぶりに刷新した新ブランドコンセプト「いい未来は探せる」の元、「いい未来は探せる」キャンペーンを開始」
その象徴として起用されたのが、挑戦や前進といったメッセージ性を軸に活動する LE SSERAFIM(ルセラフィム)。彼女たちの「恐れずに前へ進む」姿勢がブランドのメッセージと重なったことが起用の理由とされています。
双方のイメージの方向性に親和性があることからブランドの想いをより説得力をもって伝えられるのでしょう。
賃貸物件情報サービス「CHINTAI」は、「悩んだときは、Let's トライ!CHINTAI」をテーマに、大橋和也さん(なにわ男子)を起用したテレビCMを展開しています。
お部屋探しに悩む人の背中を押す、ミュージカル調の明るい世界観です。新しい生活を前向きに始めたいという若者層の気持ちに寄り添う姿勢が、大橋さんの明るく親しみやすいイメージと重なり、ブランドの親近感を高めています。
2023年には、当時デビュー間もない「僕が見たかった青空」を起用し、「お部屋探しデビュー」する人に寄り添うCMを放映するなど、自社ブランディングと相性のよいアイドルを起用することに長けています。
参照:株式会社CHINTAI(PR TIMES)「乃木坂46公式ライバル「僕が見たかった青空」がCHINTAIの新イメージキャラクターに就任テレビCM撮影に初挑戦!」
マクドナルドは、乃木坂46の池田瑛紗さんを起用した「サムライマック」シリーズのCMや、グローバルボーイズグループ「&TEAM」を起用したマクドナルド×コカ・コーラのコラボCMなどに見られるように、複数のアイドルを広告に起用しています。
池田さんはマクドナルドの人気商品「サムライマック」シリーズのCMにおいて、同商品のアンバサダーを務める俳優の堺雅人さんと共演(「二兎を追ってもいいじゃないか。」篇)。アイドル活動と並行しながら東京藝術大学に通う彼女へ堺さんがエールを送るというストーリーです。
アイドルとして今後も活躍しつづける道とアート領域に新たに進む道、どちらにも可能性を秘めた彼女が出演する意義のある内容といえるでしょう。
また、コカ・コーラシステムと日本マクドナルド株式会社がコラボして制作されたwebCM「ポテナゲにはコカ・コーラ!篇」には日本発グローバルグループ&TEAMが出演。
ポテナゲには~? pic.twitter.com/M3nJroDgVj
— マクドナルド (@McDonaldsJapan) October 20, 2025
メンバーの自宅と思わせるリビングルームに全員がそろい、スポーツ観戦しながらコカ・コーラを片手にポテナゲをつまみ、コークとポテナゲを同時に楽しめる期間限定セットの魅力を伝えてくれています。
参照:日本コカ・コーラ株式会社「リビングでスポーツ観戦を楽しむ&TEAMに注目 新WEBCM「ポテナゲにはコカ・コーラ!篇」 コカ・コーラ×マクドナルド 欲望を刺激する期間限定セットも登場」
あえてアイドルではない方を起用し、「アイドル風の演出」を取り入れたCMも注目を集めました。
UHA味覚糖「コロロ」のCMには、タレントのマツコ・デラックスさんが80年代アイドルを思わせる髪型や衣装で登場し、当時の映像や雰囲気を再現しています。懐かしさとユーモアをかけ合わせ、「思わず人に共有したくなる」仕上がりです。
サントリー「クラフトボス」のトミー・リー・ジョーンズさんが宇宙人に扮する人気CM「宇宙人ジョーンズ」シリーズでは、2024年に俳優の河合優実さんを起用し、アイドルデビューを果たすというストーリーを展開。
「この惑星の住人は、アイドルという光を求めずにはいられない」のナレーションとともに、観客のペンライトが商品に変わるという演出でインパクトを残しました。
いずれのCMも、アイドルらしさを演出することで視聴者の関心を引き、話題を生み出しています。こうした事例は、すでにアイドルが社会的に大きな影響力を与えうる存在であることが一般的に認識されていることから成立するといえるでしょう。
先般モデルプレスが発表した「歴代テレ朝深夜ドラマの胸キュン男子」も上位に輝いたのはいずれもアイドル活動も行っている俳優たちでしたが、彼らの出演するCMはこちらの記事で紹介しているので、あわせてご覧ください。

アイドルを起用したCMは、ブランドの魅力を効果的に伝える手法として注目されています。ここでは、企業がアイドルを起用することで期待できる主な効果を3つに分けて見ていきます。
アイドルが登場するCMは、公開や出演発表の段階からSNS上で話題になりやすいです。ファンが「〇〇が出てる!」といった喜びの投稿をすることで、CMが自然に拡散され、より多くの人の目に触れるようになります。CMをYouTubeに公開している場合は、再生数が急増するケースも見られます。
企業にとっては、追加の広告費をかけずに認知を拡大できる点が大きなメリットです。SNS上での拡散は短期間で広がるだけでなく、ファン同士の共感を通じてCMの印象をより強める効果もあるでしょう。
アイドルが持つ「爽やかさ」「前向きさ」などのイメージは、ブランド全体の印象にも影響を与えます。ファン以外の視聴者にも、「この企業はトレンドに敏感」「親しみやすい」といったポジティブな印象が浸透していくと考えられます。
チームワークや努力など、アイドルの持つストーリーを重ねることで、商品やサービスの想いを表現しやすくなる点も効果の一つです。
アイドルの出演をきっかけに「推しが関わっているから買ってみたい」という購買行動が生まれることがあります。このような、ファンが商品購入やキャンペーン参加を通じて応援の気持ちを表現する「推し活消費」は今や日本経済を語るうえで欠かせません。
企業は、こうした行動が一時的な売上増に留まらず、ブランドへの愛着や信頼の形成につながるよう戦略設計することが重要です。CMを通じてファンの共感を得られれば、長期的な顧客ロイヤリティの向上も期待できるでしょう。
実際に推し活マーケティングを成功させた事例も参考にしてください。
アイドルの影響力は今や広告の枠を超え、企業活動全体にも波及しています。アイドルを起用したCMの制作を検討される場合は、Skettt(スケット)のようなサービスを活用することで、より効果的な戦略設計ができるでしょう。
Sketttは事前に撮影された写真や動画などの豊富な素材を手軽に活用できるタレントサブスクでありながら、企業ごとに適したプロモーション戦略を提案し、そのサポートを積極的に行っているサービス。
目的や要望に合わせて企画から制作、訴求方法の提案まで一気通貫でお任せください。

アイドルを起用したCMは話題性や拡散力を期待できる一方で、注意すべき課題やリスクも存在します。その注意点を事前に想定し、トラブルを防ぎながらより効果的なプロモーションを進めていきましょう。
アイドルを起用する際にまず考慮したいのが、出演料や契約費用です。人気が高く実績のあるアイドルほど、一般的に契約コストが高くなる傾向があるため、出演料が予算全体に大きく影響するケースもあるでしょう。
CM出演料について、くわしくはこちらの記事も参考にしてみてください。
一方で、知名度が上昇し始めたばかりのアイドルや地域密着型のグループを起用する場合は、比較的費用を抑えやすい場合があります。企業の規模や目的に合わせて「どの層のアイドルを起用するか」を慎重に検討することが大切です。
コストを抑えたい場合は、定額制で著名タレントの素材を広告に活用できるタレントサブスクの利用もご検討ください。現在利用できる主要なタレントサブスクは、こちらの記事で確認できます。
アイドルは注目度が高い存在であるため、ポジティブな内容だけでなく、思わぬかたちで話題を呼ぶこともあります。本人にそのつもりがなくても発言の一部を切り取られ誤解を招いたり、過剰な反応によって炎上につながったりする場合もあります。
こうした事態は、ファンの熱量が高いアイドルほど発生しやすく、企業ブランドに影響を及ぼすリスクもあります。
ただしこれは本人の責任というよりも、人気の高さや話題性に伴う構造的なリスクともいえます。起用にあたって、事前にリスク対応の方針を定めておくことや、トラブル発生時に迅速かつ誠実に対応できる体制を整えておくことが重要です。
アイドルのイメージがブランドの方向性と合致していない場合、メッセージが届きにくくなることがあります。若年層向けの商品に中高年層のアイドルを起用した場合や、企業の落ち着いたイメージに対して元気すぎる演出を行った場合などが例として挙げられるでしょう。
脈絡なくただ人気のあるアイドルを起用しただけでは、ファンからの支持も得られなくなる可能性もあります。くわしくは前述のファンマーケティングの事例を参考にしてください。
一方で、両者の方向性が合致すれば、話題を生むだけでなく長期的なブランド価値の向上にもつながります。そのためアイドル起用を検討する際は、「ブランドの世界観とどれだけ自然に融合できるか」を見極めることが大切です。

アイドルを起用したCMは、単なる話題づくりではなく、ファンベースを取り込むための戦略的な手段です。
ファンベースマーケティングについては、先に紹介した記事にてくわしく紹介しているので、あわせてご覧ください。(以下に再度掲載します)
ファンの熱量をどうブランド価値につなげるかを考えることで、広告としての効果も高まるでしょう。ただし、費用やリスクヘッジの課題もあるため、「誰に、どんなメッセージを届けたいのか」を明確にすることが重要です。
自社のブランドに合った戦略設計やキャスティングを行うには、専門的な知見を持つパートナーと連携するのも有効です。アイドルのCM起用を考える際は、ぜひSketttの活用もご検討ください。
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