IP活用

エンタメやライフスタイル情報を発信しているニュースメディア「モデルプレス」が2025年11月4日(火)「歴代テレ朝深夜ドラマの胸キュン男子」と題して、前月読者に向けて行われたアンケート調査をもとにランキングを発表しました。
深夜ドラマといえば、ゴールデン・プライムタイム(19時〜23時)と比べて表現の自由度が高いことが特徴。
くわえて、今後ますますの活躍が望まれる若手俳優の注目株が起用されることが多く、SNS上でたびたびトレンドに上がることから視聴者からの期待値の高さがうかがえると同時に、年々深夜ドラマは各局で増加傾向にあるといえます。
実際、直近の1週間だけでも23時以降に放送されるドラマは25本以上あり(2025年11月10日(月)〜16日(日)の23時〜4時放送ドラマ本数をカウント。再放送は除く)、キャストや内容も実にさまざまであることから、それぞれしのぎを削って力を入れていることがわかります。
当記事では深夜ドラマがなぜ今人気なのか、という点にあわせて、先のモデルプレス発表のランキングをもとに、出演俳優たちが広告領域においても、いかに企業やブランドから注目されるべき存在か紐解いていきます。

タレント×マーケティングで
成果を最大化

ではなぜ今、深夜ドラマが人気なのか考えてみましょう。
まず第一に考えられるのが、日本人はそもそも世界的に見ても睡眠時間が短く、夜更かしをする傾向にあるということです。平均は7時間半未満で、これはOECD加盟国の中で最も短いということがわかっています。
また、就寝時間の平均は23時12分で、もちろん深夜ドラマが放送される23時以前に寝静まっているエリアもありますが、東京、大阪、京都などの都市部はいずれも23時半すぎ。
参照:江崎グリコ「都道府県別睡眠ランキングも発表!睡眠不足の日本人にはアミノ酸が必要って本当?」
深夜ドラマは30分枠で構成されることが多いので、ちょうど観賞してからベッドに入るというのが習慣の方もいるかもしれません。
くわえて、昨今は動画配信サービスで見逃し視聴するのも一般的。深夜帯に見られない方は、あとから好きなタイミングで作品に没頭できる環境が整いました。実際、放送翌日以降にドラマに関連したキーワードがSNS上でトレンドに上がることも少なくありません。
SNSの普及も深夜ドラマが注目されている背景のひとつとして挙げられるでしょう。主にTikTokやYouTube Shortsが広まってからではありますが、近年はショートドラマの需要が高まっています。
TikTokやInstagram上で1〜2分程度のショートドラマに仕上げたプロモーション動画を見たことがある方も多いのではないでしょうか。短時間でインパクトやストーリー性を感じられるショートドラマは広告領域においても存在感を発揮しています。
先ほど少し触れましたが深夜ドラマは30分枠が多く、あるいは15分などさらに短い放送枠も展開されています。たとえば仕事を終えて帰宅し、就寝前に気軽にエンタメを楽しむ際にも適しているといえるのではないでしょうか。
あるいは今や動画配信サービスも広く利用されているので、翌日以降の仕事や家事、勉強の休憩時間に見る方も多いかもしれません。その場合も30分程度であれば、1時間以上の番組よりも最初の視聴にいたるハードルが低いことが想像できるでしょう。
また、SNS上ではドラマ内の心に残ったシーンを切り抜いて投稿する文化も広まっています。
著作権の観点においては推奨しかねる行為ではありますが、テレビ局や番組制作者としても、自身が関連している番組が盛り上がっているかどうかを知るひとつの指標にはなっているでしょう。
放送枠の短い深夜ドラマは、その分インパクトのあるストーリーや見せ方を工夫し、視聴者の目を引いています。それはつまり、結果として“SNS映え”するコンテンツづくりになっているという側面を持つのです。
深夜ドラマはゴールデン・プライムタイムのドラマと比べると低予算であることが多く、その分、新進気鋭の演出家や脚本家、あるいはブレイク直前の俳優を起用し、挑戦的な企画に臨むことも少なくありません。
いわゆる王道とは違った作品は、深夜発ながら大きなバズを生み、未来のビッグコンテンツ、あるいはビッグスター誕生の可能性をはらんでいます。そのため、今や深夜ドラマは若手クリエイター・若手俳優の発掘の場として機能している側面もあります。
たとえば2012年毎週木曜日0:43〜1:13の時間帯で放送を開始された『孤独のグルメ』(テレビ東京系)は、その時間帯ながら大ヒット作となり、2025年の現在も今なお継続しているロングラン作品に成長しました。
現在シーズンは11作品(シーズン11は厳密には『孤独のグルメ』ではなく『それぞれの孤独のグルメ』)、くわえて特別編なども複数回にわたって放送されており、さらに今年は1月に『劇映画 孤独のグルメ』が上映。
全国的な人気を博しているだけではなく、台湾でもwebドラマとしてリメイクされ、韓国にも聖地巡礼をするほどの熱心なファンを多数生み出し、今や国内外問わず多くの方々に親しまれる作品といえます。

それでは、モデルプレスが発表した「歴代テレ朝深夜ドラマ 胸キュン男子」をおさらいすると同時に、彼らが出演する広告についても紹介していきます。
なおこちらのランキングは、モデルプレスが読者から寄せられたアンケート投票結果や意見を参考に編集部によって精査を行い、さらにモデルプレス内の記事への反響などを加味し決定したものです。
▶︎参照:モデルプレス「読者が選ぶ「歴代テレ朝深夜ドラマの胸キュン男子」トップ10を発表【モデルプレスランキング】」
また各人の出演する広告については、テレビCM、またはwebCMのみに絞っています。そのほかの媒体については、俳優によっては別記事でくわしく言及しているため、そちらも参照してください。
1位に輝いたのは、ドラマ『東京タワー』に登場する小島透。演じた永瀬廉さんは今作が恋愛ドラマ初主演ながら、20以上年の離れた既婚女性と恋に落ちる医大生という役どころを儚くも色気漂う魅力で演じきりました。今作で第28回日刊スポーツ・ドラマグランプリ 春ドラマ 主演男優賞も受賞しています。
原作は江國香織さんによる同名小説で、2004年に黒木瞳さん、岡田准一さん(小島透役)出演で映画化され、その10年後である2014年には韓国でテレビドラマ化、そしてさらにその10年後に日本でテレビドラマ化されるという、いわずと知れたベストセラー。
原作および映画、そして各テレビドラマでは異なる点も複数あるので、今回は2024年のドラマにのみ特化して紹介します。
小島透は21歳と成人ではあるものの、大学生という大人未満ともいえるモラトリアム期間に属し、毎日同じことの繰り返しであることに飽きていたころ、浅野詩史(演:板谷由夏さん)に出会い、淡く、しかし激しく惹かれていくという役柄。
若さゆえの焦燥と、日常から連れ出してくれる詩史という煌めく世界への憧れを、永瀬さんは繊細に演じ、透の同世代を中心に若年層からの支持も集めました。
そんな永瀬さんは現在、「AJINOMOTO BRANDギョーザ」のCMに出演しています。
2025年よりCMキャラクターとして起用され、関連商品を購入すると抽選で永瀬さんを描いたオリジナルステッカーが当たるキャンペーンが開催される(2025年6月)など、売上促進に一役買っています。
また5年に渡って健栄製薬の「ヒルマイルド」シリーズのCMに出演していたことでも知られ、今年出演者が変更されるとファンからの問い合わせが相次ぎ、同社公式Xアカウントで契約満了のおしらせと永瀬さんに対する感謝のメッセージが発表されるという異例の事態となりました。
▶︎参照:健栄製薬公式Xアカウント(2025年10月15日)
通常、企業がタレントの契約満了について声明文を出すことは珍しく、ネット上ではさまざまな声が上がりましたが、それも長期契約により、すっかり“ブランドの顔”と認識されていた永瀬さんのタレントパワーを知らしめることになったでしょう。
次いで2位はオリジナル脚本ドラマ『ボーイフレンド降臨!』に登場するアサヒ。演じたのは髙橋海人さん。なんとKing & Princeのお二人が並んでランクインです。
主役のアサヒと、茶谷かしこ(演:桜井ユキさん)、佐藤渉(演:田中みな実さん)といった二人の年上女性との三角関係を描いたラブコメですが、作中1話でアサヒが記憶喪失になってしまうという複雑なストーリー展開。
髙橋さんは、記憶喪失になる前のクールな漆畑澄人という人格と、記憶を失ってからの天真爛漫でキュートなアサヒという人格、そして記憶を取り戻してどちらも融合させた人格と、実質一人三役ともいわれる難しい役どころを演じきり、どのキャラクターにも票が集まったそうです。(投票自体はアサヒのみ)
特に5話でアサヒがかしこに仕掛ける“エアハグ”は、放送から3年経った今でもSNS上で切り抜き動画を見かけるほど話題になりました。
そんな髙橋さんは2025年より多くの企業、ブランドのアンバサダーに就任しており、その活躍ぶりについてはこちらの記事でくわしく紹介しているのでご覧ください。
上の記事から漏れてしまったCMを紹介すると、SixTONESの松村北斗さんと一緒にアンバサダーを務める丸亀製麺の「うどーなつ」のCMでは、普段から互いの家に行くほど仲がいいという関係性を感じさせる笑顔を見せたり、
同じくアンバサダーを務める韓国発スキンケアブランドTorridenのCMでは、ワイヤーアクションに挑戦したりしています。
なお、髙橋さんがブームの後押しになっている“令和の北斎ブーム”についても、また別の記事で解説しているので、あわせてご覧ください。
3位はドラマ『ムサシノ輪舞曲』に登場する阿川龍平。演じた正門良規さんは、今作が連続ドラマ初主演でしたが、幼いころからたった一人を想いつづける一途さと、しかし感情をあまり表に出さない朴訥とした雰囲気を見事に演じていました。
原作は河内遙さんによる現在も連載中の同名コミック。隣に住む10歳年上のバレエ講師 武蔵原環(演:高梨臨さん)に子どものころから想いを寄せているけれど相手にされず、諦めかけたところに環の同世代の恋のライバルが出現し、奮起して猛アタックを開始するというストーリーなのですが、1位〜3位まですべて年上女性に恋する役どころということに驚かされます。
とはいえいずれもストーリーだけでなく、役柄もまったく異なり、龍平においては、やはりその一途さが魅力のひとつ。
幼少期からずっと片思いをしてきたという点で、視聴者の「応援したい」という気持ちを引き出しやすく、さらにはその龍平の思いを誠実に等身大の演技で表現した正門さんだからこそ、作中(4話)において環にバックハグをして首筋にキスをするというシーンがSNS上で大きな話題を呼んだのでしょう。
そんな正門さんは、Aぇ! group全員で出演するCMが多く、たとえばUHA味覚糖のぷっちょのCMでは「ぷっちょの神」に扮しています。
グループ活動としては、ほかにもフランス発のスキンケアブランド「アベンヌ」のイメージキャラクターや、ヘアカラーブランド「パルティ」(ダリヤ)のキャンペーンアンバサダーに就任しましたが、現在はメンバーの逮捕を受け、すべての動画が削除されています。
起用しているタレントが不祥事を起こした際、どういった対応をするかは基本的に企業の判断に委ねられますが、続投させる場合においても、契約を終了する場合においても、明確な目的と信念、理由があれば、きっとファンはついてきてくれるでしょう。
4位はドラマ『消えた初恋』に登場する井田浩介。演じた目黒蓮さんと後述する青木想太役の道枝駿佑さんW主演です。当時すでに演技の仕事をいくつもこなしていた目黒さんの風格は、ビジュアルも相まって原作漫画から飛び出してきたようだと話題になりました。
今作においては、道枝さんとそろって第31回TV LIFE年間ドラマ大賞 主演男優賞を受賞しています。
原作はひねくれ渡さんによる(作画:アルコさん)同名コミック。男子高校生同士の恋愛を中心に据えたストーリーながら、異性愛を描いた作品の多い『別冊マーガレット』(集英社)に連載されるという異色作でした(2022年完結)。
浩介はそのなかでも、自分の思ったことをストレートに伝える硬派な役柄。想太が自分のことを好きだと勘違いするところから物語は始まるのですが、偏見なくその思いにまっすぐに向き合い、徐々に恋心を自覚していくという不器用ながらも繊細な心の揺らぎを見事に演じていました。
そんな目黒さんは、「めめ売れ」(めめ:目黒蓮さんの愛称)という現象を巻き起こすほど、今日本においてもっとも経済効果を持つ一人。
めめ売れの効果については、こちらの記事でくわしく紹介しているので、あわせてご覧ください。
もちろんCMにもたくさん出演しています。まず王子ネピアの「ネピア」のCMでは、「ネピア営業目黒くん」シリーズとして、同社の営業社員を好演。
一方でモトローラ・モビリティ・ジャパンの「モトローラ」のCMではクールな表情を見せ、
先の記事でも触れたキリンビールの「晴れ風」のCMでは爽やかに、と演じ分けています。
また任天堂の「ドンキーコング バナンザ」のCMでは、同じくSnow Manのラウールさんと共演。
仲睦まじく自然体で商品をプレイする二人に、SNS上などでファンからは好意的な声がたくさん寄せられました。
4位に続いてドラマ『消えた初恋』からランクインしたのは、同作のもう一人の主人公、青木想太。演じたのは、なにわ男子の道枝駿佑さんです。
2017年(当時14歳)の時点でドラマ『母になる』(日本テレビ)において主演の沢尻エリカさんの息子役を演じるなど、俳優としてのキャリアはいうまでもなく、今作においても、先述のとおり目黒さんとともに第31回TV LIFE年間ドラマ大賞 主演男優賞を受賞しました。
想太の役柄は、クラスメイトの橋下美緒(演:福本莉子さん)に想いを寄せながらも、彼女の気持ちを守るために、浩介の勘違いを解かずに受け入れるという、お人好しでちょっと天然というキャラクター。
圧倒的なビジュアルながらコミカルにころころ表情を変える表現力に、浩介とはまた異なる「胸キュン」を多発させたようです。
そんな道枝さんは中国発のコスメブランド「Perfect Diary」のブランドアンバサダーを務めており、CMではどこか神秘的な魅力を感じさせています。
また、森永製菓の「inゼリー フルーツ食感」のCMでは、キュートな雰囲気とクールな雰囲気と異なるキャラクターを演じ分けているので、思わず繰り返し見たくなってしまうのではないでしょうか。
6位:丸谷康介(Hey! Say! JUMP 山田涼介さん)/『俺の可愛いはもうすぐ賞味期限!?』2022年4月16日〜6月11日放送
7位:秋山聖(Travis Japan 宮近海斗さん)/『ホンノウスイッチ』2025年1月11日〜3月15日放送
8位:倉田粋(Kis-My-Ft2 玉森裕太さん)/『NICE FLIGHT!』 2022年7月22日〜9月9日放送
9位:青島瑞樹(Snow Man 渡辺翔太さん)/『青島くんはいじわる』 2024年7月6日〜9月14日放送
10位:菅原優我(なにわ男子 大橋和也さん)/「リベンジ・スパイ」 2025年7月5日〜9月13日放送
1位から10位まですべて、俳優一本ではなくアイドルとして歌やダンス、そしてお芝居とマルチに活躍している方たちがそろいました。トップアイドルともなれば、ファンならずとも視聴者の心を射止めるのはお手のものかもしれません。

こうして見てみると、やはり深夜ドラマで注目を集めた俳優たちはそれぞれ、フードやビューティーブランド、ゲームとさまざまな商品、サービスのCMに出演しています。
今回紹介したのは特に、読者アンケートによるランキングで上位に上がるような方々なので、既に認知度も人気も実績も兼ね備えていますが、これから深夜ドラマに起用される若手俳優が彼らと同じくらい、あるいはそれ以上支持されるようにならないとも言いきれません。
深夜ドラマは次世代スターの入口といってもよいでしょう。そのため企業は、視聴者目線で作品をチェックし、話題になりそうな種を拾っておくことで、先駆けてスターを発掘できる可能性を秘めています。
特に若手俳優は同じ若年層からは共感を寄せられ、上の世代からは応援したいという支持を受けることが期待できます。
先述のとおりSNSとの相性もよいため、ファンコミュニティも生まれやすく、うまくいけば、広告起用時にそのままファンを呼び込むこともできるかもしれません。
つまり、ドラマのファンが広告を見つけることで、自発的にシェアしてくれる可能性があるということです。ただ、そのためには、なぜその人を起用したのかというストーリーが必要です。
くわしくはアンバサダーマーケティングについて解説した、こちらの記事をご覧ください。
ただ、もちろん自社ブランドとその俳優の関連性も重要ですが、特に目立ったつながりが見つけられなくても、視聴者がなぜそのドラマにはまり、その俳優を支持するのか、あくまで視聴者目線で見つめることで、自ずと拓けてくることもあります。
世間のトレンドを自社と結びつけるなら、その渦中に自ら飛び込むことが大事なのです。特にドラマや俳優など、“人”が作り出すコンテンツに紐づく戦略は、「話題性を“利用”する」という考え方だと成功は遠のいてしまうこともあるかもしれません。
サービス資料
ダウンロード

この記事の関連タグ
関連記事一覧あわせてこちらの記事もチェック!
Copyright © 2024 Wunderbar Inc. All Rights Reserved.
IP mag