IP活用
SNSやYouTubeが情報発信元として機能する現代、インフルエンサーマーケティングは重要なオンライン施策として活用されています。その効果が気になる方や、成功している企業を参考にしたい方は多いでしょう。
今回は、インフルエンサーマーケティングの成功事例を、媒体や業種別に紹介します。成功のポイントも解説するので、どの媒体や切り口で実施すべきか迷っている方も、最後までご覧ください。
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この章では、媒体とインフルエンサーの掛け合わせパターンと、3つの媒体での成功事例を紹介します。
自社のユーザー属性に合った施策を立てる際に、活用してください。
まず、投稿内容、メインユーザーの属性、媒体に合うジャンルを表にまとめました。
媒体名 | 投稿内容 | 属性 | 媒体に合うジャンル |
---|---|---|---|
YouTube |
| 年齢・性別問わず、幅広い層が利用している | 幅広いが、特にアウトドアやゲームといった趣味系、ビジネス、飲食、美容系などと相性が良い |
|
| グルメやアパレル、化粧品など、写真映えするような商品・サービスと合う | |
TikTok |
| 全年齢層で増加しているが、10代の利用率が70.0%と特に高い | エンターテインメント、アパレル、観光などさまざまなジャンルと合う |
参照:総務省情報通信政策研究所「令和5年度 情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査報告書」
以下、動画の「尺(長さ)」についての補足です。
YouTubeのアップロード条件は、アカウントの作成直後は15分以内の動画に限られますが、アカウント確認が済むと、最長12時間または256GBの動画まで可能です。なお3分以内の正方形か縦長の動画は、ショート動画に分類されます。
Instagramに動画を投稿する方法は3種類あり、リールには最長3分、フィードには最長60分、ストーリーズには最長60秒の動画を投稿できます。
商品・サービスのブランディングや、ターゲット層に合わせて使い分けるとよいでしょう。ただし、ストーリーズの動画は投稿後24時間で消えるため、注意が必要です。
TikTokのサービス開始当初は、投稿できる動画の長さは最長15秒でしたが、2025年7月の時点では、60分以内と長くなりました。一方、ストーリーズは最長15秒です。
このように近年では、どの媒体でも60分の長尺投稿が可能となったため、宣伝媒体を選択する際に尺を考慮する必要はそれほどありません。動画マーケティングで成功するために重要視すべき点は、自社商品に合う媒体やインフルエンサーの選択といえるでしょう。
インフルエンサーマーケティングや、関連するSNSマーケティングの詳細は、以下の記事をご覧ください。
はじめに、ドイツ発のマットレスメーカーEmma Sleep Japan合同会社(エマ・スリープ)の成功事例を紹介します。エマ・スリープは、YouTube Shortsを中心に、1K6畳のワンルームの日常生活を配信しているインフルエンサーのLunaさんと、2023年にタイアップしました。
エマ・スリープのマットレスは、女性一人でも扱えるよう圧縮して届く点と振動の伝わりにくい構造が特徴。Lunaさんは実際に梱包された状態から開封してベッドにセットし、マットレスの上にカップを置いて揺らしても倒れない様子などを、短い動画の中で伝えました。
この動画は約30万回も視聴され、6,500件近い高評価を得て(2025年8月時点)、紹介しているマットレスに関心を持ったユーザーからの質問や感想もコメント欄に届いています。
参照:Luna1k6畳で自由なひとり暮らし YouTube
次に紹介するのは、雑貨や家電商品などを販売している株式会社フェリクロスの成功事例です。
同社は子供向けカメラ「!KIDS(ピントキッズ)」をはじめとする商品の認知拡大などを目的として、Instagram上でインフルエンサーマーケティングを実施。すると、主力商品の認知度が上昇し、商品名での指名検索数も増加、売上実績は前月比2.1倍、前年度の同月比は約8倍になりました。
さらに依頼したインフルエンサーのフォロワーがブログ上で商品を紹介するなど、多くの口コミにつながったといいます。
参照1:株式会社PLAN-B「【お客様導入事例】株式会社フェリクロス | Cast Me!(キャストミー)」
参照2:のん🦒ワーママの時短アイテムや暮らしのアイデア Instagram
最後に紹介するのは、TikTokでインフルエンサーマーケティングを成功させたアパレル企業、株式会社アダストリアの事例です。
自社ブランド「kutir(クティール)」のプロモーションに起用したのは、クリエイタープロダクションのGROVE株式会社に所属する、木村星南(きむらせな)さんでした。
木村さんは主にコスメ・ファッション系の動画を配信していて、男女問わず若年層に人気のあるインフルエンサーです。
木村さんの趣味が「古着集め」であり、「女の子はメンズライクだけど可愛く古着っぽさを、男の子はイマドキの古着っぽさ、ストリート感をイメージした《WEB限定》ブランド。」(引用:株式会社アダストリア「kutir | ブランド紹介」)というkutirの方向性と一致すること、また、同ブランドではメンズファッションも扱っていることから起用されました。
木村さんはタイアップ商品の着回し術を動画内で披露し、多くの好意的なコメントを獲得しています。複数回起用されていることから、ブランドとの親和性の高さと影響力がうかがえるでしょう。
参照:木村星南 TikTok
ここでは、インフルエンサーマーケティングを成功させた事例を、業界別に6つ紹介します。
成功までの経緯やポイントなど、インフルエンサーマーケティングを取り入れる際の参考にしてください。
まず、アパレル業界のインフルエンサーマーケティング成功事例を紹介します。
株式会社ユニクロは、YouTubeチャンネル登録者数49.1万人(2025年8月時点)の「なぐもふうか.」さんを起用して、YouTube上でインフルエンサーマーケティングを展開しました。
押しつけ感のない動画と、商品の詳細やキャンペーン情報がわかりやすくまとめられていた概要欄も、ユーザーの興味を引く、充実した内容だったことが成功の理由でしょう。
高評価数3,443件で、「いつも参考になります」「20代男子ですがバギーパンツ2色買いしました」など、性別問わず好意的なコメントも多いです。
商品に興味を持ったユーザーがすぐアクセスできるように、オンラインショップへのリンクが貼ってあったことも、成功ポイントといえます。
参照:なぐもふうか. YouTube
業界別インフルエンサーマーケティングの2つ目として紹介するのは、クレープ専門店「アンナのクレープ」の成功事例です。起用された「そのまっちゃ」さんは、抹茶カフェやスイーツを紹介している方です。
2023年の起用時に紹介したクレープは「抹茶テリーヌクレープ」。クレープ上部や全体像を写した画像、プラスプーンですくい取った食材の質感がわかる動画のほか、食感や店舗情報が読みやすくまとまったコンテンツに仕上がっています。
空いている時間や店舗の外観など、立ち寄りやすい情報も記載されており、興味を持った方であれば実際に来店することも容易でしょう。
特に認知を広げたい商品やサービスがある際に、その関連情報に特化して紹介しているインフルエンサーを起用するという戦略です。
参照1:Insta Lab「【グルメ編】インフルエンサータイアップ成功事例まとめ」
参照2:そのまっちゃ/ Matcha specialist Instagram
ランドセルブランド「grirose(グリローズ)」を展開する株式会社土屋鞄製造所が、ユーザーの認知度を上げるための施策として選んだのは、Instagramの活用です。
Instagramを運用してから着実にフォロワー数は増えていたものの、さらに認知度を高めてカタログ請求につなげようと考えた同社は、インフルエンサーマーケティングを実施しました。
その一環としてイベント「プレスデー」を開催し、インフルエンサーにブランドを体験してもらい、世界観などを投稿でアピールしてもらうという施策も行いました。施策後はフォロワー数が155%増加するなど明らかな変化があり、成功を収めました。
参照:INFLUFECT「<オフラインからソーシャルメディアへ>イベントへのインフルエンサー招待で感じた波及効果とは」
次は、簡潔なキャッチコピーと楽しげなデザインの投稿が成功に結びついた、ホテルグリーンプラザ鴨川の事例を紹介します。
同ホテルのインフルエンサーマーケティングに起用されたのは、みか𓇼千葉県のお出かけガイドさん。親子で楽しめるスポットに強いインフルエンサーです。
はじめの画像とキャッチコピーでターゲットであるファミリー層を捉え、ホテルの魅力を余すところなく伝えています。どの画像にも情報が凝縮されていて好意的なコメントも多く、ファミリー層の共感を得られたことが、成功につながった事例といえます。
参照:みか𓇼千葉県のお出かけガイド Instagram
ここでは観光業の成功事例として、旅行アプリ「NEWT(ニュート)」を提供している、株式会社令和トラベルが実施したインフルエンサーマーケティングを紹介します。
令和トラベルでは、2025年8月時点でInstagramに43.7万人のフォロワーがいる「ききまる」さんを起用して、NEWTのプロモーションを展開しました。ホテルと飛行機の予約がアプリですぐにできることや、オーストラリア旅行の魅力が存分に伝わる構成となっていたリール動画には、多くのコメントが寄せられました。
コメントにはさまざまな言語が見られ、日本のユーザー以外からも注目が集まっていることがわかります。
アプリ予約限定で使えるクーポンコードを掲載することで海外旅行のハードルを下げていたことも、成功の要因でしょう。
参照:ききまる Instagram
最後に紹介するのは、山梨県甲府市観光課の事例です。
美しい紅葉の名所・御岳 昇仙峡や、パワースポットとして有名な甲斐國総鎮護 武田神社などのある甲府市は、観光地として人気の土地ではあるものの、これまで訪れるのは男性客やシニア世代が多く、20代女性が少ないことが課題でした。
そこでSNSなどを介した「シェア文化」を持つ同世代に向けてインフルエンサーマーケティングを実施。もともとSNSの運用もしていましたが、自団体による発信では限界があると感じていたそうです。
甲府市の施策が成功した理由のひとつは、インフルエンサーが実際に市内の観光地を巡って見どころを見つけ、個人の気持ちや体験を交えた独自の感性で情報を発信したことです。また、交流を深めて継続的な関係を築けたことで、インフルエンサーが別メディアにも自発的に発信してくれた点も成功ポイントといえるでしょう。
【施策後の変化】
そのほか、施策から1年近く経過しても検索上位に表示される投稿があるなど、費用対効果がいかに高かったかがわかる事例です。
参照:INFLUFECT「<新世代の町おこし>甲府市がインフルエンサーと綴る四季折々の観光物語」
ここでは、インフルエンサーマーケティングを成功させるためのポイントと、注意すべきことを説明します。
インフルエンサーマーケティングを成功させるには、まず目的を明確にしましょう。
【目的例】
次に、目的に合ったKPIを設定することも成功のポイントです。インフルエンサーマーケティングの場合、即時に集計でき、PDCAもスピーディーに回せるよう「いいね」の数や動画の視聴回数などをKPIに設定するとよいでしょう。
3つ目のポイントは、自社と相性の良いインフルエンサーを選ぶことです。多くのフォロワーがいるインフルエンサーであっても、商品のイメージに合わない人や提供するサービスに関心のない人を選ぶと、成果につながらないおそれがあります。
インフルエンサーを選ぶ際はフォロワー数よりも、自社との親和性を重視しましょう。
インフルエンサーマーケティングで特に注意すべき点は、ステルスマーケティング(ステマ)と炎上のリスクです。
たとえどんなに気をつけていても、「PR」表記を忘れてSNS上に投稿してしまったり、誤読を招く表現によって炎上を招いてしまったりすることは少なくありません。
PR表記とステマについては以下の記事をご参考ください。
ステマ判定や炎上などのトラブルを防ぐには、投稿ルールをまとめたガイドラインを作成して事前説明を行い、インフルエンサーに熟知してもらうことが重要です。特に、美容系・健康食品・サプリなど、薬機法に関連する商品を扱う際には注意しましょう。
インフルエンサーマーケティングは「SNSに投稿すれば終わり」ではありません。その後の長期的な分析も必要です。
また、特に効果のあった投稿を再活用できるのもインフルエンサーマーケティングの大きなメリットですが、広告やユーザー生成コンテンツ(UGC)として二次利用する際は、トラブルを避けるためにもインフルエンサーの承諾を得ておきましょう。
インフルエンサーマーケティングを始める前に、「自社はどのような切り口での発信がユーザーに刺さるか」を知る必要があります。
これまで取り上げた成功事例はヒントにすぎません。企業ごとにターゲット層や目的、ブランディングは違うため、他社の事例を比較研究して、自社の施策を最適化することが成功のカギです。
インフルエンサーマーケティングによって、自社ブランドや商品の情報が国内外に拡散されるだけではなく、第三者が発信することによる情報の信頼性の向上、それに伴うリーチ数の増加も期待できるため、取り入れてみてください。
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