マーケティング戦略
「PRとはどんな意味かわかりやすく教えてほしい」「インフルエンサーがX(旧Twitter)やインスタで投稿している『#pr』をつけた投稿はなんだろう」とPRについて気になっている方もいるのではないでしょうか。
PR=Public Relations(パブリックリレーションズ)は、今日のビジネス環境において不可欠な要素です。組織や企業がいかにして公衆との関係を築き、維持するかという概念を包含しています。
また前述のとおり、SNS上で#prをつけた広告的投稿も見かけますが、こちらはPromotion(プロモーション)を示すものであり、先に挙げたPublic Relationsとは目的も用途も異なります。
本記事では、さまざまな企業活動のうち、PRとはどのような活動を指すのかをまとめました。PRについて詳しく知りたい方はぜひ最後までご覧ください。
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PRとは何を意味するかについて、以下の観点で解説します。
まずは前者のPublic Relationsの略称の場合、PRとは、組織や企業が公衆との関係をどのように築き、維持していくかを示す重要な概念です。
PRは「Public Relations」の略称であり、その範囲と重要性は極めて広範にわたります。この言葉はさまざまな団体によって異なる方法で定義されています。
たとえば、日本パブリックリレーションズ協会におけるPRの定義は以下のとおりです。
“パブリックリレーションズ(Public Relations)とは、組織とその組織を取り巻く人間(個人・集団)との望ましい関係を創り出すための考え方および行動のあり方である。”
引用:日本パブリックリレーションズ協会「パブリックリレーションズとは - 公益社団法人日本パブリックリレーションズ協会」
また、アメリカPR協会(PRSA)におけるPRの定義は以下のとおりです。
“Public relations is a strategic communication process that builds mutually beneficial relationships between organizations and their publics.(広報活動は、組織とその一般大衆との間に相互に有益な関係を構築する戦略的なコミュニケーションプロセスです。)”
引用:Public Relations Society of America「About Public Relations | PRSA 」(和訳はGoogle翻訳によるもの)
上記の定義は、PRが単に情報の伝達にとどまらず、組織と公衆との相互理解や信頼関係構築のためのプロセスであることを示しています。
つまり、次に解説するPromotionの略称としてのPRとは異なり、双方向のコミュニケーションを重視し、製品などについて売りこむのではなく、共感を生むことが目的になっているということです。
PRは前述のとおりPublic Relationsの略称であり、日本語では「広報」と訳されることが多いです。狭義ではPublic Relationsの略称としてのPRと広報も異なるものを指すといわれることもありますが、当記事ではその違いについて大きくは触れません。
PRと広報の違いについてくわしくは以下の記事をご参照ください。
そのうえで「PR」は日本国内では慣例的に宣伝の文脈で使われることも多いです。それがPromotionの略称としてのPRです。
SNS上で「#PR」というハッシュタグのついたタイアップ投稿を見たことがある方もいるのではないでしょうか?あれはまさしく製品やサービスのプロモーションを目的とした、宣伝投稿です。
プロモーション(Promotion)は、1960年にアメリカのマーケティング学者E.J.マッカーシーによって提唱された「マーケティングの4P」というフレームワークにもとづいて考えられています。
この4Pとは次の4つの活動の頭文字を取ったものです。
4Pについては以下の記事でもくわしく解説しています。
Promotionは、ターゲット市場に製品やサービスの存在、特徴、魅力をどのように知らせるかに焦点を当てています。頭の2つの文字を取れば「PR」となりますが、前述のPublic Relationsの略称としてのPRとは異なるので、混同して覚えてしまわないように気をつけましょう。
前述のX(旧Twitter)やインスタなどで見かける、インフルエンサーによるタイアップ投稿に「#PR」というハッシュタグが用いられている理由のひとつは、一般社団法人日本インタラクティブ広告協会が広告表記の一つとして「PR」の使用を推奨しているからだと思われます。
参照:一般社団法人日本インタラクティブ広告協会「ネイティブ広告に関する推奨規定 」
また2023年10月1日の景品表示法の改正により、いわゆるそういった「案件投稿」などには「広告」や「宣伝」、「PR」といった表記が義務付けられています。広告と知らずに情報を受け取ったユーザーが、それが中立的な立場によるものだと誤認してしまい、適切な判断ができなくなるおそれがあるためです。いわゆるステルスマーケティング(ステマ)規制のための法改正だったのです。
参照:IP mag「景品表示法をわかりやすく紹介!具体的な事例や法改正によるステマ規制を解説」
このようにプロモーションの意味合いでPRという言葉が使われるケースは増えてきています。
プロモーション目的でインフルエンサーにSNSなどでタイアップ投稿をしてもらうことを時に「インフルエンサーPR」といいます。
その最大の特徴はやはり、広告という形式をとらないため、ほかの投稿と一緒に自然とユーザーの目に触れること。これだけ日常のなかに広告のあふれた時代なので、一方向性の情報提供に嫌悪感を示す方も少なくありません。押し売りのように感じられて、それがどんなに魅力的な製品、サービスであっても興味を持てないということもあるのではないでしょうか。
インフルエンサーによるPR投稿は、ほかの通常の投稿と形式が同じなので、抵抗なく情報を受け取ることができ、また時にその投稿にコメントなどを寄せて双方向のコミュニケーションを楽しむこともできるでしょう。
前述のPRと広告の違いについて解説した記事でも言及しましたが、PR(Public Relations)は企業とユーザーの双方向のコミュニケーションを重視しており、広告は一方向性の情報提供を実施します。しかしインフルエンサーによるタイアップ投稿は、ユーザーとのやりとりも可能にし、共感を促しながら広告としての役目を果たすのです。
つまりインフルエンサーPRは、Public Relationsの略称としてのPRとPromotionの略称としてのPRが同時に作用する珍しいケースなのです。
ただし先述のとおり、それが広告と認識されずに受け止められてしまってはステマと見なされるおそれがあるため、必ず「#PR」や「#タイアップ」といった文言をつけることを徹底する必要があります。
インフルエンサーマーケティングとアンバサダーマーケティングについて解説した以下の記事もご参照ください。
PRの目的は以下の2つです。
PRの重要な目的の一つは、社会やステークホルダーとの信頼関係を強化することです。前述の「Public Relations」の略称としてのPRにあたります。
ステークホルダーとは、企業や組織の活動に直接的または間接的に関わりを持つ個人や集団のことを指します。具体的には以下が含まれます。
PR活動を通じて、ステークホルダーとの良好な関係を築き、維持することは、企業の評判やブランドイメージを構築するうえで不可欠です。
PRは、単に情報を伝達するだけでなく、相互理解と共感を促進することで、信頼と尊敬を築きます。企業や組織はそのステークホルダーとの関係を強化し、長期的なサポートとロイヤリティを獲得できます。
PRのもう一つの重要な目的は、商品やサービスの認知度や購買意欲を高めることです。前述でいうところの「Promotion」の略称としてのPRです。
PR活動により、企業は自社の製品やサービスを効果的に市場に紹介し、目立たせられます。消費者の注意を引くことで、製品やサービスに対する興味を喚起できます。
PRは先述のSNS上で行うインフルエンサーによるタイアップ投稿のように、メディアやソーシャルプラットフォームを通じて、第三者による推奨や口コミ効果を生み出すことが多いです。
消費者に対して、より信頼性の高い情報源となり得るため、製品やサービスの認知度を高め、最終的には購買意欲の向上に繋がります。そのため媒体ごとに異なる特色をきちんとキャッチして、そのユーザーに向けた効果的な投稿を行う必要があります。
たとえばX(旧Twitter)であれば、以下を意識すると多くのユーザーの目に留まるかもしれません。
インスタの場合は以下を意識するとよいでしょう。
TikTokの場合は以下のように意識してみてはいかがでしょうか。
これらはいずれもPromotionとしての意味合いだけでなく、Public Relationsとしても機能するため、どちらにせよPR活動に力を入れたい企業は公式のSNSを立ち上げ、運営するのがよいでしょう。ユニークな発信を続けることで新規顧客の獲得につながったり、ロイヤリティの向上に直結したりします。
またSNS時代においては炎上リスクをふまえて、普段から積極的に自ら情報発信をすることで、それが誠実な印象を与えたり、情報の透明性につながったりすることも考えられるでしょう。
ただし、せっかく開設したのに担当者が決まっていなくて更新頻度にばらつきが出てしまったり、世界観に統一感が出せなかったりすると、ユーザーからの共感性が得られない、あるいはファン離れが起きてしまうということも考えられるので、事前にしっかり計画を立ててから進行してみてください。
具体的なPRの方法については、以下の記事で解説しています。
PRを成功させるためのコツは以下の6つです。
PRの成功には明確な目的の設定が不可欠です。
目的はPR活動の方向性を決定し、どのようなメッセージを伝えるか、どのターゲットに焦点を当てるかが戦略の基盤となります。
効果的な目的設定には次のポイントが重要です。
具体性:目的は具体的で、達成可能でなければなりません。たとえば「若年層の認知度を向上させる」「特定地域での市場シェアを拡大する」などの目標を設定します。
測定可能性:掲載数や問い合わせ数といった、定量的に評価できるようなかたちで行うことが推奨されます。これにより、活動の進行と効果を定期的に測定し、必要に応じて戦略を調整できます。
一貫性:PRの目的は企業の全体戦略と一致していることが必要です。ブランドイメージや会社の使命と矛盾しないように、全体的なビジョンの調和が求められます。
PR活動の成功には、明確に定義されたターゲット層の理解が必要です。
ターゲットを特定することで、より効果的なメッセージを適切なチャネルを通じて届けられます。ターゲットを明確にするための流れは次のとおりです。
ペルソナの作成:ターゲット層の詳細なプロファイルを作成することで、彼らのニーズ、関心、行動パターンを深く理解できます。
STP分析:STP分析とは、Segmentation Targeting Positioning(セグメンテーション・ターゲティング・ポジショニング)の頭文字を取って作られた、マーケティングにおいて代表的なフレームワークのこと。
市場をセグメンテーション(細分化)し、ターゲットを特定し、適切なポジショニングを通じて、メッセージと戦略を展開します。
ターゲットの動向分析:市場調査やデータ分析を行い、ターゲット層の最新のトレンドや行動を把握します。
ペルソナ、ターゲットマーケティングについては以下の記事をご参照ください。
適切な媒体の選択は、PRメッセージを効果的に伝えるための鍵です。媒体選択の際に考慮すべきポイントは以下のとおりです。
リーチと影響力 | 選択する媒体がターゲットオーディエンスに広くリーチできるか、影響力を持っているかを評価する |
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信頼性と権威 | とくにニュースメディアや業界関連の専門メディアは、その信頼性と権威により、メッセージの説得力を高める |
コンテンツの特性 | メッセージの性質に合わせて、テキスト、画像、動画など、最も適切なフォーマットを提供する媒体を選ぶ |
コスト効率 | PR予算に合わせて、最大のリターンをもたらす媒体を選定する |
上記のポイントを適切に取り入れることで、効果的かつ成功を期待できるPR活動を実施できます。
PR活動の成果を測定し、成功を定量的に評価するためには、KPIの設定が重要です。
適切なKPIを設定することで、PR活動の進捗と成果を効果的に追跡し、必要に応じて戦略を調整できます。KPI設定の詳細なアプローチ方法は次のとおりです。
目標に関連するKPIの設定 | PR活動の目的と一致するKPIを設定する。たとえば、ブランド認知度向上が目的であれば、メディア露出の頻度やリーチ、SNS上での言及数などが適切なKPIとなる。 |
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定量的指標と定性的指標の組み合わせ | 数字で測定できるKPI(例:ウェブサイトの訪問者数、メディア掲載数)と、定性的な指標(例:ブランドに対する感情分析、顧客満足度調査)を組み合わせることで、より全面的な評価が可能になる。 |
実現可能で具体的な目標設定 | 達成可能な範囲で具体的な数値目標を設定する。たとえば「6ヶ月間でwebサイトのトラフィックを20%増加させる」など、明確な目標を立てる。 |
効果的なPR活動には、詳細なPR計画の策定が不可欠です。PR計画を作成する際の主要なステップは以下のとおりです。
方針の確定 | PR活動の全体方針、ビジョン、目的を明確にする |
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戦略の策定 | ターゲット市場・競合分析、SWOT分析(Strengths、Weaknesses、Opportunities、Threats)などにもとづいて戦略を策定する (SWOT分析とは、強み、弱み、機会、脅威という観点から自社の市場における位置づけを分析する手法) |
施策の具体化 | 戦略に基づき、具体的な施策(例:イベント、メディアリリース、SNSキャンペーン)を計画し、タイムラインに沿ってスケジュール化する |
予算の設定 | 各施策に必要な予算を割り当て、コスト効率を考慮する |
PR活動の効果を正確に評価するためには、定期的な効果測定が必要です。主な効果測定方法には以下のようなものがあります。
メディア掲載数とリーチ | メディアにどれだけ掲載されたか、そのリーチの広さを測定する |
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広告換算値 | メディア露出がもし広告であったらかかるであろう費用を算出する |
記事の論調分析 | メディアの報道が肯定的か否定的かを分析し、ブランドイメージに与える影響を評価する |
webトラフィックとエンゲージメント | webサイト訪問者数、ページビュー、SNSのいいね!の数などから評価する |
問い合わせ数・資料請求の件数 | PRの結果、問い合わせ数や資料請求の数がどれくらいあったかによるPRのインパクトを測定する |
ヒアリング調査 | アンケート調査や聞き取り調査などを実施し、実際にPRが成功したかどうかを評価する |
PRとは、社会全体やステークホルダーとの継続的な関係構築を通じて、企業や製品の認知、理解を深めていく活動のこと。効果的なPRのためには、目的・ターゲットに合ったPR方法を選択しましょう。
効果的にPRを行うには、ウェブサイトやSNSにタレントを起用するのも一つの手です。しかし「タレント起用するとなるとコストが気になる」「自社に合ったタレントの選定は大変そう」と感じる方もいるのではないでしょうか。
コストを抑えてタレント起用したいなら、タレントサブスクの利用を検討してみましょう。タレントサブスクとは、タレントの写真素材を月額料金制で利用できるサービスです。
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