マーケティング戦略

SNSでの話題化を狙う「バズマーケティング」は、短期間で大きな拡散効果を生む手法ですが、炎上などのリスクもあります。失敗を防ぎ効果的に実施するには、他社の施策から成功と失敗の要因を整理しておくことが重要です。
この記事では、バズマーケティング成功事例5つと失敗につながりやすい3つのケースを紹介し、その共通点や工夫をまとめます。自社企画やクライアント提案時の参考にしてみてください。

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SNSなどを通じて話題を作ったキャンペーンには、拡散を生む仕組みやユーザーが参加しやすいきっかけの設計といった工夫が見られます。ここでは、企業によるバズマーケティングの成功事例を5つ紹介し、それぞれの戦略や成果を整理します。
その前にバズマーケティングについてくわしく知りたい方は、以下の記事もあわせてご覧ください。
株式会社ドリコムは、ダークファンタジー小説「ブレイド&バスタード」のシリーズ累計25万部突破を記念し、X(旧Twitter)でキャンペーンを実施しました。
ファンコミュニティ促進ツール「Rooot(ルート)」を活用し、ガチャ形式の投稿キャンペーンやキャラクター投票企画を展開。
指定のハッシュタグをつけて投稿、または関連ポストにいいね、RPといったアクションを起こすことでポイントを貯め、そのポイントを用いて抽選でプレゼントが当たるガチャができるというものです。
ガチャの結果を投稿するユーザーも現れ、ファンによるUGCを多く生み出しました。
結果、キャンペーン期間中のポスト数は約3,500件、リポスト数は約20,000件を記録。フォロワー数は20%増加し、ガチャ回転数は21,903回にもなりました。
景品インセンティブのみに頼らず、推しキャラ投票を実施したり、ガチャの抽選にはずれても楽しめるようカードを添付し、繰り返しガチャを回すことで欲しいカードが手に入るよう当選確率を調整したりするなど、ユーザーが自発的に投稿したくなる仕組みを設計したことが高い拡散率につながったとみられます。
「ゲーム性」「拡散導線」「ネタ要素」を組み合わせたUGC設計により、出版業界では異例の反響を生んだプロモーションです。
キリンビバレッジ株式会社は、美容・健康ドリンク「トロピカーナ エッセンシャルズ」の4年ぶりのリニューアルにあわせ、X(旧Twitter)上で「トロピカーナ収穫祭」というキャンペーンを2段階構成で実施しました。
第1弾「収穫手伝ってくださいキャンペーン」では、指定したハッシュタグ「#トロピカーナ収穫中」を使用した投稿が15,000件以上集まるなど成功を収め、第2弾では、特設サイト上で遊べる60秒間の「トロピカーナ収穫ゲーム」を公開し、ゲーム結果をそのままSNSに投稿できる導線を設計。
「#トロピカーナ収穫完了」をつけてゲーム結果をシェアすることで、「トロピカーナ エッセンシャルズ マルチビタミン」が抽選で1ケースもらえるプレゼントキャンペーンにつなげたのです。
2段階に分けてキャンペーンを実施したことにより、多くのユーザーが参加することができ、新商品の認知拡大につながったといえるでしょう。
参照:キリンビバレッジ株式会社(PR TIMES)「トロピカーナ エッセンシャルズ リニューアル記念「トロピカーナ収穫ゲーム」を3月25日より開始」
株式会社I-neが展開するナイトケアビューティーブランド「YOLU(ヨル)」は、新商品の「ドリーミング バスタブレット」の発売にあわせて、アイドルグループ「超ときめき♡宣伝部」とコラボレーションしたTikTok LIVE「#寝落ち配信」を実施しました。
「推しが寝落ちする」という演出と同時配信設計を用い、ファンによる自発的な切り抜き動画の拡散を促したことで、トレンド入りを果たしただけでなく、売上面でも反響が大きく、発売初週で楽天市場「入浴剤」カテゴリ週間ランキング1位を獲得。2か月で累計販売数100万個を突破しました。
推し文化を理解したうえでファン心理に寄り添う演出を行ったことで、自然なかたちでSNS上の話題拡大につながりました。
参照:Bytedance株式会社(PR TIMES)「2024年の広告実績を表彰する「TikTok Ad Awards 2025 Japan」全5部門の部門賞とグランプリを発表!」
なお、推し活マーケティングやファンマーケティングについては、以下の記事で解説しているのであわせてご覧ください。
江崎グリコ株式会社は、高校生との接点を強化するため、自動販売機専用アイス「セブンティーンアイス」の名にちなんで、17歳と共にCMを制作する共創プロジェクト「セブンティーンチャイム」を展開しました。
人気TikTokクリエイターや一般の高校生を起用し、台本に縛られないリアルな会話や感情表現を軸に映像を制作。あえて商品露出を控え、高校生の日常に自然と存在する「自動販売機」の情緒を描く構成にすることで共感を喚起しました。
その結果、広告認知率は想定の244%を達成。参加者のNPS(ネットプロモータースコア:顧客ロイヤリティを測る指標)は+86ポイントを記録し、1985年の発売以来最高の売上を更新しました。
ターゲット層と同じ目線で共創する設計が、自然な拡散とブランド好感度の向上に寄与した好例です。
参照:Bytedance株式会社(PR TIMES)「2024年の広告実績を表彰する「TikTok Ad Awards 2025 Japan」全5部門の部門賞とグランプリを発表!」
株式会社PLAN-Bが運営する美容メディア「ナラ」は、韓国スキンケアブランド「Torriden(トリデン)」との初のコラボレーションによる限定セットをECモール「Qoo10」で販売しました。
あわせて、製品の効果を「納得感をもって伝える」ことを目的に、ユーザー視点で構成したインタビュー動画や、肌のメカニズムを丁寧に解説する動画を制作。TikTok・Instagramでの合計再生数は95万回を超えました。
その結果、2025年6月に開催されたQoo10の大型セール「メガ割」期間中に発売された限定500個の特典付きセットは、約50分で完売。販売件数は約4,300件、売上は約830万円を記録しました。
ユーザーが商品の魅力を理解しやすいよう段階的に動画の制作など訴求を進めたことでブランドへの信頼感を高め、拡散につながった事例です。
参照:株式会社PLAN-B「Torriden×ナラ 初コラボセットをQoo10で販売 発売50分で限定500個の特典付きセットが完売、限定セットは約4,300件の販売を記録」
なおTorridenは2025年よりKing & Princeの髙橋海人さんをアンバサダーに起用し、さまざまな施策を展開。著名人をアンバサダーに起用した成功例として以下の記事でも解説しているので、あわせてご覧ください。

SNSを活用したプロモーションは、拡散力の大きさゆえにリスクも伴います。話題性を作ったつもりが、思わぬネガティブな反応を招いてしまうケースも少なくありません。ここでは、バズマーケティングで陥りがちな失敗例を3つ取り上げて解説します。
SNS上の不適切な表現がブランド批判や不買運動につながるケースは多いです。コンプライアンスに配慮するのはもちろんですが、ターゲットが大切にしている価値観やそのコミュニティ特有の空気感を掴み損ねることで、ミスマッチな表現をしてしまわないよう注意しましょう。
企業とユーザーが双方向に交流できる現代において、一度「自分たちのことを理解していない」という印象を与えてしまえば、反感やブランドイメージの低下につながりかねません。
企画段階でターゲット層やそのコミュニティの価値観、関心などを把握することで、どういった発言が支持されにくく、不適切だと見なされるのか理解できるようになるでしょう。
バズを狙うあまり、誇張した表現を用いることもあるのではないでしょうか。しかし、実態とかけ離れた表現は受け手の期待とのギャップを生み、ネガティブな印象につながる場合があります。一時的に話題化できても、その後のブランド評価に影響を残すかもしれません。
こうしたギャップを避けるためには、事実に沿った表現で期待値を適切に調整することが重要です。誠実なコミュニケーションは、長期的なブランド信頼の維持につながります。
インフルエンサーを起用した施策において、情報共有が不十分なまま進行してしまうと、意図しない表現が含まれたり、必要な情報が漏れてしまったりする場合があります。
その結果、ステルスマーケティングを疑われ、発信者だけでなくブランドの信頼低下につながるリスクが生じることもあるでしょう。
誤解を避けるためにも、契約時の説明やガイドラインの共有を徹底し、ブランドとインフルエンサーが同じ認識で発信できる体制づくりが重要です。
インフルエンサーマーケティングやステルスマーケティングに深く関わる景品表示法、「#pr」をつけたSNS上の投稿については以下の記事をご覧ください。

成功と失敗、どちらの例からも見えてくるのは、バズマーケティングを成果につなげるには拡散の仕組みだけでなく、設計段階での工夫が欠かせないということです。
ここでは、成功事例から導かれる再現性の高いポイントと、失敗を防ぐために押さえておきたい視点を整理します。
SNSでの拡散を生むには、参加するユーザーの行動導線を事前に設計することが重要です。投稿、ゲーム、アンケートなど、ユーザー自身がアウトプットを生み出せる仕組みがあると、SNS上で自然なUGCが発生しやすくなります。
「ブレイド&バスタード」や「トロピカーナ」の事例のように、報酬や遊び要素を組み合わせた設計は、参加ハードルを下げ、持続的な投稿を促進しました。
ユーザーが楽しみながら参加でき、かつ共有したくなる理由が用意されていることが、バズにつながるポイントです。
「セブンティーンアイス」や「YOLU」のように、共感を呼び起こしたり、応援したいという感情をサポートすることで、SNS上で思わず共有したくなる瞬間を生み出せます。
ユーザーが感情を動かされる体験は、強い発信動機となり、自然な拡散を生み出すのです。情報ではなく「個人の感じたこと」が価値を持つ時代において、感情を起点にした設計こそが、バズマーケティングの核といえるでしょう。
話題が一度きりで終わらないように、施策を段階的に展開することも重要です。「トロピカーナ」や「Torriden×ナラ」のように、段階ごとに訴求内容を変えることで、参加者の関心を長く保つことができます。
また、発信のタイミングや形式に変化をつければ、飽きを防ぎながらブランドとの接触機会を増やせます。キャンペーン全体をストーリーとして体験できる構成にすることで、目的達成を後押しするでしょう。
バズを狙うあまり、ブランドらしさや一貫性を欠いた訴求をすると、ユーザーの認知とブランドの実像にズレが生まれます。「Torriden×ナラ」のように、映像表現を通じてブランドの世界観を一貫して伝えることで、認知拡大と信頼形成を両立できます。
施策ごとに媒体や表現方法を変える場合も、ブランドの核となるメッセージと矛盾がないかを確認する姿勢が重要です。
SNSでは発信内容の一部のみが切り取られ誤読されたり、受け手の価値観によって意図と異なる解釈が生じたりすることがあります。拡散性の高いコンテンツほど、言葉選びやトーンはブランド評価に影響しやすく、慎重性が求められます。
発信前には誇張表現になっていないか、意図が読み取りやすい構成か、誤読の余地が残っていないかなど、多角的な視点で内容を見直すことが重要です。
さらに、表記や文言ルールを明確にしておくなど、表現の適正化を設計段階に含めることで誤解や不信感の芽を摘んでおきましょう。

バズマーケティングは、短期間で注目を集めやすく、話題性を起点にブランドの認知を広げられる手法です。リスクを回避しながら効果的に実施するためには、話題性だけに偏らず、ユーザー体験やブランドの世界観との整合性までふまえた設計が重要です。
拡散の仕組みを整えつつ、発信後にどんな印象が残るのかまで意識することで、成果の質が高まるでしょう。
長期的な視点でブランドへの好意や継続的な関心につながる設計をし、自社に合ったバズマーケティングを成功させてください。
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