マーケティング戦略

地方創生は、人口減少や地域経済・雇用の縮小といった課題に対応するため、日本各地で進められている重要な取り組みです。
補助金や制度設計を中心に国や自治体が主導する政策として語られることも多かったですが、2020年代に入り、ますます企業の参画が広がりを見せています。
さまざまな企業が自社の事業ノウハウや技術、ネットワーク、発信力といった強みを生かし、地域の課題解決に関わることであらゆる角度からアプローチを実践しています。単なる社会貢献やCSR活動にとどまらず、事業戦略やブランド形成、人材戦略と結びつけた取り組みも増えてきました。
本記事では、地方創生とは何かという基本構想から、企業がどのように関わり、どのような成果を生み出しているのかを整理したうえで、アクセンチュアやANAをはじめとする企業による地方創生の成功例を紹介します。

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地方創生とは、人口減少や地域経済の縮小といった課題に向き合いながら、地方が将来にわたって持続的に発展していくことを目指す取り組みです。単に人を呼び込む施策ではなく「仕事」「人の流れ」「暮らしの質」を地域ごとに再設計していく考え方が根底にあります。
地方創生は、2014年以降内閣府が推進する「まち・ひと・しごと創生」を軸に進められてきました。東京一極集中の是正、地方での雇用創出、若い世代が安心して暮らせる環境づくりなどが、基本構想の柱です。
この枠組みのなかで、地方創生は行政だけで完結するものではなく、民間企業の参画を前提とした取り組みへと位置づけられるようになりました。企業が持つ事業ノウハウや技術、発信力を地域資源と組み合わせることで、自治体単独では生み出しにくい継続性や経済効果が期待されているためです。
実際に企業が主体的に関与し、事業や人材戦略と結びつけながら価値創出を図る動きも広がっており、こうした潮流は「地方創生2.0」に組み込まれています。

地方創生における企業の関与は年々広がっており、地域貢献やCSR、事業開発、人材戦略など複数の目的が重なり合いながら展開されています。
ここでは、企業が地方創生に取り組む主な目的を、いくつかの観点から整理します。
企業が地方創生に取り組む目的の一つに、ブランド価値の向上があります。地域課題に向き合い自治体や住民と連携する姿勢は、企業の社会的信頼や共感を形成する要素として評価されやすいためです。
こうした取り組みはCSR活動の一環としてだけではなく、企業理念や存在意義を具体的な行動として示す役割も担います。地域との継続的な関係構築を通じて、企業の価値観や姿勢が可視化される点も特徴です。
地方には、自然・文化・産業・人材など企業活動に応用できる多様な資源が存在しており、企業が地方創生に関わることで、これらの地域資源を起点とした新たな商品やサービスの開発が進められています。
また、地方を実証や実装のフィールドとして活用する動きも広がっており、新規事業の検証や事業モデルの磨き込みにつながるケースも見られます。地域の特性を生かした取り組みは、企業にとって新市場の開拓や事業機会の創出に寄与するでしょう。
地方創生の取り組みは、人材戦略の一環としても進んでいます。ワーケーションやサテライトオフィスの設置などを通じて、従業員が地域と関わる機会を設ける企業も増えているのです。
こうした取り組みは、多様な働き方の実現や人材育成につながり、企業と従業員の関係性を深める役割を果たします。地域での体験を通じて得られる視点や気づきが、組織の活性化や新たな発想の創出につながるケースもあるでしょう。

企業による地方創生は、取り組みのかたちや関わり方によって、その成果の現れ方も異なります。
ここでは、企業の強みを生かしながら地域と関係を築いている事例を取り上げ、具体的にどのような取り組みが行われているのかを見ていきましょう。
アクセンチュアは、経営戦略からIT・デジタル導入までを一体的に支援するコンサルティング企業です。日本では、企業向けのDX支援に加え、中央省庁や自治体と連携した公共分野のプロジェクトにも関わっています。
地方創生の分野では、福島県会津若松市を起点としたスマートシティの取り組みが知られています。
アクセンチュアは2015年から、行政サービスや地域データを横断的につなぐ「都市OS」の構築・運用を支援してきました。都市OSは、住民が同意したデータをもとに行政と民間のサービスを連携させるための共通基盤で、会津若松市ではこの基盤上で行政手続きのオンライン化や防災情報の提供、医療・健康分野のサービスなどが展開されています。
福島県では、県と複数の市町村が都市OSを共同で利用し、各自治体が個別にシステムを導入することなく、デジタルサービスを提供できる体制が整えられました。
この取り組みは、特定の地域に限定した施策ではなく、他の自治体にも展開可能なモデルとして構築されています。アクセンチュアは、自社のデジタル分野の知見を活かし、地域運営を支える基盤づくりに関わっているのです。
参照1:アクセンチュア「福島県および県下5市がアクセンチュアの都市OSの稼働を開始」
参照2:アクセンチュア「DXと地方創生」
ANAあきんどは、ANAグループの航空ネットワークや発信力を生かし、地域資源を商品や体験として企画し、人の流れを生み出す事業を展開しています。自治体や地域事業者と連携し、観光に限らない地域との関わり方を設計している点が特徴です。
具体的な取り組みの一つが、「二地域居住」をテーマにしたプロジェクトで、地方での仕事や体験内容、暮らしを整備しています。
「お試し体験」として、それぞれの地域独自の体験メニューに参加すると、航空移動がお得になるなど、独自のプログラムを提供することで、都市部の人が地方と継続的に関わるきっかけを創出。
また、地域ごとの特色を生かすため自治体や外部パートナーと連携し、特定のコンテンツやファン層を意識した企画を設計し、航空と連動した情報発信や誘客につなげています。地域単体では届きにくい層に対して、ANAグループの発信基盤を活用して認知を広げている点も特徴です。
ANAあきんどの取り組みは、地域資源を磨き上げ、移動や体験と組み合わせることで、人の流れや関係人口を生み出す仕組みづくりとして展開されています。
パソナグループは、人材サービスを主軸とする企業です。地方創生の分野では、人材誘致や雇用創出を通じて地域経済の基盤を支える取り組みを行っています。
代表的な事例が、淡路島での取り組みです。パソナグループは2008年から淡路島で事業を展開し、農業分野を起点とした人材育成や就業支援、地域産業との連携を進めてきました。地域資源を生かした生産活動や関連事業を通じて、働く場を地域内に整える動きを続けているのです。
淡路島にはグループの拠点や本社機能の一部が置かれ、島内で継続的に人が働く体制が構築されています。単発のプロジェクトではなく、企業活動そのものを地域に根付かせるかたちで展開されている点が特徴です。
パソナグループの取り組みは、人材サービス企業としての知見を生かし、雇用と産業を地域につくる仕組みとして地方創生に関わる事例と位置づけられます。

今回紹介した事例から共通して見えてくるのは、地方創生の取り組みが単発で完結するものではなく、長く続けることを前提に設計されているという点です。
地域ごとの特色や資源を起点にかたちづくられ、企業の強みをそのまま当てはめるのではなく、地域の状況に合わせて役割を組み替えることで、それぞれの土地に合った取り組みとして成立しています。
また、住民・来訪者・企業のいずれか一方に偏らず、それぞれに役割が生まれる設計になっている点も共通。地域には基盤や仕事が残り、来訪者には体験や関係性が生まれ、企業には事業機会や価値が蓄積できる、こうした循環が、取り組みを続けていく下支えを担っています。
これらを次につなげるためには、取り組みの中身とあわせて、その背景や文脈をどう整理し、どう伝えるかという視点も欠かせません。地域で起きている変化や意図が共有されることで、新たな関わりや共感が生まれやすくなります。
たとえばその土地の出身タレントをプロモーションに起用すれば、人々の関心をひきやすく、また記憶にも残りやすくなるでしょう。
せっかく地域に貢献するプロジェクトを立ち上げても、知ってもらえなければ広まりにくいです。タレントの持っている認知度やポジティブなイメージを借りるかたちで活用するのは、おおいに有効だといえます。
タレントを広告に起用するメリットやデメリットについては以下の記事でくわしく解説しているので、あわせてご覧ください。
企業が持つ人材やブランド、発信力は、その役割を担う要素の一つです。地域の価値を可視化し、外へ届けていく仕組みが整うことで、取り組みは次の段階へと進んでいきます。
地方出身タレントの起用に興味がある方は、最短1か月から定額制で利用できる「Skettt(スケット)」の導入もご検討ください。

地方創生は、行政だけで完結する取り組みではありません。企業が持つ知見やリソースが加わることで、地域との関係はより立体的に広がり、取り組みの持続性も高まります。
今回紹介した事例から、地域資源を生かしながら企業価値の向上にもつなげる動きが見えてきました。基盤づくり、人の流れの創出、雇用や産業の定着とアプローチは異なっていても、地域と企業の双方に意味のあるかたちで設計されている点が共通しています。
今後は「地域に根ざしながら、その価値を全国や世界へどう届けていくか」が、より重要になっていくでしょう。企業の参画によって生まれる地方創生のかたちは、これからも多様に広がっていくと考えられます。
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