IP活用

多くのメディアに露出されれば、それだけブランドの価値が高まったように感じられることもありますが、誰が、どのような文脈で語ったかによって、受け取られ方や印象の残り方は大きく変わります。
特にファッションやビューティー業界において、こうした影響の質に目を向ける評価軸として注目されているのが、「メディアインパクトバリュー(MIV)」です。
SNSの普及により、情報は次々と流れていくようになりました。そのなかで、単なる露出の量だけではなく語られ方や反応の方向性まで含めて振り返る視点が求められています。
本記事では、MIVの考え方や「メディアバリュー」との違いを整理しながら、影響力をどのように設計し、活用していくかを解説します。

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メディアインパクトバリュー(MIV)とは、企業やブランドが得たメディア露出の価値を、金額換算で評価する指標です。ニュース記事やSNS、インフルエンサーの発信などの影響の大きさを可視化したもので、特にファッションやビューティー領域において活用されています。
MIVが評価するのは、露出の量だけではありません。どれだけの人に届いたかに加えて、誰が発信したのか、どのような反応が集まったのか、どの文脈で語られたのかといった点を重視されます。
計測においては、Launchmetricsが定義する、露出ごとに想定される金銭的な価値を示す「推定基準価値」、情報がどの規模・どの層に届いたかを見る「オーディエンス」、発信元がどれほどの信頼性や影響力を持つかを示す「ソースオーソリティ」、そして内容や語られた文脈の質を評価する「コンテンツクオリティ」という4つの主要な基準から、どの程度のインパクトを持ったかを総合的に算出。
マーケティング業界でよく見られる「広告換算費」は、各メディアに掲載された露出効果を同様の枠を広告として購入した場合の費用目安ですが、「MIV」は、各露出の影響力や文脈まで含めて評価します。そのため、MIVは露出効果を示すものではなく「露出の質」を評価する指標といえます。

メディアインパクトバリューは、「メディアバリュー」や「ニュースバリュー」と混同されやすい用語です。いずれも「メディア」や「価値」という意味を含むため間違えられるのでしょう。
「メディアバリュー」という言葉は、特定の指標として一般化されているものではありません。「Media」と「Value」という語の意味から、媒体や露出の価値を指す一般的な表現として使われています。
一方、「ニュースバリュー」は、メディアに報道する価値があると判断される情報の重要性や社会的意義を指す言葉であり、露出の影響や価値を数値化する考え方とは異なります。
露出の価値を数値として捉える代表的な指標に、アーンドメディアバリュー(EMV)があります。広告として購入していない第三者の発信や自然発生的な話題を対象に、その露出がどれほどの価値を持ったかを広告換算で評価する考え方です。
MIVは、露出の価値を評価する指標という点ではEMVと近い位置づけにありますが、大きな違いは特にファッションやビューティー、ラグジュアリーといった分野で用いられている点でしょう。また、誰が発信したのか、どのような文脈で語られたのかといった要素を含めて、露出がどれほどのインパクトを持ったかを評価する点に特徴があります。

MIVが注目されている背景には、メディア環境の変化があります。かつては、テレビや新聞、雑誌、ラジオといったマス媒体がブランド認知の主な入口でした。
しかし現在は、SNSの普及により個人の投稿をきっかけにブランドを知る機会が増えているため、マス広告だけにとどまらず、誰がどのように発信することで自社ブランドの価値が高まるのかという点にも目を向ける必要が出てきています。
たとえばインフルエンサーは、その発信自体がひとつのメディアとして機能する存在です。ブランドに対する印象や態度形成に影響を与えるケースもあり、自社ブランドのイメージに合った方に好意的な発信をしてもらえれば、コストを抑えてよい効果を生み出すことも可能でしょう。
なお、インフルエンサーマーケティングについては以下の記事でくわしく解説しているので、あわせてご覧ください。
ファッションやビューティーなど、イメージや世界観が重視される業界においては、ブランドについて語ったインフルエンサーの影響力を数値化するためにMIVを計測することもあります。
感覚的に語られがちだった「話題性」や「影響の大きさ」を、社内外に説明できるかたちで示したいというニーズが高まっていることも、MIVが注目される理由のひとつといえるでしょう。
参照:WWD JAPAN「有力ブランドがこぞって採用、「ブランド力を数値化する」金融とデジタルのベテランCEOが率いるローンチメトリックスの野望」

SNSやwebメディアを通じて、私たちは日常的に多くのブランドメッセージに触れるようになりました。多くの情報が飛び交うなかで、企業には「数ある情報のなかから自社の存在をどう際立たせ、話題として取り上げてもらえるか」という視点が必要になります。
こうした環境のなかで求められているのは「語られ方」を設計する視点です。情報が共有され、文脈のなかで意味を持つブランドであるかどうか。設計時に意識すべき施策を、いくつかの観点から整理していきます。
情報発信の際、機能や価格といった情報だけでは共有につながりにくく、影響力の広がりも限定されます。
開発の背景やブランドの価値観、取り組みの意図といった自社ならではのストーリーが示されることで、発信者はその内容を自分の言葉で語りやすくなります。誰かが紹介したくなる状態が生まれると、露出の質が変わり、結果として評価されるインパクトにも反映されやすくなるでしょう。
受け手を「見る側」にとどめず、「関わる側」に変えることが、話題の広がり方に影響します。投稿や投票、体験共有など参加の余地がある施策は、単なる閲覧よりも発信につながりやすくなります。
自分の言葉や体験として語れる要素があると、発信は事実の伝達ではなく、評価や感情を伴ったものになるためです。そうした投稿は、反応を生みやすく、影響の届き方にも違いが表れるでしょう。
参加の設計は、投稿数だけでなく、どのような文脈でブランドが語られるかにも関わります。関与の度合いが深いほど、熱心に広まりやすくなるでしょう。
日常の価値観やライフスタイル、社会的な関心事と結びつくテーマは、個人の視点で語りやすくなります。自分の言葉に置き換えられる余地があることで、投稿は宣伝ではなく、意見や体験として発信されます。
しかし、その投稿がどの層に届くか、どのような文脈で受け取られるかは、テーマの切り取り方によって変わります。ブランドのメッセージが、どんな場面で、どんな話題として扱われるのかを意識することが求められます。
企業アカウントからの発信だけでは、受け手との距離が生まれやすくなります。開発者やスタッフ、ユーザー、アンバサダーといった「誰の言葉か」が見えるかたちで語られると受け取りやすくなります。
発信者の立場やブランドとの関係性が明らかになることで、投稿の背景や意図も伝わりやすくなるでしょう。同じ内容であっても、誰が語るかによって、受け取られ方や反応の方向は変わるものです。
語り手の存在が前面に出ると、ブランドは組織としてではなく、個人の集まりとして認識されます。その視点の変化が、話題の広がり方や信頼の積み重ねに影響を与えるでしょう。

影響力のある方が発信することで、到達範囲だけでなく、反応の質や語られる文脈が変わり、結果として露出のインパクトが評価されやすくなります。タレント起用は、単に話題をつくるための手段ではなく、語られ方の質を高める選択肢です。
こうした流れのなかで増えているのが、単発の広告出演ではなく、継続的な関係性を前提としたアンバサダー施策です。アンバサダーは、ブランドの世界観や価値観を体現する存在として発信に関わるため、一時的な起用ではなく文脈を持って長期的に関係性を積み重ねるケースが一般的と捉えられています。
アンバサダーマーケティングの考え方や特徴については、以下の記事でも詳しく紹介しています。
特にファッションやビューティーといった、イメージや世界観がブランド価値に直結しやすい分野では、ブランドアンバサダーの起用がブランドイメージを左右することも少なくありません。
近年は世界的に韓国セレブを起用する事例が増えており、その話題性やそもそもブランドアンバサダーの意味については、次の記事で解説しています。
また、韓国に限らずアジア全体が世界的に注目されているため、もちろん日本人を起用する企業やブランドも多く存在します。
日本の芸能人のアンバサダー起用事例については、以下の記事で紹介しているのであわせてご覧ください。

MIVは、露出の影響力を測るための指標のひとつです。数値は施策の成果を確認する手がかりにはなりますが、それ自体がブランドの価値を決定づけるものではありません。数値の変化だけに目を向けると、企業が設計しているブランド戦略との間にズレが生じる可能性があります。
アンバサダーやイメージキャラクター、情報を伝達するインフルエンサーのキャスティングによっては影響力や話題性が先行し、ブランドが構築したい世界観やメッセージと十分に一致しないかたちで認識が定着してしまうこともあります。
また、短期的なインパクトと中長期的なブランド価値は、必ずしも同じ方向に伸びるわけではありません。反応の大きさや話題性を追う施策と、世界観や信頼を積み重ねる取り組みは、時間軸が異なります。
発信の内容や反応を確認しながら、施策がどの方向にブランドを導いているのかを見直していく視点が必要です。

情報の発信手段が広がるなかで、ブランドはメディアだけでなく、人を通じて語られる存在になりました。掲載媒体の名前以上に、誰にどのような文脈で語られたかが印象の残り方に影響します。
こうした環境において、MIVは露出の量ではなく、影響の質を振り返るための評価軸としての意義を持ち、話題の広がり方や、どの層にどのような意味として受け取られているのかを確認する手がかりになるでしょう。
そのなかで、影響力のある存在とどのような関係を築くかは非常に重要です。アンバサダーやイメージキャラクターは、ブランドの世界観を共有していくパートナーといえます。
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