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求人サイトや転職エージェントの広告には、俳優やタレントが起用されることも多いです。高橋一生さんや柳楽優弥さんを起用したリクルートエージェント、今田美桜さんが出演するタウンワークなど、ブランドの顔として定着しているケースも見られます。
就活・転職サービス市場の拡大に伴い広告競争が激化するなかで、なぜタレント起用が進んでいるのでしょうか。本記事では、その背景や広告戦略などについてわかりやすく解説します。

タレント×マーケティングで
成果を最大化

求人・転職サービスの市場は拡大し続けており、広告の役割も大きくなりました。
求人サイトや人材紹介会社などの人材サービス市場は成長しています。矢野経済研究所が公表した「人材ビジネス市場に関する調査(2025年)」によると、2024年度の人材関連ビジネス主要3業界(人材派遣業、ホワイトカラー職種の人材紹介業、再就職支援業)の市場規模は前年度比3.4%増の9兆7,962億円。
参照:矢野経済研究所「人材ビジネス市場に関する調査を実施(2025年)」
背景にあるのは少子高齢化による労働人口の減少であり、企業の人材不足が深刻化し、採用競争が激しさを増していること。そのため、企業は求職者に向けて自社の魅力を伝える広告を展開し、差別化を図る必要が出てきました。
また、終身雇用に依存しないキャリア観の広がりにより、副業・ジョブチェンジといった多様な働き方も一般的となり、求人・転職関連サービスの利用者も増加しています。個人・企業双方の需要拡大に伴い、求職者だけでなく採用活動を検討している企業にもサービス利用を促す必要があり、広告の役割はより重要になりました。
なお、採用活動中の企業が自社求人広告を打ち出す際のプロモーション方法については、以下の記事で解説しているので、あわせてご覧ください。
求人・転職サービスは、対象ユーザーや提供価値によっていくつかの種類に分けられます。
それぞれ対象ユーザーや提供内容が異なるため、広告においてもターゲットに応じて訴求方法を分ける必要があるでしょう。

求人・転職サービスの広告にタレントを起用することで、信頼感の向上やブランドイメージの形成など、さまざまな効果が期待できます。
就活・転職サービスは、人生に関わる重要な意思決定に影響するだけでなく、個人情報の登録やキャリア相談を伴うため、新規登録の心理的ハードルが高い領域です。そのため広告表現によって、サービスへの信頼感や親近感を高めることが重要です。
安心して利用できるサービスであるという印象を持ってもらうために、好感度や信頼性の高い俳優、タレントが起用される傾向にあります。
こうしたサービスは、求人数やサポート内容、スカウト機能や適職診断の有無などの違いがあるものの、ユーザーにとっては比較しづらいでしょう。そこで、サービスの特徴やブランドイメージを直感的に伝えるためにタレントのキャラクター性やストーリー性を広告の中で表現するケースがよく見られます。
ユーザーにとって、就活や転職は不安や失敗への恐れが伴いやすいです。そのため、前向きなキャリアや新しい挑戦を描く広告が多く見られます。ターゲット層から支持を得ている俳優・タレントを起用することで、ポジティブなイメージを伝えやすく、ユーザーの行動の後押しにつなげているケースも多いでしょう。

求人・転職サービスの広告においては、それぞれターゲット層が異なるため起用されるタレントの傾向も異なります。
アルバイトや新卒・第二新卒向け求人サイト、就活エージェントなどのサービスは、明るく親しみやすい印象のタレントが起用されやすいです。経験の少ない就職活動やアルバイト先探しの不安を軽減させるため、興味関心を引きやすく、安心感を与えられる存在が重視されます。
ターゲット層と年齢が近い、あるいは若年層から高い支持を得ているタレントが選ばれることが多く、たとえば株式会社学情が運営する20代向け転職サイト「Re就活」においては板垣李光人さんが起用されています。
転職エージェントやハイクラス転職サイト、業界特化型求人サイトなどにおいては、落ち着いた雰囲気や信頼感、説得力のあるタレントが起用される傾向があります。キャリア形成や年収向上といった重要な意思決定に関わるため、実績や経験を感じさせる人物が適しているでしょう。
実力派俳優や中堅芸人など、すでにキャリアを積み重ねているタレントが選ばれるケースが多く、木村拓哉さんを起用したことで話題になった「マイナビ転職」の広告などがその一例です。

ここでは、実際にタレントを起用している求人・転職サービスの広告事例を紹介します。
リクルートエージェントは、リクルートグループによる転職エージェントサービスです。CMには高橋一生さんと柳楽優弥さんが出演しており、落ち着きや誠実さを感じさせる二人の印象がサービスの信頼性と重なります。
広告は転職に向き合う求職者に寄り添うトーンで展開され、キャリアの選択に伴う不安や迷いを描く構成で、機能訴求に偏らず、「相談できる存在」である印象を与えています。
本シリーズは第10弾まで継続しており、最新の第10弾CM「ささやくふたり 暖簾越しのメッセージ篇」15秒(上記動画)はYouTube上で1億回以上再生されるなど高い認知を獲得しています。出演者に関する検索数も多く、タレント起用がブランドの認知形成に寄与しているといえるでしょう。
参照:リクルートエージェント「CM動画|高橋一生さん・柳楽優弥さんの出演『リクルートエージェント』新TV-CM公開・YouTube配信情報」
タウンワークは、リクルートグループ発行のフリーペーパーから始まり、現在はweb上でアルバイトやパート求人情報を中心に提供しているサイトです。CMには今田美桜さんが起用されており、明るく親しみやすいキャラクターが主なターゲット層である若年層に親近感を抱かせそうです。
今田さん以外に後述するゲストが出演することもありますが、基本的にブランドカラーの黄色を背景に展開され、ブランド想起を促していることがうかがえます。「バイトするならタウンワーク」という短いジングルで印象づけ、視覚と聴覚の両面から記憶に残る構成です。
なお、サウンドロゴや音源を活用したマーケティング手法であるソニックブランディングについては、以下の記事でくわしく解説しています。
今田さんと俳優で歌手の松平健さんやアイドルグループFRUITS ZIPPERが共演したCMは、特にSNS上でも話題になりました。今田さんは「ブランドの顔」といえるほどイメージが定着しており、「タウンワークの広告の女の子」といったキーワードで検索がされるなど、認知形成への寄与がうかがえます。
ビズリーチは、同名企業が運営する、管理職や専門職、次世代リーダー、グローバル人材などの即戦力・ハイクラス人材に特化した転職サイトです。CMには2016年から吉谷彩子さんが継続して起用されており、人差し指を立てて「ビズリーチ」とポーズを決める姿が印象的。長期的な起用により、ブランドイメージの一貫性と記憶定着を高めている点が特徴です。
広告では、企業が人材データベースから候補者を検索しスカウトできる仕組みや、求職者が自身の市場価値を知り新たな機会を得られる点など、サービス全体の価値を伝えています。
求職者向けと採用活動を行う企業向けのCMを並行して展開している点も特徴です。ユーザーの心の声を代弁する演出に加え、企業の採用意識を訴求する内容も組み合わせ、双方にメッセージを伝えています。
また、アサヒグループホールディングス株式会社の勝木敦志代表取締役社長や、日本電気株式会社(NEC)の森田隆之代表取締役執行役員社長兼CEOなど、経営層自らが出演したCMは大きな話題を呼び、中途採用への本気度を直接訴求することができたことで、求職者・企業双方から反響を得ました。

媒体ごとに役割や接触シーンが異なるため、広告の表現方法も変わります。
認知拡大を目的に制作されることが多いマス広告で、ブランドイメージを伝えやすいでしょう。当記事で紹介したCMにはいずれも著名なタレントが起用されていますが、重要なのは知名度よりもサービスとの相性や信頼感です。例に挙げたCMはすべてどちらも叶えたキャスティングといえるでしょう。
若年層の認知拡大に適した短尺動画を中心に制作、配信されることが多い媒体です。機能や利用イメージを分かりやすく伝えるコンテンツに加え、導入企業へのインタビューなど事例を紹介する形式も見られます。
また、テレビCMを放送しているサービスでは、SNS上で撮影の裏側やメイキング映像を発信するケースもあります。こうした投稿はユーザーとの接点を増やすプロモーション施策として活用されています。
同じ場所に長期掲載することで通学層やビジネス層に繰り返し接触できる媒体です。近隣に大学のある駅やオフィス街などを掲出場所に選べばターゲットへ届けやすいでしょう。瞬時に印象に残すためには、タレントのビジュアルを前面に出す表現も有効です。
交通広告や屋外広告(OOH)については、それぞれ以下の記事でくわしく解説しているので、あわせてご覧ください。

タレントを起用することで、広告の効果を多角的に高めることができます。主なメリットは以下のとおりです。
これらの要素が組み合わさることで、競合との差別化にもつながり、ユーザーの継続的な利用意向の向上も期待できるでしょう。

タレント起用は効果的ですが、選定を誤ると逆効果になる可能性があります。主な注意点は以下のとおりです。
これらを事前に整理したうえで起用すれば、広告効果を安定的に高めることができるでしょう。

就活・転職市場は拡大し続けており、それに伴い求人プラットフォームや転職エージェントなどの広告の競争も激化しています。こうした環境のなかでは、タレント起用が認知度向上や信頼感の醸成に有効な手段だといえます。
一方で、その効果を最大化するためには、ターゲットに合った人物選定と媒体ごとの特性をふまえた広告戦略が欠かせません。適切に設計することで、競合との差別化や継続的なブランド形成にもつながるでしょう。
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