IP活用

書店ではこれまで、書籍を出版する芸能人も多いことから、サイン会やトークイベント、写真集発売イベントといったイベントプロモーションが多く行われてきました。
2020年代に入り、SNSで本を紹介するインフルエンサーの影響力の拡大に伴い、TikTokで紹介された本が売れる「TikTok売れ」と呼ばれる現象、「#BookTok」というハッシュタグをつけた書籍レビューの広がり、書店員による情報発信の高まりなど書店を取り巻くマーケティング環境も変化しています。
本記事では、書店と芸能人の関係性、近年の書店プロモーションの特徴、タレント起用の成功事例、書店マーケティングの可能性について解説します。

タレント×マーケティングで
成果を最大化

小説や写真集を出版する芸能人は少なくないことから、書店と芸能人は、複数の接点を通じて関係を築いてきました。書店は出版物の販売という機能にとどまらず、情報発信や来店体験の場としての役割を担っており、サイン会やトークショーといったイベントを通じて両者の結びつきは継続的に形成されてきたといえます。
ここでは、その背景を整理します。
書店と芸能人の関係は、出版活動から生まれることも多いです。俳優・タレント・アイドルが、小説やエッセイ、写真集・フォトブック、自伝などを出版するケースは少なくありません。
芸能人の出版物は、ファンによる購入に加え、メディア露出やSNSでの拡散によって話題になることも多く、発売のタイミングで注目され、書店内で書籍購入者を対象としたサイン会や、発売記念トークイベントなどが実施されることもあります。
そのため、芸能人による出版物は、書店にとって集客力のあるコンテンツの一つといえるでしょう。
雑誌業界において読者モデルや専属モデルとして活動を始め、その後タレント活動へ踏み出す人物は少なくありません。雑誌に登場することで注目を集め、芸能界へと進む流れはこれまでも見られてきました。
そして書店は、そうした雑誌の流通や販売の場として、芸能文化と強く結びついているといえます。
先述のとおり、芸能人関連書籍の発売に合わせて書店内で記念イベントが実施されることは少なくありません。写真集やフォトブックの発売時にはサイン会やトークイベントが行われることが多く、小説の場合には読書会が開催されるケースもあります。
これらのイベントは、書籍の購入と来店を結びつける施策として実施されてきました。イベント開催により来店の動機が生まれ、SNSでの話題化やメディア露出につながることもあります。
書店におけるイベントプロモーションは、出版と連動した重要な取り組みの一つといえるでしょう。

書店プロモーションにおいては、来店体験と話題化をどのように設計するかが重要なポイントです。
ここでは、書店プロモーションに共通して見られる特徴を整理します。
書店では、トークイベントやサイン会、読書会などの体験型施策が行われることが多いです。
オンラインでの書籍購入や電子書籍の普及が進むなか、リアル書店には「その場でしか体験できない価値」が求められています。店舗でのイベントは、書籍の購入と来店体験を結びつけ、足を運ぶ理由をつくるでしょう。
近年トレンドとなっている書店プロモーションには、SNSと連動した施策も増えています。SNS上でのユーザーとのコミュニケーションやハッシュタグキャンペーン、写真映えする売り場づくりなど、SNSを基軸とした取り組みが展開されています。
TikTok売れや「#BookTok」への投稿を意識した選書を行い、またそれを見やすく配置する工夫などもその一例です。店舗での売り場設計とオンライン上の施策が連動することで、話題化や来店促進につなげる設計が行われています。
タレントを起用した場合には、ファンアカウントによる拡散や来店、メディア露出につながる可能性もあります。ファンの応援行動を起点に購買や来店を促す構造は、いわゆる推し活マーケティングとも重なる部分があるでしょう。
推し活マーケティングの考え方については、こちらの記事にて詳しく解説しています。

書店業界ならではの特徴として、書店員の選書やSNS上のレビューなど、個人の影響力が大きい点が挙げられます。ここでは、書店員と「#BookTok」などに見られるレビューを軸に、その影響力の広がりを見ていきます。
書店員の影響力を象徴する取り組みとして、「本屋大賞」があります。これは全国の書店員が「面白かった」、「お客様にも薦めたい」、「自分の店で売りたい」と思った本を選び投票して決まる賞であり、日々読者とも書籍とも最も多く触れ合う書店員の意見が反映される賞です。
「本屋大賞で選ばれた作品は大きな注目を集めます。たとえば、2025年の本屋大賞受賞作『カフネ』(講談社)はノミネート前と比較して12000%の売上効果を記録し、2024年受賞作『成瀬は天下を取りにいく』(新潮社)も大賞受賞後に3000%の売上効果を記録しています。こうした点からも、書店員の推薦が購買行動に影響を与えていることがうかがえるでしょう。
近年では、書店の公式SNSで本を紹介する書店員や、個人で書評アカウントを運用する書店員も増えています。店頭での推薦にとどまらず、オンライン上でも選書やレビューが発信されることで、書店員はインフルエンサー的な役割を担う存在へと変化しはじめているのです。
近年は、TikTokで紹介されたことをきっかけに書籍の売上が大きく伸びる、いわゆる「TikTok売れ」と呼ばれる現象も多く見られます。
たとえば、TikTok上に投稿されたレビューをきっかけに話題になった『桜のような僕の恋人』(集英社文庫)は、投稿から3か月以上も注文が続き、発行部数43万部を突破した(2020年12月時点)作品です。実際に書店では「TikTokを見て買いに来た」という声も聞かれました。TikTokを通じて若年層や普段書店に足を運ばない層へ届き、購買や来店につながった好例といえます。
また、1989年に発表された筒井康隆氏の『残像に口紅を』(中央公論新社)も、2021年に小説紹介クリエイターのけんごさんがTikTok上で紹介したことをきっかけにAmazonの売れ筋ランキングなどにおいて上位に浮上し、3万5,000部も緊急重版されました。
発表から30年以上もの年月が経過していた作品がSNS上の拡散によって再評価される動きは、従来の書籍流通では想定しづらかった現象といえます。
これらの事例から、TikTok上の投稿が単なる話題化にとどまらず、実際の購買行動に影響を与えていることがうかがえるでしょう。SNS上での共感や感情の共有が購買の後押しとなり、リアル書店での売上にも波及する構造が生まれています。
参照1:けんご(紙上健吾)さんのTikTok投稿
参照2:BUSINESS INSIDER「「TikTok売れ」で30年前の実験的SF小説が3万5000部の緊急重版……メガヒットに出版社も熱視線」
世界的にもTikTok上で「#BookTok」というハッシュタグを付けて本を紹介する投稿が増加。海外では、これをきっかけに既刊書が再びランキング上位に浮上する事例も報じられており、出版市場に影響を与える動きとして注目されています。
参照1:TikTok Japan【公式】ティックトック「出版業界も注目 アメリカで起きている「BookTok」ムーブメントとは(竹田ダニエル)」
参照2:現代ビジネス(講談社)「欧米の出版業界にも大きなインパクトをもたらしている「BookTok」の意外な実情」

前述したように、書店プロモーションでは書店員やインフルエンサー、タレントといった「人」を起点にした施策が多く展開されています。タレントの影響力を活かすことで、来店促進や話題化、新しい読者層へのリーチにつながる可能性があるでしょう。
ここでは、書店プロモーションにおいてタレントを起用するべき理由について整理します。
多くのタレントにはファンコミュニティがあり、イベント開催が来店の動機になりやすいため、集客施策として機能しやすいという特長があります。また、ファンによるSNS投稿や拡散が生まれやすく、イベントの様子がオンライン上で話題化することもあるでしょう。
さらに、話題性の高い企画としてメディアに取り上げられることで、イベントや書店の存在が広く知られ、来店促進につながる可能性もあります。
特に、写真集や小説などの書籍出版のタイミングに合わせたイベントプロモーションは、親和性の高い施策の一つです。サイン会やトークイベントなどを実施することで、書籍の販売と来店体験を結びつけて展開することができます。
タレントが本を紹介することは、これまで本に関心のなかった層に情報を届けるきっかけにもなります。タレントのファンが書籍に興味を持つことで、新しい読者層が生まれる可能性があるためです。
信頼感のある人物による紹介は、書籍の魅力を伝えるうえで説得力を持ちやすい側面があります。読書家として知られているタレントや、普段から本について発信している人物が書籍を紹介することで、「その人がすすめるなら読んでみたい」と興味を持つきっかけとなり、購買意欲を高める期待も持てるでしょう。
こうした特徴から、書店プロモーションにターゲット層から支持されているタレントを起用することで、既存の読者層だけでなく、普段あまり本を読まない層にも情報を届けられる可能性があります。
「Skettt(スケット)」を活用すれば、5,000名以上もの著名なタレントの中から、自社、自店にマッチした方を選んで交渉でき、また、目的ごとに戦略提案を受けることが可能です。最短契約期間も1か月〜とお試ししやすいでしょう。

書店業界はほかの小売業界と比べても、「誰が紹介するか」によって売上が大きく変わりやすい市場です。
実際に、書店員の推薦や読書系インフルエンサーのレビューなど、「信頼できる人のおすすめ」が購買行動につながる文化が根付いています。そのためタレントを起用する際も、知名度だけでなく、本との親和性やキャラクター性をふまえて選ぶことが重要です。
ここでは、書店プロモーションに適したタレントのタイプについて見ていきましょう。
書店プロモーションと特に親和性が高いのが、自身も書籍を出版しているタレントです。芸能界には、小説やエッセイ、自伝、ライフスタイルブックなどを出版する俳優・芸人・タレントも多く、出版活動を通じて書店との接点を持っているケースも少なくありません。
こうした人物は本に対する関心や理解があると受け止められやすく、書店プロモーションにおいても違和感なく起用しやすい特徴があります。
特に、作家活動を行っている芸人や俳優、エッセイストとして人気のあるタレント、文化的なイメージを持つ著名人などは、本の魅力を伝える役割とも相性がよい存在です。また、自著の出版に合わせてサイン会やトークイベントなどを店内で実施できる点も、来店動機をつくる施策として大きなメリットといえるでしょう。
近年は、読書家として知られる芸能人がSNSやテレビ番組などでおすすめの本を紹介し、話題になるケースも増えています。たとえばテレビ番組『アメトーーク!!!』(テレビ朝日系)において「読書芸人」をゲストに招いた回が人気であるように、本をテーマにした企画が注目を集めることもあり、芸能人の読書習慣が取り上げられる機会も増えています。
こうしたタレントは、選書のセンスに対する期待を持たれやすい特徴があります。そのため、インタビュー動画で読書習慣を語ってもらう、書店の公式SNSでおすすめ本を紹介してもらう、キャンペーンページや店頭に書評コメントを掲出する施策などへの起用に適しているでしょう。
読書好きとして知られている人物が本を紹介することで、「その人がすすめるなら読んでみたい」という心理が働きやすく、書籍への興味を喚起するきっかけになると考えられます。
写真集やフォトブックの発売時に書籍の購入者を対象としたサイン会やトークイベントを書店で行うことも多く、ファンが来店するきっかけをつくる施策として定着しています。
アイドルや俳優など多くのファンを抱えるタレントを起用することで、店舗への来店促進やSNSでの拡散、メディアでの紹介など、さまざまなかたちで話題化につながる可能性があるでしょう。
一方で、写真集などの発売に合わせたイベントは、出版社が複数の書店と連携して実施するケースも多く、話題性や収容人数の大きい店舗に注目が集まりやすい側面もあります。そのため、書店ごとの独自企画や売り場づくりなどを組み合わせながら、差別化を図ることも重要です。
SNS上で影響力を持つインフルエンサーやタレントも、書店プロモーションに起用したい存在です。
先述のとおり、近年はTikTokやSNS上で紹介された書籍が話題となり、売上につながるケースも増えており、こうした背景から、SNS上で影響力を持つ人物と連携したプロモーションも注目されています。
インフルエンサーは、選書や本の魅力の伝え方に長けている場合も多く、投稿を通じて書籍の認知を広げる役割を担い、書店の公式アカウントとコラボしておすすめ本を紹介する企画や、SNS投稿と店頭展開を組み合わせたキャンペーンなど、オンラインとリアルを連動させることも可能です。
こうした手法は「インフルエンサーマーケティング」と呼ばれ、SNS時代のプロモーション施策として多くの企業が取り入れています。
インフルエンサーマーケティングの仕組みや活用方法については、こちらの記事でも詳しく解説しています。

タレントを起用した書店プロモーションは、来店促進や話題化を目的にさまざまなかたちで展開されています。
ここでは、具体的な事例をもとに、施策の特徴や効果を整理します。
2022年に東京都書店商業組合が実施した「木曜日は本曜日」プロジェクトは、来店機会の創出と書店利用の習慣化を目的とした取り組みです。
プロジェクト内において俳優や作家、インフルエンサーなど本に関わりの深い人物が、自身の「人生を変えた一冊」を紹介する動画コンテンツが制作・配信されました。紹介された書籍は都内の書店で展開され、店頭では特設コーナーの設置や販促物の掲出など、オンラインと連動した売り場づくりを実施。
本に対する関心や発信力を持つ人物が中心に選ばれ、視聴者にとって納得感のある意見として受け取られやすい点が特徴です。動画で語られる読書体験と店頭での展開を組み合わせることで、書籍との出合いを促すよう設計されています。
その結果、プロジェクト期間中の組合加盟店における選書の合計売上は開始前比220%にのぼり、公開された動画のYouTube内総再生回数も400万回を超えました。Twitter(現X)上でも『#木曜日は本曜日』に関する投稿が4万件を超えるなど話題を集め、書店への来店促進と購買行動の喚起の両面で効果が見られたといえるでしょう。
未来屋書店はブラックフライデー企画として、Skettt(スケット)とタッグを組み、歌手の松崎しげるさんを起用したプロモーションを展開しました。
本施策は、セールイベントである「ブラックフライデー」に合わせて企画されたもので、「黒」というキーワードと松崎しげるさんのイメージを掛け合わせた点がユニークです。店頭や販促物、ビジュアル展開において統一感のある演出が行われ、キャンペーンを印象づけました。
書店プロモーションにおいては、書籍との親和性や読書イメージを重視したタレント起用が一般的ですが、本事例では企画コンセプトとの一致を優先したキャスティングが行われたのが特徴。タレントのキャラクターとキャンペーンテーマを結びつけることで、話題性の創出やSNSでの拡散につながりました。
このように、タレントの選定においては、必ずしも書籍との直接的な親和性だけでなく、企画内容とのマッチングを重視することでプロモーション効果を高められるケースもあります。
より詳細な施策内容については、以下の事例記事で紹介していますので、あわせて参照してください。
アイドルグループ乃木坂46を起用した「乃木坂文庫」キャンペーンは、2019年に出版社と書店が連動して展開した書店プロモーション施策です。
本施策は、夏休みシーズンに合わせて厳選された文庫作品のカバーにメンバーを起用し、全国の書店で展開されたフェア。店頭では特設コーナーやパネルなどが設置され、タレントのビジュアルを活用した売り場づくりが行われました。
実施の背景には、文庫本市場の活性化や若年層の来店促進が必要といった課題があり、アイドルのファン層を取り込むことで新たな読者層へのリーチが図られました。実際に書店では、普段文庫コーナーを利用しない層の来店や、売り場での滞在・写真撮影といった行動も見られています。
また、メンバーごとに担当作品を割り当てることで、複数作品への関心を喚起しやすい設計となった点も特徴です。人気メンバーが表紙を飾った本は数日で完売し、フェア開始早々、売上が前月比100倍になるほどの反響も見られました。
タレントの影響力と書店の売り場展開を組み合わせることで、来店促進と購買行動の両方につながったプロモーション事例といえるでしょう。

書店プロモーションにおいては、書店員の推薦やインフルエンサーの発信、タレントの紹介など、複数の施策を組み合わせた事例が増えつつあります。
なかでもタレントを起用したプロモーションは、認知拡大や来店促進につながる手法として、今後も活用の幅が広がっていくでしょう。
ターゲットや企画内容に応じて適切なタレントを起用し、売り場やSNS施策と組み合わせて設計することで、より効果的な書店プロモーションにつながる期待が持てます。
「Skettt(スケット)」を活用すれば、書籍や書店と親和性の高いタレントを含め、5,000名以上もの著名なタレントの中から目的に合った方を選んで交渉可能です。
またその時々に適した戦略提案も受けられるうえ、最短契約期間は1か月〜と短いため、これまでタレントを起用したプロモーションを行ったことのない企業もスモールスタートしやすいでしょう。
サービス資料
ダウンロード

この記事の関連タグ
Copyright © 2024 Wunderbar Inc. All Rights Reserved.
IP mag