IP活用
「アンバサダー」という言葉は、ビジネスシーン、とくにマーケティングの現場で頻繁に使われるようになりましたが、その意味や使い方を正確に説明できる人は意外と少ないかもしれません。
この記事では、「アンバサダーの意味は?」「何語なの?」「英語ではどう使う?」といった基本的な疑問に答えながら、似た言葉である「エバンジェリスト」「パートナーシップ」「インフルエンサー」との違いについても丁寧に解説します。
また、ビジネスシーンにおける適切な使い方や、言い換え表現の注意点も紹介。アンバサダーという言葉の背景やニュアンスをしっかり理解したい方に向けて、わかりやすくまとめました。
タレント×マーケティングで
成果を最大化
アンバサダーの意味はもとは「大使」。しかし最近は、少し異なる意味合いで使われることが多いですよね。「広告塔」といった意味合いをふくむケースが多く見られますが、その違いはなんでしょうか?
後ほどくわしく解説しますが、「アンバサダー(ambassador)」という言葉は、もともと英語で「大使」や「使節」を意味します。
いずれも外交の場において、ある国を代表して他国と関わりを持つ人物のことを指しますが、この“特定の組織の代表”という意味が、現代のマーケティングやビジネスの文脈に応用されて変化していると考えてよいでしょう。
ビジネスにおける「アンバサダー」は、企業やブランドが展開する商品・サービスの魅力を広く世の中に発信する、いわば“顔”のような存在です。
タレントに限らずインフルエンサーや有識者、一般のファンなどがアンバサダーとして起用されるケースも増えており、その形態は多様化しています。共通しているのは、アンバサダー自身がブランドの理念や世界観に共感し、それを“自分の言葉で”広めるという点です。
特定のキャンペーンに短期的に起用されるだけでなく、長期的な関係を築きながら継続的に情報発信していく役割が期待されることが多いのも特徴です。
アンバサダーとよく混同されがちな言葉に「広告塔」がありますが、両者は少しニュアンスが異なります。
広告塔はあくまで企業が主体となって打ち出す広告メッセージの“顔”として登場する存在であるのに対し、アンバサダーは、より自発的かつ継続的にブランドと関わる立場です。
そのため企業としてプロモーションコンテンツにおいて、打ち出したいメッセージが明確にある場合は広告塔のほうがコントロールしやすいですが、ユーザーからの信頼性や親しみやすさが求められる場面では、アンバサダーというかたちでの発信のほうが効果的とされることもあるでしょう。
このように、単なる“起用タレント”以上の意味を持つ「アンバサダー」。その言葉の背景を理解することで、企業がどんな意図をもって人選をしているかも見えてくるはずです。
なお、ビジネスシーンにおける「アンバサダーマーケティング」については、以下の記事でくわしく解説しています。
まずは「アンバサダー」という言葉がもともと意味していたところを深掘りしていきましょう。
繰り返しになりますが「アンバサダー」は英語の“Ambassador”に由来し、もとの意味は「大使」や「使節団の代表者」です。英語圏では「U.S. Ambassador to Japan(駐日アメリカ大使)」のように、現在も外交の文脈で多く見られます。
ただし日本同様、企業やブランドの顔として用いられることもあるので、誤りということではないでしょう。その場合はわかりやすく“brand ambassador”などと表現すると、誤読を防ぐことができるのではないでしょうか。
語源をたどると、ラテン語の「ambactus(使者、奉仕者)」に行き着きます。この語は、「周囲」を意味する“amb”+「動く」を意味する“act”+ラテン語における名詞語尾“us”に分解でき、「(主の)周囲で動く人」から「使者」「奉仕者」を意味することがわかります。
ここから派生して「代表して交渉する人物」「任命された使節」といった意味合いに変化していったと考えられるでしょう。
この「他者のために伝える」「代表する」という本質が、近年ではビジネスやマーケティング分野でも活用されるようになりました。それは英語圏においても同様で、企業や団体の価値観・魅力を消費者に届ける担い手として注目されています。
たとえば、著名人などが広くブランドの世界観を伝える「brand ambassador(ブランドアンバサダー)」はもちろん、実際の利用者が自発的に製品の良さを発信する「customer ambassador(カスタマーアンバサダー)」も存在します。
このようにマーケティングにおけるアンバサダーは、「広告モデル」というより「共感と信頼の伝道者」というニュアンスが強く、企業との距離の近さやストーリー性が重視される傾向にあります。
なおブランドアンバサダーと広告モデルについては、以下の2つの記事でくわしく解説しているのでご参照ください。
ビジネスやマーケティングの現場では、「アンバサダー」と似た概念の言葉が複数登場します。
意味が混同されがちですが、それぞれに異なる役割やニュアンスがあります。ここでは「エバンジェリスト」「パートナーシップ」「インフルエンサー」との違いについて整理しておきましょう。
「エバンジェリスト(Evangelist)」は、もともとキリスト教における「伝道者」を意味する言葉ですが、現代はとくにIT業界やテック業界で広く使われています。
製品や技術に対して深い理解と熱意を持ち、その魅力を情熱的に“布教”するように広めていく存在です。専門的な知識と個人の信念に基づく自発的な発信が重視される点が特徴です。
一方、アンバサダーは「企業・ブランドの顔」として、広報やPRの一環で活動することが多く、一般ユーザーや潜在顧客に向けた、わかりやすい情報発信が求められます。
エバンジェリストが“内側から熱量を伝える”存在だとすれば、アンバサダーは“共に手をとって印象をつくる”存在といえるかもしれません。
「アンバサダー」と「パートナーシップ」の違いは、その役割。
まずパートナーシップはブランドと第三者が対等な立場で協力し、互いにメリットを得る関係性を指します。たとえば、共同開発やコラボレーション、資源の共有などを含む、ビジネス的な利害関係を前提とした協業です。
一方アンバサダーは、あくまで“ブランドの価値や魅力を発信する存在”という立場に重きが置かれます。
そのため長期にわたってパートナーのような「共創」関係を結ぶのではなく、短期的な「発信」や「印象形成」が役割の中心といえますが、契約期間が短くても当然ながらアンバサダーのほうが軽んじられるということはありません。
とくにファッションブランドなどにおいては、アンバサダーのタレント価値を見出して自社のブランディング強化を図るケースも見られるため、時にアンバサダーのほうが起用される人物のステータスにつながるということもあるでしょう。つまり、この二つに上下関係は伴わないのです。
芸能人などの著名人をアンバサダーに選ぶ理由や選び方については、以下の記事でくわしく解説しています。
「インフルエンサー」は、SNSを中心に多くのフォロワーを持ち、情報発信によって購買行動などに影響を与える人物を指します。企業のマーケティング目的で起用した場合、タイアップ投稿のリーチ数やキャンペーンへの参加率など、成果をすぐに可視化できる点が特徴です。
アンバサダーも発信者である点は共通していますが、より中長期的な関係性を築く傾向にあります。また、ブランドと独占契約を結ぶことも多く、「そのブランドを代表する存在」としての一貫性が重視されます。
なお、インフルエンサーマーケティングについては、以下の記事で解説しています。
「アンバサダー」という言葉は日常的に耳にするようになりましたが、ビジネスやマーケティングの文脈で、似た意味を持つ日本語表現を知りたい場面や言い換えたい場面もあるかもしれません。
この段落では、アンバサダーの言い換えに使える表現や、それでもあえて「アンバサダー」という言葉を選ぶ理由について考えてみましょう。
「アンバサダー」を直訳に近い表現で言い換えるなら、以下のような言葉が挙げられます。
いずれも「ブランドや企業の価値を外部に伝える人」という点では共通しており、文脈によっては代用可能です。
たとえば、自治体やスポーツチームにおいては「応援団」「公式サポーター」といった表現がよく使われていますし、BtoBの領域では「推薦者」「ブランド支持者」のようなやや堅いの言葉が好まれることもあります。
ただし、「アンバサダー」はある程度マーケティング用語として定着しており、その意味や期待される役割も明確です。そのため安易に他の言葉に置き換えてしまうと、意図していたニュアンスが伝わりにくくなるリスクもあります。
とくに企業のプロモーションやタイアップ施策などでアンバサダーを起用する場合には、「単なる応援者」以上の存在であることを明確に示す必要があるため、適切な言葉選びが求められます。
多くの企業が「アンバサダー」という言葉を使用するのは、単なる広報担当者、推薦者といった枠を超えた価値を期待しているからでしょう。
パートナーシップとアンバサダーの違いについて言及したセクションにおいて、後者のほうがタレント性が求められることが多いと解説しましたが、やはりこの言葉には信頼性や親しみやすさ、権威性といったニュアンスが含まれていると考えられます。
「アンバサダー=大使」というもともとの意味合いからもわかるように、企業やブランドを象徴する“顔”としての役割が強調されるのです。
著名人をアンバサダーに起用する場合、その人物が持つ世界観やイメージがブランドに重なることで、より一貫したメッセージの発信が可能になります。
また、この言葉はグローバルブランドでも共通言語として使われており、日本語の“推薦者”や“応援団”よりも広い意味を持ち、汎用性が高い点も特長でしょう。
アンバサダーは、企業やブランドの価値を伝える存在として重要な役割を担っています。もともとの英語の意味や語源を知り、その背景を理解することで、プロモーション施策などにおいて実務でこの言葉を使うときにも、意図するところをぶれさせずに表現できるはずです。
また、似た意味を持つ「エバンジェリスト」や「パートナーシップ」といった用語の違いも覚えておきましょう。
エバンジェリストは“熱心な伝道者”というニュアンスが強く、IT業界などで技術の普及に寄与する人を指すケースが多いです。パートナーシップは、対等な立場での協力関係に重きが置かれます。アンバサダーはそれらと比較して、ブランドの代弁者・象徴的存在としての色合いが濃く、役割も明確です。
「誰をアンバサダーにするか」「どのような立ち位置で起用するか」は、企業戦略において重要な意思決定といえます。人気や知名度だけで選ぶのではなく、ブランドとの親和性や、メッセージを一貫して伝えられるかといった観点もふまえ、慎重に検討しましょう。
アンバサダーを契約する際に知りたい基礎知識は、以下の記事でまとめています。ぜひご参考にしてみてください。
アンバサダーには、人気の高いタレントを起用すれば大きなPR効果が期待できますが、コストやスケジュール確保といったリソースがかかるのが一般的です。とくにタレントをキャスティングしたことのない企業は、成功するかわからない状態で挑戦するのは非常にリスキーに思えるでしょう。
そんなときはサブスク型オンラインキャスティングサービスのSkettt(スケット)をご検討ください。
Sketttは月額20万円から4,000名以上のタレント素材を利用できるサービスで、最短1か月から利用でき、またアンバサダー契約に移行したり、クリエイティブ制作のサポートを任せたり、プロモーションに関する業務を一気通貫で担えます。
費用をおさえて著名なタレントを起用したいと考えている方は、ぜひ検討してみてください。
サービス資料
ダウンロード
この記事の関連タグ
関連記事一覧あわせてこちらの記事もチェック!
Copyright © 2024 Wunderbar Inc. All Rights Reserved.
IP mag