IP活用
昨今ではコモディティ化が加速し、差別化の難易度が高まっています。そこでタレントやキャラクターなどの「IP(知的財産)」をプロモーションに活用する企業が増えてきていますが、テレビで活躍する大物俳優やタレントの起用には、コスト面やスケジュール面などからためらう企業も少なくないでしょう。
そんな企業の新しいプロモーション戦略としてあえて“成長途上”のIP=グロースIPを起用することで、企業とともにブランド価値を高め、ファンを育てていく戦略が注目されています。
本記事では、IPの種類と分類軸を整理しながら、今なぜグロースIPが選ばれているのかをわかりやすく解説します。
タレント×マーケティングで
成果を最大化
「IP」とは「知的財産(Intellectual Property)」の略称で、本来は主にクリエイティブな活動のもと生まれたアイデアや創作物を指し、それらは著作権や特許権といった法律上の権利によって守られています。
しかしマーケティングの現場ではそれらの権利が保護するところも指し、つまりアニメ、ゲームといったコンテンツやそのキャラクター、さらには肖像権まで広がりを見せ、俳優、アーティスト、インフルエンサーなどの肖像や存在そのものも含めるのが広義の「IP」と捉えられるようになりました。
とくに後者については、“ファンに支持されている存在”を自社のイメージキャラクターやアンバサダーに起用するといった方法で関係を構築し、ブランディング戦略を実行することも増えています。IPの活用は、近年のマーケティングにおいて重要な企業活動のひとつといえるのです。
その背景にあるのは、プロダクトやサービスそのものの機能だけでは差別化が難しくなった現代の市場環境。その一つひとつが持つ個性や魅力を消費者に伝わりやすくするため、「共感性」や「ストーリー性」といった感情的な要素がより重視されるようになりました。
そこで、すでにファンとの間に信頼関係や世界観を築いているIPをプロモーションに起用することで、ブランドと顧客の間に感情的な接点を生み出すことを可能にするのです。
またSNSの普及により、IPとファンの関係性はこれまで以上に可視化・定量化され、企業にとっても「ファン基盤のあるIP=マーケティング資産」として明確に捉えられるようになりました。
認知拡大やブランドイメージの強化にとどまらず、LTV(顧客生涯価値)の向上にもつながる施策として、IP活用は注目されつづけています。
つまりIPは単なる広告塔ではなく、“共感を媒介する存在”として、ブランドと顧客を結びつける戦略的なパートナーと位置づけられているのです。
なお、「IPマーケティング」については以下の記事にてくわしく解説しております。
「IP」とひと口にいっても、知名度やファン数、メディア露出の度合いなど、それぞれ異なります。企業がIPを活用する際は、その規模や戦略に応じて自社ブランドに適したIPを選定することが重要です。
そこでIPマーケティングプラットフォームの「Skettt(スケット)」では、IPを「人気・知名度・影響力」などの観点から6つの階層に分類し、それぞれの特性を明らかにしています。
軸 | 指標 | 説明 |
---|---|---|
認知度・露出度 | SNSフォロワー数、YouTube登録者数、テレビ出演本数、メディア露出数 | 数だけでなく権威性も追う必要があるが、ある程度は客観指標として分類可能。 |
業界内評価・実績 | 受賞歴、CM出演本数、起用ブランド数、業界での信頼・影響度 | SNSフォロワー数は多くなくても、業界内で「第一人者」とされるIPはこの軸で評価。 |
エンゲージメント力 | SNSの反応率、UGC数やその熱量、イベント参加者数など | ファンとの関係値を示す軸。 |
ファン層の熱量と継続性 | ファンクラブ継続率、グッズ購入率、リアルイベント動員力など | 一時的バズではなく“育てられるIP”かを測る軸。 |
タイアップ実績の成果 | CTR、CVR、来店数、キャンペーンの反響など | 過去に起用された際の効果を分析する軸。 |
国民的、または世界的な知名度を誇るキャラクターやタレントで、テレビ・映画・CMなど幅広く活躍しています。SNSフォロワー数も多く、とくに熱量の高いファンが多いのが特徴。契約費用も高額ではありますが、社会的影響力が非常に高く、ブランド価値向上に寄与しやすいです。
国民的とまではいかないものの広く知られており、特定のジャンルや世代に強い影響力を持つ、ファン層との関係が強固なIP。SNS活動やメディア出演も活発で、広告・PR施策での効果が期待できます。メディアとの親和性も高く、企業との協業実績は増加傾向。
広く知られており、とくに一部の業界やコミュニティで熱狂的な支持を得ている存在。SNSのフォロワー数やメディア露出機会はトップIPにやや劣るものの、コアなファンが多く、共感性を活かした施策が得意です。
伸びしろがあり、どんどんメディア露出が増えているIP層。ローカルメディアやSNSで徐々に注目を集めており、企業とともに認知を拡大していける存在です。共創的なパートナーシップが築きやすく、ブランドと一緒に成長を目指せるのが強み。
活動歴が浅い、もしくは全国的に認知されるまで時間がかかりやすい業界に所属しているものの、印象的な発信やポテンシャルを持つ存在。一定のSNSフォロワー数やキャリアも持っていますが、知名度はまだ限定的。費用を抑えてチャレンジ施策を展開したい企業にとって選択肢となりえます。
デビュー間もない、あるいはキャリアの浅い新進気鋭の存在。コンテスト入賞者やクリエイター志向の新人など、現時点ではまだ知名度が低いものの、独自性のあるコンセプトや成長性、将来性に期待が寄せられます。
なお、トップIP〜ミドルIPの3層を「グロースIP」と定義し、企業とIPがともに成長を目指せる存在として注目しています。メガIPに比べてコストを抑えつつ、中長期的なブランド戦略に組み込みやすいのが最大の魅力です。
また、熱心なファンも多く抱えている、もしくは今後増える見込みのある層なので、前述のとおり、共感性を促し、企業ブランドとファンを結びつけることにおいても有効で、新規ユーザー獲得にも期待できるでしょう。
「グロースIP」は、Sketttが独自に定義するIPの中間層を指す言葉です。具体的には、トップIP・プロIP・ミドルIPの3層を指し、まだ国民的な認知度を誇るメガIPではないものの、すでに一定のファンを持ち、これからさらに飛躍することが期待される存在です。
グロースIPの大きな魅力は、企業と“ともに育つ”という関係性にあります。彼らはすでにSNSやイベントを通じてコアなファンとの良好な関係を築いており、一定の影響力を発揮しています。
しかしまだ爆発的な知名度には至っておらず、企業のPR施策を通じてさらに成長していけるポテンシャルを持っているのです。
このようなグロースIPとパートナーシップを結ぶことで、企業側には以下のようなメリットが生まれます。
企業が単に「人気者」というだけではなく、これからの成長を見据え、自社のパートナーとしてIPを起用すること、それがグロースIP活用戦略の本質です。IPの魅力を引き出しながら、ブランドの世界観を共有していくことで、より高いエンゲージメントが生まれるでしょう。
圧倒的な知名度と影響力を持つ「メガIP」は、多くの企業にとって理想的な広告パートナーに見えるかもしれません。しかし、実際に起用しようとすると多くの壁に直面するはずです。
以下、具体的に解説していきます。
まず最大のハードルが契約にかかるコストでしょう。メガIPクラスのタレントは広告出演料が非常に高額であることに加え、撮影費だけでなくスタイリストやヘアメイク依頼、軽食、スタジオレンタル、クリエイティブ制作費用なども上乗せされるため、制作全体にかかるコストが跳ね上がります。
また人気であるということは、それだけ多くの仕事を抱えているということにもつながるので、スケジュールの確保が極めて難しいことも、スピード感が求められる現代のマーケティング施策とはマッチしにくいかもしれません。
さらにメガIPはすでに多数の企業と契約していることも多く、ブランドバッティングのリスクや契約上の制約が生じることもしばしば。自社ブランドのイメージにぴったりだと思っても、「競合案件に出演しているためNG」とオファー自体が通らないケースも珍しくありません。
そして見落とされがちなのが、タレントの影響力が商品の本質価値を上回って見えてしまう可能性があるという落とし穴です。たとえば商品が導入期にある場合や、ターゲット層がニッチな場合などは、あまりに強いタレント性がプロモーションに加わると、短期的な話題や売上にはつながっても、商品そのものに対する評価や理解が置き去りにされる可能性があります。
実際、かつてイメージキャラクターとのコラボが話題となった菓子商品において、グッズ目当てで商品を大量に購入した人が中身のお菓子を破棄するという社会問題が発生したこともあります。
このような状況は、ブランドの本来伝えたかった価値が届かないばかりか、ネガティブな印象として拡散されてしまうリスクもはらんでいます。
つまり共闘するIPを選定する際には、企業のステージや商品戦略に合わせて、影響力とコスト、メッセージの浸透力とのバランスをとることが重要なのです。必ずしも、だれもが知っているIPが最適とは限らないのです。
知名度も実力も着実に伸ばしつつある「グロースIP(トップIP・プロIP・ミドルIP)」は、企業とタレントの双方にとって大きな相乗効果を生み出せる存在です。圧倒的な影響力を持つメガIPと比較すれば、起用ハードルが低く、コストパフォーマンスにも優れています。
まず企業側にとっての最大のメリットは、広告出演だけにとどまらず、SNS上でのコンテンツやコラボ商品、タイアップ動画制作など、多様なかたちで話題を生み出せる可能性を秘めた柔軟性にあるでしょう。
グロースIPはSNSやYouTubeなどを介してすでにファンとの接点を築いていることも多く、そのコミュニティ性の高さを活かすことで、従来型の広告よりも高い共感や拡散を促すことが期待できるのです。
また、タレント本人にとっても企業とのタッグは、露出機会の増加やブランドイメージの強化、ポジティブな認知の獲得につながるでしょう。
特にグロースIPは“成長の途中”にいるからこそ、企業と一緒に新たな領域に挑戦したいという意欲も高い傾向にあり、単なる広告塔ではなく、パートナーとしてともに価値を生み出す関係が築きやすいのが特長です。
このように、お互いが成長フェーズにあるからこそ、タレントと企業がともにブランド価値を引き上げ合えることがグロースIPを活用する最大の意義といえます。
ただし、「これまでタレントをプロモーションに起用したことがない」「あまり広告に多くの予算を割けない」といった企業の場合、どのように出演交渉すればよいのか分からない、あるいはそもそも接点が持てないという不安、問題点もあるでしょう。
IPマーケティングプラットフォームのSketttは、150所以上の芸能事務所と直接交渉できるネットワークを持っており、最適なグロースIPの選定から、条件交渉、クリエイティブの進行管理までをワンストップでサポート。初めてタレントを起用する場合も、安心してプロモーションに取り組むことができます。
話題化を狙うだけでなく、継続的なファン形成を見据えた施策に取り組みたい企業の方は、ぜひご検討ください。
これからのIP起用は、タレントを一方的な広告塔として活用するのではなく、企業とともにブランドを育てる「共創型」の関係性が求められます。メガIPのような完成された存在を起用するだけでは、一時的な話題や売上にはつながっても、ブランドの継続的な価値形成には限界があることもあるでしょう。
その点、グロースIPのような、今まさに成長しつづけているタレントを起用する戦略は、ブランドの成長フェーズと重なりやすく、相互に刺激を与え合いながらファンベースを構築することが可能です。
重要なのは、現時点の人気だけを見るのではなく、将来のポテンシャル=伸びしろに目を向けること。
“売れているから起用する”時代から、“これから一緒に育てていく”時代へ。IPの本質価値を見極めながら、戦略的に選び、育て、活かしていく姿勢こそが、これからの時代のプロモーション成功の鍵となります。
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