マーケティング戦略
「よくポストに入っているけど、今どき郵便のダイレクトメール(DM)なんて効果あるの?」「どういうときにDMを送ればいいのだろう?」と考えている広報や営業担当の方は多いのではないでしょうか。
インターネットが普及して、電子メールをダイレクトメール(DM)と呼ぶことも増えてきました。しかしオンライン化が進んだ現代でも、はがきと封書といった郵便のダイレクトメールは有効な手法として活用されています。
今回は、あえて郵便のダイレクトメールを選ぶ理由や効果、メリット・デメリットなどを解説します。活用方法やポイントをつかんで、ぜひ営業・販促活動に取り入れてみてください。
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「ダイレクトメール」とは、企業が個人や法人に直接送付する広告物です。英語の「Direct Mail」を短縮して「DM」とも表記されます。顧客の宛名を記載して、チラシやパンフレットなどを「特定の住所に直接届けられること」が、ダイレクトメールの特徴です。
ダイレクトメールは、次のように分類できます。
この記事では、1と2の郵便によるダイレクトメールを中心に解説します。はがきDMと封書DMの特徴を知って、販促・営業活動に役立てましょう。
はがきには通常はがきや定形外はがき、圧着はがきなどがあり、目的・用途に応じて選べます。
通常はがきは封書とは異なり裏面に内容を記載できるため、開封の手間なく、すぐに情報を読んでもらえます。表面も、紙面の下半分(横書きの場合は左半分)までであれば、通信内容の掲載が可能です。思わず読みたくなるようなデザインを施せば、効果的なダイレクトメールを作成できるでしょう。
参照:日本郵便「内国郵便約款」
通常はがきとして郵送できるのは、重さが2~6g、縦14~15.4cm、横9~10.7cmのもの。
この規格を超えると一般的に「定形外はがき」と呼ばれ、郵送する際は第一種郵便物扱いとなります。たとえば、A4サイズのはがきなどが定形外はがきに該当します。
「圧着はがき」は2つ折りまたは3つ折りにしたはがきに、特殊な接着剤を塗布して圧着させたものです。2つ折りの場合には住所面を除いて最大3面、3つ折りには5面のスペースがあるため、通常はがきよりも多くの情報を掲載できます。
封書の場合はさまざまなサイズを選べるため、割引チケットやカタログ・パンフレットなどを封入できます。
郵便のダイレクトメールには、紙封筒の他にOPP袋も使われます。ポリプロピレンを伸ばしたフィルム素材で、汚れにくいうえに強度が高く、透明で中身を確認しやすいことが、OPP袋の特徴です。
サイズにとらわれず、多くの情報を掲載できるのが封書のメリットですが、重さや厚みが増えるにつれて郵送コストが高くなることに注意しましょう。
ダイレクトメールは、主に以下のような営業活動や宣伝の目的で活用されます。
誰をターゲットにして、どのような目的でダイレクトメールを送るかを明確にしたうえで、情報量やデザインなどを考慮して、はがきと封書のどちらが適しているか検討するとよいでしょう。
デジタルが主流となった現代において、郵便ダイレクトメールが注目される理由は、はがきや封書の閲読率の高さが評価されているためです。
2024年に日本ダイレクトメール協会が行った調査によると、DMの閲読率は以下のとおりでした。
参照:日本ダイレクトメール協会「DMメディア実態調査2024」
このように郵便ダイレクトメール、特に宛名を記載しているDMの閲読率は高いとわかります。電子メールやSNS広告とは違い、郵便ダイレクトメールは他の郵便物に埋もれることなくターゲットの手元に「届く」ため、アプローチ方法として有効であるといえるでしょう。
他に郵便ダイレクトメールが注目される理由として、BtoB・BtoCを問わず、特定ターゲットへの訴求に強みがある点も挙げられます。
商品の購買者と実際の利用者が異なるケースの多いBtoBビジネスでは、カタログなどの資料を郵送することで、どの関係者にも共通した商品説明が可能です。
また、個人を対象とするBtoCビジネスでは、ターゲットの属性やニーズに合わせた、きめ細やかな内容の郵便ダイレクトメールによって、商品の購買につなげられるでしょう。
郵便ダイレクトメールは、新規顧客の開拓にも既存顧客へのアプローチにも活用できます。ここでは、営業や販促を目的とした施策例を提案します。
ダイレクトメール(DM)は、新規顧客の開拓にも有効です。とくに「エリアDM」(特定の地域に住む世帯全体に対して、一斉に郵便物を配布できるダイレクトメール施策)は、見込み顧客リストがまだ整備されていない段階でも実施しやすく、地理的な特性に基づいてターゲットを絞れるのが強みです。
たとえば、飲食店や小売店、美容室、不動産など地域密着型のビジネスにおいては、商圏内の住民に向けてDMを一斉送付することで、店舗の存在を知らせたり、キャンペーンを告知したりできます。
郵便局の「タウンメール」や「タウンプラス」といった、指定地域の配達可能なすべての箇所に手紙や荷物をお届けするサービスなどを活用すれば、効率よく配布することが可能です。
また、視覚的な訴求力を活かせるのも郵便DMの特長。紙媒体ならではのデザイン性や手触り、クーポンの同封などを通じて、Web広告とは異なるかたちで接触体験を提供できます。デジタル施策と組み合わせることで、接触の幅を広げ、興味関心を喚起する導線としても機能するでしょう。
展示会に来場し自社商品に接した人や商品・サービスに興味を持って問い合わせてきた人、セミナーに参加した人のように、将来的に顧客となる可能性がある人たちを総称して「見込み顧客」と呼びます。
見込み顧客は商品やサービスの購入履歴はないものの、なんらかのアクションを起こしているため、住所・氏名などの登録データが自社に残っていることが多いです。個々のニーズに合ったダイレクトメールを郵送することで、効果的なアプローチができるでしょう。
ただし個人情報を収集する際には、きちんとその目的を明かす必要があるため、ダイレクトメールの送付を想定している場合は、事前にその旨を顧客にお伝えしたうえで住所・氏名といった情報を集めるようにしてください。また、個人情報保護の観点においても徹底して管理するように注意しましょう。
郵便ダイレクトメールは、既存顧客へのアプローチにも活用できます。
会員登録を済ませている既存顧客のデータとID-POSデータなどで顧客属性や購買履歴を分析し、利用状況によって分類することで、顧客の利用状況に応じたアプローチが可能です。
《郵便ダイレクトメールの施策例》
他にも、誕生日や記念日の近づいている顧客に特別な案内を郵送するなど、さまざまなアプローチ方法が考えられるでしょう。
この章では、郵便ダイレクトメールの効果とメリット、デメリットについて解説します。DMの効果を発揮するには、デメリットも押さえて対策を講じるとよいでしょう。
一斉送信が手軽なことから他社もよく利用していることがうかがえる電子メールは、埋もれてしまう可能性が高いのに対し、直接郵送されるはがきや封書は手に取ってもらいやすいため、閲読率も高くなります。
デザインや紙の素材でターゲットの視覚・触覚に訴えられることは、郵便ダイレクトメールを活用する大きなメリットです。
一斉に郵送するのではなく、ターゲットごとに内容を変えて「パーソナライズされた体験」を与えられることもメリットです。特に封書の場合は、割引チケットやサンプルなどを同封しておくと、未開封のまま捨てられることも減るでしょう。
オフラインで情報を届けるからこそターゲットの印象に残りやすいことも、郵便ダイレクトメールの魅力です。
また、タブレット端末よりも紙媒体のほうが文章の理解に優位性があるという研究結果も出ています。
参照:情報処理学会「表示媒体が文章理解と記憶に及ぼす影響―電子書籍端末と紙媒体の比較―」
このことから、電子メールのダイレクトメールよりも紙媒体に印字された郵便ダイレクトメールのほうが、顧客にとって詳細を理解しやすく、営業や販促に効果的だと考えられます。
自社の状況に合った施策を打てるように、郵便ダイレクトメールのデメリットも把握しておきましょう。
郵便ダイレクトメールを送るには、印刷・郵送といった金銭的コストがかかります。情報量の多さや印刷方法、郵送エリアの広さによってコストは増減するため、費用対効果を考慮しましょう。
圧着はがきや封入物が多い場合は工数が増えるため、配送リードタイムを考える必要もあります。郵送の性質上、電子メールやSNSと違って速報性の高い情報を送れないことも、郵便ダイレクトメールのデメリットです。
効果測定が難しいため、URLや二次元コードなどを記載しておくとよいでしょう。
郵便ダイレクトメールを営業に活用するときに外せない、4つのポイントがあります。
なぜこれらのポイントがダイレクトメールを営業に用いる際に必要なのか、それぞれ解説します。
ダイレクトメールを郵送する際には、その「目的」を明確にしなければなりません。
《目的の例》
目的を明確にすることは、ターゲット層や郵送エリア、掲載内容、デザインなどの方向性を決める重要なポイントです。
顧客分析を行い、ターゲティングに合わせて送り先リストの精度を上げることは、ダイレクトメールを営業ツールとして活用するためのカギです。
ターゲット層を間違えると、どれほど内容を充実させても顧客ニーズと一致しないため、開封されないまま捨てられるおそれがあります。
ダイレクトメールの開封率を上げるには、自社の顧客属性を分析して、適切なターゲティングを行い、送り先リストを更新しておきましょう。
ターゲットの設定方法については、以下の記事を参照してください。
ダイレクトメールは手に取ってもらうだけでは、効果を発揮できません。開封率や反応率を高めるためのデザインや仕様の工夫が重要です。
たとえば、目を引く色使いやキャッチコピーで興味を引き、短時間で要点を伝える構成が有効です。また、開封したくなる封筒のデザインや、ミシン目を入れてクーポンや応募券として切り取れる仕様なども、受け手の行動を促す手段として取り入れる意義がありそうです。
こうした物理的な「仕掛け」は、手元に残る郵送DMならではの強みです。さらに、紙の質感や折り方のバリエーションを工夫することで、他の郵便物との差別化を図ることもできます。
伝えたい情報量が多い場合は、図解やイラストを活用して視認性を高めることも重要です。ターゲットに合わせた工夫次第で、DMの印象は大きく変わります。
郵便ダイレクトメールを営業活動に活用するためのポイントは、Webと連携してレスポンス導線を確保し、効果測定を行うことです。郵送するだけでは顧客の反応がわからず、営業の方向性も定まらないでしょう。
たとえば郵送DMに二次元コード(QRコード)を組み込むことで、紙媒体とWebをスムーズに連携させることができます。
具体的には、QRコードを読み取ると特設LPやクーポンページに遷移する仕組みにすれば、興味を持ったタイミングで即行動に移してもらえる導線が作れます。Web上でのアクセス解析も可能になるため、DMの効果測定や次回の改善策の洗い出しにも活用できるのがメリットです。
年代問わずスマホの利用が一般化している現代においては、紙だけでは伝えきれない情報を動画や画像、フォームなどで補完することも検討材料に挙げておくべきでしょう。
郵便ダイレクトメール(DM)とデジタル施策を併用することで、相乗効果が生まれます。
ターゲットに郵送してアプローチできるダイレクトメールは、スマホやPCなどの扱いに慣れていないシニア層の多い現代において、有効な営業・販促手法です。
文面や封入物、デザイン、加工を工夫することで、視覚・触覚を通してターゲットに訴求できます。アプローチの目的やターゲットを意識して制作・送付すると、営業・販促活動の成功に貢献できるでしょう。
ぜひ郵便ダイレクトメールを活用して、自社商品やサービスの魅力を顧客の心に直接届かせ、ビジネスの成功につなげましょう。
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