マーケティング戦略
TikTokは若年層を中心に圧倒的な人気を誇る動画プラットフォームで、企業のマーケティングにも欠かせない存在です。しかし「広告の出し方がわからない」「費用や種類を知りたい」と悩む広告担当者も少なくないでしょう。
本記事では、TikTok広告の基本や出稿方法、費用感、さらにASMRや真似したくなるエンタメ要素などTikTokならではの表現方法まで、押さえておきたいポイントをわかりやすく解説します。
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若年層を中心に幅広く支持されるTikTokは、マーケティングにも欠かせない媒体です。まずはその特徴を押さえましょう。
TikTokは世界的に急速に拡大しているショート動画プラットフォームで、2025年時点の月間アクティブユーザー数(MAU)は約15億9,000万人に達しています。さらに2027年までに22億人を超えると予測されており、SNSの中でも成長スピードは突出しています。
日本国内においても拡大を続け、現在はビジネスアカウントだけでも3,300万人以上が利用しているとされています。
利用者の中心は10~30代前半で、世界全体では13~24歳が約51%、25~34歳が約23%を占めています(2024年)。日本でも同年の10代の利用率は70%、20代は52%と高く、若年層にリーチするうえで欠かせないプラットフォームです。
TikTok広告の特徴は、アルゴリズムによるレコメンド機能と「For You」フィードの仕組みにより、フォロワーが少なくても多くの人に届けられる拡散力を持つ点です。広告がコンテンツに自然に馴染むため、他メディアより受け入れられやすいのが強みです。
TikTok広告は99%閲覧されており、さらに92%が視聴後に何らかの行動を起こしています。くわえて25%は購買や検索といった具体的な行動に移しており、広告が自然とユーザーの次のステップにつながる傾向があります。
参照1:TikTok for Business「TikTok広告がなぜいいの?3つの数字で徹底解説! TikTok広告だからできる!3つのこと」
参照2:TikTok for Business「TikTok for Businessでできること」
また、広告フォーマットも多様で、「トップビュー」や「フィード広告」、さらに「検索広告」や「メッセージ広告」などが利用できます。目的や商品特性に応じて形式を選べるため、ブランドメッセージを効果的に届けられます。
さらに、年齢や興味関心に基づいた精度の高いターゲティング機能により、狙ったユーザーにリーチできます。
特にファッション・コスメ・飲料・ゲームなどの商品との相性が良く、マーケティング施策として注目されています。
TikTok広告は、アカウント作成からクリエイティブ作成まで以下のステップに沿って進めることで、初心者でもスムーズに出稿できます。
1.広告アカウント開設
まず、広告アカウントを作成します。メールアドレス、もしくは電話番号をもとに新規登録可能です。
2.詳細情報入力
広告アカウントに必要な請求先情報や連絡先などを入力します。
3.広告の目的を選択
キャンペーン作成画面で、ブランド認知やコンバージョンなど、自社商品・サービスに合った広告目的を選べます。
4.ターゲット設定
年齢・性別・地域・言語・デバイス・興味関心などを指定し、広告を届けたいユーザー層を設定します。
5.予算とスケジュール設定
1日あたりの予算や配信期間・時間帯を設定します。
6.広告フォーマットの選択
動画・画像・カルーセルなど、商品や目的に合わせて広告形式を選択します。
7.クリエイティブ作成
広告素材のアップロードやテンプレート作成、テキスト・CTA・リンク先URLを設定します。作成後、「確認」をクリックすると広告作成が完了します。
TikTok広告は「TikTok Ads Manager」という管理ツールで作成・運用します。広告の設定、配信管理、効果測定までを同じプラットフォームで行えるため、初心者でも全体の流れを把握しやすいのが特徴です。
操作の流れは、キャンペーン作成→広告グループ設定→広告作成、が基本。目的を選択し、予算やスケジュールを設定した後に広告を入稿します。
ターゲティングは年齢・性別・地域・言語・興味関心・デバイスなどを細かく指定可能です。特に興味関心カテゴリを活用すれば、商品やサービスに親和性の高いユーザー層に効率よくアプローチできるでしょう。
TikTok広告マネージャーでは、複数パターンの広告を比較する「スプリットテスト(A/Bテスト)」機能があります。
設定方法は、新規キャンペーン作成時にスプリットテストを選択し、テストする広告セットや変数(配信対象・入札方法・クリエイティブなど)を指定します。テスト期間は最低7日以上確保することで、統計的にある程度信頼できる結果が得られるでしょう。
配信中はクリック率(CTR)やコンバージョン率(CVR)などの指標を確認し、どのパターンが最も効果的かを判断。効果が高い広告に予算を集中させることで、広告費を効率的に活用できます。
また結果を定期的に分析して改善することで、キャンペーン全体のパフォーマンス向上につなげられるでしょう。
管理画面では配信状況や成果をほぼリアルタイムで確認でき、システムによる自動配信最適化機能も利用可能です。
分析タブを活用すれば、レポートを自動生成したり、カスタマイズして詳細なインサイトを得たりすることもできます。広告を出すだけでなく、運用しながら改善を重ねられる点がTikTok広告の大きな強みです。
TikTok広告には目的や表現方法に応じてさまざまなフォーマットがあります。ここでは代表的なものを紹介します。
トップビュー
アプリ起動時やおすすめ欄の最上部に全画面で表示される広告。強い視覚インパクトで短時間に大きな認知拡大を狙えます。
フィード内動画(標準フィード/トップフィード/スパーク広告など)
ユーザーのおすすめフィードに自然に表示される動画広告。柔軟な配信が可能で、認知からコンバージョン獲得まで幅広く活用できます。
ブランドミッション
ハッシュタグなどを活用し、ユーザーに動画投稿を促す参加型広告。拡散力が高く、トレンド形成やブランド理解促進に効果的です。
ブランド効果
ARや3Dエフェクトを活用し、商品やサービスを体験的に伝えられる広告。ブランドミッションと組み合わせることで、ユーザーの共感や興味を引くことができます。
検索広告キャンペーン
ユーザーがTikTok内で検索した際に表示される広告。興味・関心が顕在化した層に効果的にアプローチできます。
TikTok広告では、キャンペーンや広告セットごとに最低予算の基準が設けられています。
また、期間を通じて設定する「通算予算」もあり、広告セットの場合は日予算20USD×配信日数が最低額となります。たとえば31日間の配信なら620USD(約9万円)以上が必要です。
課金モデルはクリック1回あたり30~100円前後のクリック課金(CPC)や、動画1回再生あたり数円~十数円の再生課金(CPV)が中心で、比較的少額からテスト運用を始められます。
中小企業でも取り組みやすい水準ですが、広告制作や運用を外注する場合は別途コストが発生する点に注意が必要です。
広告代理店に依頼する場合は広告費の20%前後が手数料で、月間広告費50万円なら約10万円が目安といわれます。さらにバナーは1枚5,000円~10,000円程度、短尺動画は数万円以上の制作費が別途かかります。
他のSNSと比べると、Instagram広告は100円から配信可能ですが、競合が多くCPCは数十~数百円。YouTube広告は最低出稿額がなく、CPVは5~15円前後と低めです。
一方TikTokは若年層リーチに強みがあり、ターゲットが絞られている場合は、より効率的な運用もできるでしょう。
参照1:TikTokビジネスヘルプセンター「TikTok広告マネージャーでの広告予算について」
参照2:ZEROxeed「SNS広告費用6大SNSの最低出稿額と費用相場完全版」
TikTok広告ライブラリは、配信中の広告を業界やジャンルごとに確認できる公式ツールです。誰でも利用でき、アクセスや検索するにあたってTikTokアカウントは必要ありません。広告運用を始める前に参考にして、自社の戦略を定めてもよいでしょう。
ただし閲覧できるのは、2022年10月1日以降に公開された、EEA、スイス、またはイギリスのユーザーを対象としたすべての広告です。日本の広告は表示されませんが、グローバル展開を目指す企業は参考にできるでしょう。
また、国内のみの展開を予定している企業も、新たなトレンドの発見に役立てられるはずです。
人気の広告例を効率よく見つけるには、業界やジャンルで検索したうえで、いいね数や再生回数などの指標で並び変えるのがコツです。さらに、トレンドハッシュタグや広告フォーマットで絞り込むと、効果的なクリエイティブの傾向をより正確に掴むことができます。
こうした分析を通じて、同業企業の広告の表現や訴求ポイントを把握するだけでなく、どのクリエイティブがユーザーに響きやすいのかといった判断や、広告の企画・構成の改善にも活用できます。
TikTokでは、ASMR動画のように音を重視したコンテンツや、エンタメ要素を取り入れた表現が注目されています。海外ではASMR広告の事例もあり、日本でも今後の活用が期待されます。
エンタメ×商品紹介の代表例としては、地球グミ(メダラー社)こと「トローリ プラネットグミ」を紹介した投稿が挙げられます。地球型のケースを噛むとパキッと音を立ててグミが飛び出し、さらにそれを食べると舌が青くなる、という動画をご覧になった方も少なくないのではないでしょうか。
思わず真似したくなるユーザーが後を絶たず、TikTok上で「#地球グミ」関連動画は5億4,000万回以上再生され、取り扱い店の品切れも続出しました。日経トレンディ「2021年ヒット商品ベスト30」の1位にも選ばれています。
こちらは企業が仕掛けた広告ではなく、波及的に広がったケースですが、このように視覚だけでなく視覚にも刺激したショート動画がTikTokではトレンドになりやすいことを考えると、日本でもASMR広告が流行る余地は十分にありそうです。
参照:ASCII「マーケティングに欠かせない存在に!?TikTok映えから「#TikTok売れ」へ! ヒット商品の発信源に」
TikTok広告は、若年層へのリーチ力とSNSならではの拡散性が大きな強みです。スモールスタートできる柔軟な予算設計も魅力で、テスト運用やクリエイティブ改善がしやすい点もメリットでしょう。
成功の鍵は、TikTok特有の遊び心やリズム感を意識しつつ、親しみやすい表現を理解し、他社との差別化を図った戦略的なクリエイティブを制作することにあります。巧みに運用すれば、ハマったときの効果は非常に大きくなるでしょう。
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