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「タレントコラボ」と聞くと、商品タイアップを思い浮かべる企業担当者は多いのではないでしょうか。しかし、タレント起用の可能性はそれだけにとどまりません。
近年は、キャンペーンやプロモーション施策の文脈でタレントとコラボレーションし、認知拡大やSNS施策・イベントなどへの参加促進を実現する事例が増えています。商品開発を伴わず、短期間で話題化を狙える点も特徴です。
本記事では、キャンペーン型タレントコラボの成功例を分類し、その設計ポイントを整理します。

タレント×マーケティングで
成果を最大化

タレントコラボといえば、商品タイアップCMや共同開発商品の展開などが想起されやすいかもしれません。企業の認知拡大やブランド価値向上を目的に、著名人をプロモーション施策に起用する取り組みは、多くの企業で実施されています。
本記事が扱うのは、商品開発による在庫管理といった新たな負担のかからない「キャンペーン・プロモーション施策におけるタレントコラボレーション」です。特に期間限定の企画や参加型施策、SNSと連動したプロモーションなど、タレントの起用を企画設計の一部として組み込むアプローチに焦点を当てます。
近年は、短期間で話題を創出し、複数の接点を通じてユーザーとの接触機会を増やす設計に注目が集まっており、その流れのなかで、商品タイアップとは異なるキャンペーン型コラボも増えています。
タレントの影響力を単なる露出にとどめず、タレントの個性や活動文脈と企画の親和性をふまえて設計することが、施策成果を左右するでしょう。

キャンペーン型のタレントコラボは、短期間で実施できる点や、複数のチャネルと組み合わせやすい点など、商品コラボとは構造的に異なる特性を持ちます。
ここでは、キャンペーン型コラボが有効に機能しやすい理由を整理します。
商品開発を伴うコラボレーションは、企画立案から開発、製造、販路確保まで一定の時間と工程が必要になります。販売計画や在庫リスクなども含めた検討が求められるため、実施までに準備期間も要するでしょう。
一方、キャンペーン型のタレントコラボは、既存商品やサービスを訴求することが多く、比較的短期間で立ち上げやすい特性があります。物理的な開発工程を伴わない施策であれば、市場のトレンドや話題性に合わせてタイミングを設計しやすい点も特長です。
市場環境や話題の移り変わりが早いなかで、スピード感を持って施策を展開できることが、成果につながる要素のひとつといえるでしょう。
キャンペーン型のタレントコラボは、期間限定の企画や参加型施策として設計することで、情報の鮮度や希少性を打ち出しやすくなります。「今しか参加できない」「この期間だけ購入できる」といった限定性が生まれることで、ユーザーの行動意欲を高めやすい点も特徴です。
実施期間が区切られている施策は、告知から終了までの発信手法を設計しやすく、短期間での接触機会の最大化を図ることが可能です。SNS投稿やイベント展開と組み合わせることで、一定期間に集中して関心を集めやすくなるでしょう。
キャンペーン型のタレントコラボは、特定の販売チャネルに限定されず、複数の接点を組み合わせて設計できる点も特徴です。SNS施策、Webコンテンツ、イベント、店頭プロモーション、OOH広告など、目的に応じて展開方法を柔軟に選択できます。
OOH広告の活用方法については、以下の記事でも詳しく解説しています。
タレントコラボ商品を売り出す場合は流通や販促計画が軸になるケースが多い一方、キャンペーン施策は商品開発や在庫リスクを伴わずに実施できる点が特徴です。タレントの発信力や話題性を起点に、オンラインとオフラインを横断した導線設計も可能です。
キャンペーン施策は、実施時期を比較的柔軟に設計できます。ドラマ出演や映画公開、各賞受賞、SNS上での話題化など、起用予定のタレントに関心が集まるタイミングに合わせた展開も可能でしょう。
商品開発を伴うコラボでは、制作や流通の工程に合わせてスケジュールが決まるケースが多く、外的要因によって発生した話題と完全に同期させることは容易ではありません。一方、キャンペーンであれば、話題が高まっているタイミングを起点に企画を設計できるため、より多くの方へ認知されやすい施策といえるでしょう。

ここからは、キャンペーン型タレントコラボの事例を取り上げながら、施策設計のどのような点が成果につながったのかを整理していきます。
サントリー食品インターナショナル株式会社は、「サントリー烏龍茶OTPP(機能性表示食品)」の若年層からの認知拡大を目的に、2023年にお笑いコンビのタイムマシーン3号を起用してWEB CMキャンペーンを展開しました。
公開されたのは、SNSで人気を集めた本格的な中華料理の調理パフォーマンス動画「ガチ中華」をモチーフにした「サントリー烏龍茶【おなかの脂肪を減らす】ガチ中華クリエイターCM」です。
TikTokなどで話題の「ガチ中華」投稿者4名とタイムマシーン3号の関太さんが本格的な中華鍋さばきを披露する5篇のWEB CMを制作しました。
タイムマシーン3号の公式YouTubeチャンネルでも、この施策と連動したコラボ動画が公開されています。動画では、関さんが中華料理店で炒飯づくりに挑戦し、TikTokなどで話題となった「ガチ中華」動画の調理パフォーマンスを再現。
タレント自身のチャンネルを通じてコンテンツが発信されることで、より幅広い層にリーチすることができ、またタレントの参加性も際立たせることができます。
あわせて、公式X(旧Twitter)では「#ガチ中華クリエイターCM」キャンペーンを実施し、フォロー&リツイートによって烏龍茶1ケースと「超巨大鍋」の食品サンプルが当たるプレゼント施策を展開。
既存商品の機能性にも触れたうえで、SNSで話題化していたフォーマットと人気タレントを掛け合わせ、動画配信とSNS施策を同時に展開することで接触機会を拡張している点が特徴です。トレンド文脈を取り入れることで、商品単体の露出にとどまらない話題喚起を図った構造といえます。
漢字ミュージアム(漢検 漢字博物館・図書館)は、2023年にQuizKnockとコラボレーションし、「博学篤志の漢字クイズラリー」を開催しました。2022年に実施されたコラボイベントが好評だったことを受けて実施された第2弾です。
本イベントは、来館者がスマートフォンを使用し、館内に設置された二次元コードからクイズページにアクセスし、解けたら別の二次元コードのパネルを探し、キーワードを入力することで次のクイズを解けるという仕組み。出題される問題はQuizKnockメンバーが制作しました。
QuizKnockはクイズ王・伊沢拓司さんを中心としたグループであり、本キャンペーンではその「クイズ力」を生かした存在感を発揮しています。プロモーションに起用するだけではなく、コンテンツ制作に参画している点が特徴です。
来館者はクイズに挑戦しながら館内を巡ることができ、キャンペーン内容と会場両方を楽しめるため、タレントの強みと施設体験が結びついたコラボ事例といえます。
参照:漢字ミュージアム「10/11(水)~漢字ミュージアム×QuizKnockコラボイベント第2弾「博学篤志の漢字クイズラリー」
SNSでもユニークな発言が話題になるなど、自分らしく日々を楽しむ綱さんの明るくポジティブなイメージが、健やかな肌と前向きな自分らしさを大切にするといったクリニークのブランドが掲げる価値観と重なります。
本キャンペーンでは、対象製品購入者に向けてデジタル待受画面の配信や抽選プレゼントを実施。スペシャルムービーは一部の取り扱い店舗でも公開され、SNS上では実際にキャンペーンに参加しながら綱さんの誕生日を祝う投稿が多く見られるなど、ファンを中心に広がりました。

成功事例から見えてくるのは、どのブランドもタレントの「知名度」だけに依存していないという点です。ブランドと親和性があり、キャンペーンの目的に照らしてタレントにどのような役割を担ってもらうのかが設計されています。
まず、目的が明確です。認知拡大を狙うのか、参加を促すのか、ブランドの世界観を強化したいのかによって、適した施策は変わります。目的が定まっているからこそ、タレントの関与の仕方も具体化できるのです。
さらに、タレントのパーソナリティーや活動文脈が企画と接続しています。クイズを強みとするグループを起用してクイズを活用した施策を実施する、SNSで話題のフォーマットと親和性の高い芸人を掛け合わせるといったように、タレントの持つ強みが施策の中核に組み込まれています。広告塔として「登場するだけ」の起用ではありません。
その結果、より多くの方に届くキャンペーンになります。ユーザー参加型の設計やトレンド文脈を取り入れたことによって、もともとのブランドのファン以外にも届く構造が生まれるといえるでしょう。

タレントコラボが失敗につながりやすい要因のひとつとして、知名度のみを基準にキャスティングしてしまうケースが挙げられます。知名度を優先すると、キャンペーンの目的やブランドの文脈に対して、タレントに担ってもらう役割が曖昧になりやすくなります。
役割が定まらないまま企画を組むと、キャンペーン内容も弱くなります。結果として、タレントイメージは前面に出ているもののユーザー体験を生み出す設計が薄く、一方的に与えられた情報として受け取られやすくなるでしょう。
タレントがコンテンツ制作や世界観づくりに関わっていることが伝わらないと、「顔を貸しただけ」と捉えられやすく、コラボの必然性が弱まります。
また、文脈のズレはSNSで拡散されやすい要素です。タレントとブランドとのイメージの相性や双方の過去の発信まで遡って施策を受け止められる可能性もあるため、ミスマッチがあると、意図しない反応や炎上につながる可能性があります。

タレント起用を前提としたプロモーションに施策は、コラボキャンペーンとして短期間で話題をつくる方法と、アンバサダー契約のように中長期でブランド価値を育てる方法があります。どちらもタレントと協働して新たな価値を生み出す手法ですが、目的や期間、設計の軸が異なります。
アンバサダー起用は、ブランドや商品の魅力を継続的に伝えていくことを重視します。タレントがコミュニケーション全体に関わることで、ユーザーからの認知や好意度の積み上げを狙う設計です。
一方でキャンペーンコラボは、期間を区切ったプロモーション施策にすることで、短期間で関心を集めたり、参加を促したりすることに重きを置いているといえます。
たとえば新商品や新機能の認知を短期間で広げたい場合はキャンペーンコラボ、ブランドの世界観の浸透やファンとの関係性構築を重視する場合はアンバサダー起用といったように、目的によってどちらの起用形態が適しているか見極める必要があるでしょう。
実際に日本のタレントをアンバサダーに起用して成功を収めた事例については、こちらの記事を参考にしてください。

タレントコラボを成功させるうえで重要なのは、「誰を起用するか」だけに焦点を当てないことです。知名度や話題性だけで選定すると、企画と結びつかないまま施策が進行してしまうことも考えられます。
検討すべきなのは、「そのタレントと何を一緒につくるのか」という視点です。クイズ制作に関わる、SNSで話題になりやすいトレンドフォーマットを掛け合わせる、ブランドの世界観を体現するなど、タレントの強みと企画の設計が交差する地点を見つけることが出発点になります。
キャンペーン設計とタレントの掛け算が成立していれば、起用は単なる露出ではなく、施策全体の推進力になります。その力を強めるには、キャスティングを企画の最終段階ではなく、設計段階から組み込むことが重要です。
タレントとコラボする必然性を理解したうえで、施策と親和性の高いタレントの起用、起用したいタレントと親和性の高い施策の企画立案をしましょう。

タレントコラボは、商品開発などに限られるものではありません。キャンペーン型のコラボレーションによって、短期的な話題創出やユーザーの参加促進を実現させる事例も増えています。
重要なのは、タレントの知名度そのものではなく、企画との親和性です。なんの目的で実施するのかを明確にし、タレントの強みをどのような文脈で組み込むかによって、施策の受け止められ方は大きく変わります。
キャンペーン型とアンバサダー型を適切に使い分けながら、自社の目的に合った設計を行うことが、効果的なタレント起用法といえるでしょう。
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